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トランプ政権で進む戦争の危機
新自由主義の世界的破綻・その解決はいかに
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年6月
- 書店発売日
- 2017年6月20日
- 登録日
- 2017年7月11日
- 最終更新日
- 2017年7月11日
目次
序章 トランプ政権登場をめぐって
第一章 新自由主義の主役ー多国籍金融資本、その本質
序節 ギャンブル経済
第一節 新自由主義の総括
①新自由主義政策導入・展開
②規制緩和・撤廃の狙い
③TPP それをめぐる動向・意図
第二節 多国籍金融資本の本質・特徴
序 Twitterで動かされる企業
①株式会社ー所有と経営の一定の分離
②資本の二重化ー株式は「擬制資本」
③擬制資本によって動かされる経済
第二章 新自由主義は転換するか
序説 新自由主義と暴力
第一節 トランプ大統領「就任演説」から
第二節 経済戦争へ
①TPP離脱、2国間FTA交渉へ
②為替戦争へ
③自動車貿易戦争
第三節 トランプ政権の国内政策
①「金融規制緩和」がもたらすものは
②財政支出拡大、減税
③財政危機ー政府債務拡大ードル体制危機
第三章 アメリカ帝国主義の覇権支配はどうなるか
序説 トランプ大統領の発想
第一節 日米首脳会談ー日米安保同盟強化
①トランプ大統領「議会演説」から
②日米首脳会談合意の内容
③安倍首相の妄想
第二節 トランプ政権は帝国主義覇権支配をやめない
①ドルによる支配をやめない
②政治的、軍事的覇権支配をやめない
終章 総括・展望ー体制の転換・主体の転換
第一節 新自由主義の主役 今日の金融資本の特徴
第二節 新自由主義と暴力・戦争
第三節 展望ー戦争から革命へ
第四節 主体の転換ー目標とする社会の展望
①主体の転換
②目標とする社会 社会主義の基本原理
③社会主義形成・発展の制度的条件
④“万国の労働者団結せよ”の今日的意義
前書きなど
トランプ政権をどうとらえるか。選挙過程の過激な言動を通し、トランプ大統領によって、新自由主義は転換するのではないか、アメリカの世界覇権支配も転換するのではないかとか、既成のエスタブリッシュメントに対抗して疎外された民衆が政治の主役として登場したことを評価すべきだとか、論評・評価が行われている。
本書は、様様な論評が現れる中で、トランプ氏の言動だけでなく、現実に提起・実行される政策を通して、トランプ政権の性格をとらえなければならないとの考えの下に、就任演説、議会演説、次々に署名された大統領令、さらにトランプ大統領と中国・習近平国家主席との会談をとらえ、分析してきた。私としては、トランプ大統領登場の背景には、新自由主義の展開による労働者・民衆の生活破壊がある(新自由主義の破綻)ととらえ、新自由主義の本質解明を、トランプ政権評価の中心においた。同時に、果たしてトランプ政権は、新自由主義政策を転換しうるのかーーそれを転換するには、新自由主義推進の主役・金融資本の支配を規制し、転換させなければならないこと、トランプ政権が金融資本の支配を当然視し、むしろ米金融資本の利益最優先の立場に立つ限り、新自由主義の転換は不可能ではないか、を明らかにした。
アメリカの軍事的覇権支配に関しても、トランプ氏は、万事損得勘定で考え、現実政治に関する認識がないーISなどテロリスト以外に帝国主義に本質的に対立する勢力・国はない、だから損得・取引勘定で処理しうる、と考えていたのではないか。しかし、中国、とくに朝鮮脅威を認識する(その点で安倍首相は決定的役割を果たしたと考えられる)とともに、危険な対抗相手を制圧するために、軍事力(核を含む)行使も必要だ、と考えるに到った、と考えられる。自らの感情をストレートに実行しないと気が済まない性格の持ち主と思われるトランプ氏は、なりふり構わず核兵器による戦争を起こしかねない危険性がある。現にシリアに対しミサイルを59発も撃ち込んでアサド政権を制裁し、アフガニスタンにもIS撲滅ということで大規模爆風爆弾を投下した。朝鮮の核開発を抑えるためということで、核を含む先制攻撃さえ示唆し、そのための実戦演習をくり返している。
帝国主義国アメリカは自ら帝国主義覇権支配を止めようとはしない。安倍政権がトランプ大統領・政権と一体となって覇権支配維持を補強している限り、トランプ大統領はとことん安倍政権を利用して覇権支配を強めようとするであろう。
トランプ・安倍政権による戦争策動を私たちは全力をあげて阻止しなければならない。そしてそのためには、戦争策動を行い、戦争を現実に起こそうとしているのは、米・日帝国主義勢力であることを認識しなければならない。朝鮮の核開発、ミサイル発射等、戦争の脅威とされる要因を抑えるには、帝国主義国の朝鮮に対する戦争策動をやめさせ、対話・交流による相互理解と信頼関係形成を図る以外にない。私たちは、そのイニシアティブをとらなければならない。
本書が、アジアにおける戦争の危機阻止、平和確立に、少しでも寄与しうることを願っている。
上記内容は本書刊行時のものです。