元気をもらいました。なので、書店さんに元気を持っていきます。
今年7月に出した「「個」のひろしま」で、「平和・協同ジャーナリスト基金賞」奨励賞をいただきました。
著者の宮崎園子さんから内々に、連絡をいただいたのが、11月14日。
2022年前半は、「まるありがとう」のヒットで書店さんからの注文が殺到、ファックスが常に紙を吐き出している状態だったのが、10月ごろから落ち着き始めていたのでした。
それ以上に厳しいのが、新刊の受注。
書店さん・本部さん、取次の支店さんに伺って打ち合わせしていくのですが、一部の取次の支店さんでは、地元の本の配本打ち合わせもしないと言ってきたところがあって、その支店の地区では、注文を下さった書店さん以外には並ばなくなりました。
この間予約注文を取っていたのは、銀行を辞めてその昔日本一のお寺さんだった大安寺の僧侶になった河野さんの「癌封じのお寺 大安寺の365日」。どうも関西文化であるらしいと知って取り組んだ、粕汁食のすべてをイラスト満載で紹介した「粕汁の本 はじめました」。空海伝説をキイワードに作っている「四国二十霊場 空海伝説の地を訪ねるお遍路」。歴史に翻弄されて生まれた酒、奄美黒糖焼酎をキイワードに奄美五島を旅する「黒糖焼酎島めぐり」。そしてガイドブック「瀬戸の島旅 しまなみ海道」。
「瀬戸の島旅 しまなみ海道」が初版3万部の予定。ほかは初版5000部予定です。
どれも、他では作れないというか、作ろうとしない本。
「しまなみ海道」は、三回目の改定なので実績があるのですが、他はまあ、売れるかどうか判断する類書はありません。
これが話題の「マーケットイン」的視点から見るとどう評価されるのかわかりませんが。
でも、面白いんですよ。ほんと。
書店さん個別に紹介し、お話をしていくと「積んで売りましょう」になるのですが、ファックスを送ってもなかなか返ってこなくって、来ても1冊。
やっぱり伺って、ゲラなどを見ていただいて話をしないといけないなと思うのですが、目標の3万部を思い描くと、ちょっと遠い目になります。
そんな時、もらった知らせが、この「平和・協同ジャーナリスト基金賞」奨励賞受賞の知らせ。もちろんいただいたのは著者なのですが、広島に何度も通い、話をし、作りこんでいったので、その日々が頭の中でぐるぐる回りました。
まだまだがんばらなあかんがなと、パワー100倍です。
おかげで、12月13日発売の「癌封じの寺 大安寺の365日」は、奈良の書店さん、そしてその昔大安寺の所領だった岡山の大安寺町の書店さんをまわって、最終3700部ほどご注文をいただき、見計らい合わせて3800部配本することができました。年明けには、東京国立博物館で「大安寺の仏像展」があり、本書を図録代わりに販売させていただけることが決まっているので、重版もまじかです。
粕汁の本は、おそらく発祥の地興福寺のある奈良、兵庫の灘、京都の伏見の書店さんに徹底営業。別格20カ寺としまなみは、夏に一周営業をやっているのですが、この冬、四国をもう一周回ってきます。合間を縫って、黒糖焼酎は、九州そして奄美からの出稼ぎ地であった、阪神間や大阪摂津近辺を回ります。
2017年の年末も、「もう、あかんかも・・・」ぶつぶつ言いながら、一人編集作業をやっていました。
21時頃だったでしょうか、電話が突然鳴りました。
「勝谷誠彦さんの、「兵庫知事戦記 34万人の魂」に、尾崎行雄を顕彰した「◆2017年 咢堂ブックオブザイヤー部門別大賞(選挙部門)」を貰っていただきたいのですが、よいでしょうか」
元気、でましたね。
思えば、毎年秋以降に新刊を出さないので、年末はいつもへこんでいたのでした。
この年もそうでした。
寒い夜に一人はあきませんねえ。ネガティブな未来しか見えません。
でも、販売データや、経理の数字を見直すと、まだまだ余力はある。
「やれるがな」と師走の町の書店さんに営業に走りました。
今年は、「スマホで見る 阪神淡路大震災」で、第35回地方出版文化功労賞 特別賞」も、いただきました。
2002年に西日本出版社を作ってから20年の間に、「古事記出版大賞」「梓会出版文化賞特別賞」なども、いただき、その度に、力を貰ってきたような気がします。
思えば、ずっと「類書が無いから、仕入れの参考になる本が無いし、注文できひん」と言われてきたように思います。
それでも、商業出版一本で来ることができたのは、書店さんや取次さんの協力あって、読者に本が届いたからだと思います。
出荷ベースで150万冊ほど出してきました、イベントなどでも「西日本出版社なんか知らんわ・・、あれ、この本うちにあるで」と良く言われます。ほんと、ありがたいことです。
今、やるべきことは、僭越ながら書店さんを元気にすることだと思っています。
毛細血管のように張り巡らされた書店網は、私たちの財産です。
「本部でないと、現場では注文できひんねえ」という、書店さんも増えてきましたが、その書店さんでも、本づくりの話や、著者の話をすると、みなさん喜んで、元気になってくださるような気がします。
売れ筋情報や、業界情報も大事なのかもしれませんが、そこは「売れている」版元さんにお任せして、本の楽しさを書店さんに持っていくこと、それがうちの任やなあと思っています。
2023年は、どんな年になるでしょうか。
相も変わらず、既刊に似たものがない、でも届けないといけないと思う本を作っていきます。