書下ろし小説の文庫を作っています。
はじめてではないです、文庫。
10年以上前に、讃岐うどんをテーマにした「超麺通団 讃岐うどんめぐり指南の書」、「超麺通団 ゲリラうどん通ごっこ軍団始まりの書」と、深夜放送をテーマにした大阪のラジオパーソナリティのレジェンド、今も毎日放送でレギュラーを持つ今年90歳を迎えた浜村淳さんの「さてみなさん聞いてください」の3点を出しました。

売り上げはそれぞれ5000部ほど。
並ばないですね、文庫、書店さんの店頭に。
大手の文庫がメインの棚に並ぶのを横目に、奥の奥のその奥の、その他の雑学文庫みたいなコーナーにひっそりと置かれていました。地元以外は。
それは分かっていたことでしたが、でも、やってみたかった。
もう文庫を作ることは無いだろうと思っていました。
正味も、通常の正味より1%安い。
それも一律の正味ではなく、各社の正味から・・。つまり大手の文庫との格差も大きい。
低単価なので運賃がでない、なので書籍より1%安いのだそうです。
1000円1500円の文庫が流通している今なぜ、とも思わないではないですが、業界ルールの既得権は変わりません。
西日本出版社は出会い系出版社です。
創業からもうすぐ25年、企画書を作ることもなく、酒席で、講演会で、イベントで、たまたま、あらゆるところで出会った人に感動し、執筆をお願いし200点あまりの本を作ってきました。
そして、去年出会ったのが作家の山本巧次さんでした。
大阪には「大阪の問屋と本屋が選ぶ『ほんまに読んで欲しい1冊』」をキャッチコピーとして掲げた「大阪ほんま本大賞」という、文学賞があります。
対象作品は、文庫小説。
2013年にはじまり次が14回目。
地元関西の出版社の受賞はありません。東京の大手出版社のみ。
エントリーは出版社の自薦と、書店さんの推薦。
そこでノミネートされた文庫の中から大賞が選ばれます。
山本巧次さんは、第7回早川文庫「阪堺電車177号の追憶」で受賞されているのですが、髙田郁さんは、版元を変えて二回受賞しています。
かねてより、大阪の書店員さんや取次さん関係者が選ぶ、大阪をテーマにした本の賞を大阪の出版社が受賞していないのは、なんか情けないなあと思っていました。
でも、文庫を作っている出版社も、小説を作っている出版社も、関西にはほとんどないですからしかたありません。
そんなことを思っているとき、山本巧次さんとの運命の出会いがあったのです。
これは挑戦しないわけにはいかないでしょう。
自薦の案内は、自薦できそうな大手の出版社にしか行っていなかったので、知らなかったのですが、エントリー締め切りは2月頭なのでした。
それを知ったのは1月末。
うちの本の発売は5月。
受賞作の発表が夏なので、こんなに早い締め切りだとは思ってもみませんでした。
あかんがな。
でも、幸い、原稿はあがっています。
しかも、面白い。でも、来年まで寝かすのは、しんぼうたまりません。
ということで、急ぎプルーフを作り、書店員さんに配り選考に加えてもらうことにしました。
2月17日に、審査員のみなさんを前に出版社の担当者が1分間プレゼンをすることから、本選が始まります。
他社は、店頭ですでに売っている本、うちはまだ生原稿段階、プルーフ審査の例は過去にもあるようなので、お許しをいただき、1分間、本書の内容を話してきました。
エントリーされている本は30点ほど。
この時点では、タイトルを「大阪私鉄ものがたり」で出していました。
このあと、書店さんに営業したところ、このタイトルにオールダメ出し。
小説のタイトルになっていないということ、雑学の本みたいとも言われ、これやったら文庫コーナーの奥の奥のすみにしか並ばへんでとまで言われました。でも納得です、考え直しました。
そうして、著者と話をしてきめたタイトルは「大阪電車春秋―六色の線路―」。
小説は編集したことがないので、そこも、手探りですが、山本さんに率直に聞いています。
本づくりは、新しい出会いと体験の宝庫です。
あらためで本屋さんを回ると、このタイトル、評判はいい。
新タイトルを決めたのが2月20日、即デザイナーに組版発注、23日にできてきて、少し修正を入れて当日中に印刷屋へ入稿。
そして、3月2日にプルーフ100部できてきました。
あとは、大阪の書店さんの文庫担当に送って読んでもらうだけ。
発送は、日販さんとトーハンさんの大阪支店のみなさんがやってくださいました。
でも、書店員さんの投票開始は3月1日から、15日にはみなさん投票を終えるようです。
果たして読んでもらえるのか。
大阪の出版社のエントリーは2回目。
じつは、以前、うちの、新書で奈良の話「あふれでたのは やさしさだった」を、書店さんが推薦してくださっていたことがこの時分かりました。

「大阪版元の本初エントリーではないんかい」太ももをたたいたのですが、でもまあ、前の本もうちの本。前回は、文庫でもなく、大阪の本でもなかったので、受賞を逃したのですが、今回はどまんなか。
受賞したら、次のステージがみえるかも、わくわくです。
4月半ばには、いしいあやさんの「はじまりのドタバタ7年間 ニジノ絵本屋の大冒険 第一章」も出します。
絵本屋さんを創業したものの店が小さすぎて取次さんも出版社さんも相手にしてくれず仕入れすらできない、ならば自分で絵本を作ればいいと出版社を起業、作った本を売るために本のテーマソングを作って、歌って踊っているうちに、夏フェスから呼ばれるようになりました、この辺は次の本で書いてもらうのですが、八転び八起きでやってきたのは、なにもかもが面白いから。
2月も3週間台湾でフェスをやっていたようです。
本屋さん、やれることなんぼでもあります。
もちろん、ぼくらもやれること満載。海外も目指したいところですが、今回は、あらたなジャンルへの挑戦のお話。
本体価格800円、初版7000部からスタート予定です。