書店員向け情報 HELP
出版者情報
書店注文情報
在庫ステータス
取引情報
自衛隊のイラク派兵
隊友よ、殺すな、殺されるな!
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2004年9月
- 書店発売日
- 2004年9月19日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年8月22日
目次
まえがき 2
第1章 自衛官・家族の皆さんへ――イラク出動Q&A 9
――イラク「派遣」へのすべての疑問に答えます!
●イラクへの出動は拒否できるのでしょうか? 10
●出動を拒否したらどのような処分になるのか? 12
●自衛官の家族は夫(妻)の派遣に反対できるか? 14
●派遣命令には絶対服従しなければならないか? 17
●海外派遣は隊員の「宣誓義務違反」ではないか? 20
●自衛隊員は自由に退職できるのか? 21
●自衛隊のイラク出動に本当に危険はないのか? 23
●防衛庁・自衛隊は「戦死者」対策をしているのか? 26
第2章 ドキュメント「こちらは、米兵・自衛官人権ホットライン」 29
――「ホットライン」へ寄せられたメール・電話から
ホームページの開設 30
イラク派兵への家族の不安・危機感 32
自衛官の生命を守っている憲法九条 35
戦争に行くのは裕福でない家庭の子弟 36
ホットライン掲示板への相談 39
現職自衛官からの反論も 43
予備自衛官からの投稿 48
「いじめで殺される」――隊内の悲痛な叫び 50
「荒らし」が殺到したホットライン掲示板 53
第3章 イラク派遣予定部隊からの報告 57
――ある現職自衛官の隊内リポート
ぼくが自衛隊に入った理由 58
「命令」に追われる隊内生活 64
「共産主義」は自衛隊の敵か? 73
敵の中に味方を! に共感 80
イラク派遣への隊員の意識 83
派遣要員A君との対話 92
隊員から市民への要望 99
第4章 サマワ自衛隊の活動を検証する 105
――武装した自衛隊による「人道復興支援」は成り立つのか?
隊員を政治の道具に使う小泉首相 106
私にとってのイラク戦争 108
イラク・中東への私の関心 112
サマワの市民と自衛隊 117
サマワ自衛隊の活動実態 119
民間に浄水・給水作業を任せられないのか 124
警備会社にガードされる自衛隊 126
なぜ私は非戦なのか 131
第5章 海外派兵時代の自衛隊員たちの苦悩 141
――情報公開法で捉えた自衛隊内の実態
苦悩する自衛隊員たち 142
放火と飲酒――事故続発に見舞われる海上自衛隊 143
旧海軍の伝統を堅持する海上自衛隊 145
情報公開法で開示された自衛隊内の事件・事故 148
増加する「幹部の犯罪」 151
相次ぐ「特殊部隊」での自殺 155
自殺に「原因不明」と答弁する防衛庁長官 159
PTSD対策を始めた自衛隊 163
補足 自衛官の階層構成――その実態分析 166
第6章 自衛官の人権――その現状と今日的意義 169
――自衛官の、自衛官による人権獲得の闘いを検証する
意思を表明する自衛官の家族 170
戦後の自衛隊と人権 171
反戦自衛官裁判と人権 176
「兵士の労働組合」を認めるヨーロッパ 181
戦後の反戦平和運動と自衛官の人権 184
イラク戦争の泥沼化と自衛隊派兵の拡大 189
自衛官の人権を擁護するホットライン 193
■資料一 自衛官と家族のみなさんへ 197
■資料二 情報公開法で開示された自衛隊内の実態 209
前書きなど
日本ではほとんど知られていないが、アメリカには「マザー・テスト」という言葉がある。この意味は、「母の許しを求める試練」、つまり、軍の最高司令官としての大統領の資質と判断を問う試練の意味である。
軍の派兵を命令する大統領は、その戦争の意義、兵士たちの戦死の意義を母親に説明し、納得してもらわなければならない。
実際、米大統領は、戦死した兵士たちの遺族へのお悔やみの手紙に、一枚一枚署名する。
だが、最愛の子どもを亡くした母親たちが、こんな大統領の言葉に納得するだろうか?
二〇〇三年四月二日、長男をイラク戦争で失ったライラ・リップスコムさんは、この米大統領の手紙を「私の人生で最も空虚な手紙だった」(〇四年八月一三日付『朝日新聞』夕刊)と語っている。
イラク戦争の開戦以来、米兵の戦死者は九一九名に上る(〇四年八月三日現在)。米英占領軍、多国籍軍全体では、千名を超えたと言われている。この戦争での負傷者は、すでにこの数倍をも超えているだろう。
昨年のイラク国会で小泉首相は、「殺されるかもしれない、殺すかもしれない」と、言い放った。自衛隊の最高指揮官として、無責任きわまりない暴言である。
だが、イラク戦争の長期化・泥沼化の中で、自衛隊派兵も長期化しつつあり、戦争のこの情勢が続けば、自衛隊員の「戦死者」は避けられない。この事態の中で小泉首相は、「マザー・テスト」に耐えうるのか?
いつの時代も戦場で死に傷つくのは、富裕ではない人々だ。日本でもアメリカでも、最も下層の民衆・兵士が戦場に投入される。その兵士たちには、人権さえもほとんど保障されていない。
『米兵・自衛官人権ホットライン』は、このような人々の命と人権を守るために発足した。 本書は、この一年間の活動報告とともに、「派兵の時代」の中で矛盾が集中しつつある自衛隊内の実情をリポートする。
なお、本書の第1章、第2章、第5章、第6章は小西誠が、第3章は矢吹隆史が、第4章は渡辺修孝が、それぞれ分担執筆した。
本書の刊行を契機として、イラク反戦運動や自衛官の人権問題の関心が高まれば幸いである。
二〇〇四年八月三一日
関連リンク
上記内容は本書刊行時のものです。