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日本の人形芝居をとらえなおす―伝統的人形操りへの多様な視点 細田 明宏(編集) - 琥珀書房
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日本の人形芝居をとらえなおす―伝統的人形操りへの多様な視点 (ニホンノニンギョウシバイヲトラエナオス デントウテキニンギョウアヤツリヘノタヨウナシテン)

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発行:琥珀書房
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ17mm
336ページ
並製
価格 7,200 円+税   7,920 円(税込)
ISBN
978-4-911589-33-5   COPY
ISBN 13
9784911589335   COPY
ISBN 10h
4-911589-33-7   COPY
ISBN 10
4911589337   COPY
出版者記号
911589   COPY
Cコード
C0074  
0:一般 0:単行本 74:演劇・映画
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2026年3月25日
書店発売日
登録日
2026年2月12日
最終更新日
2026年7月7日
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紹介

文楽を中心に、近代の人形芝居と人形操りについて、国を越えた多角的アプローチで迫る論集。

第一部「演技と表現」、第二部「媒体と場」、第三部「創作と伝承」、第四部「伝統と近代」の四部構成。

三人遣い、乙女文楽、八王子車人形と現代人形劇、日本とドイツの人形劇との関わりなど、伝統的人形操りについて多様に論じられる一冊。

目次

はじめに (細田明宏)
第一部 演技と表現
第一章 現行文楽における人形遣いの演技と表現(後藤静夫)
第二章 文楽人形うしろぶり考 女方人形の愁嘆表現にみる動作の特異性(中野ふくね)
第三章 からくりと能(三) 竹田からくり「武功乱曲扇」を中心に(山田和人)

第二部 媒体と場
第四章 乙女文楽人形のマテリアリティと人形遣い・人形の関係性 稽古の様子から人形の「不具合」まで(ゴロウィナ・クセーニヤ)
第五章 現行文楽における人形首の選定(首割り)と変更(後藤静夫)
第六章 観客にとって、文楽人形の顔はどれほど人間に近いか 心理学的アプローチから考える (大江朋子、細田明宏:共著)
第七章 道頓堀の人形浄瑠璃興行に関する覚え書き 竹本座と金毘羅大芝居のことなど(久堀裕朗)
(コラム)三人遣いと民主主義 「ブンラク」の国際的展開(山口遥子)

第三部 創作と伝承
第八章 八王子車人形と現代人形劇による『シャンクス・メア』―日米の人形芝居アーティストによる文化を超えた創作と上演 (クラウディア・オレンスティン、:翻訳、細田明宏)
第九章 近代日本における民俗的(ヴァナキュラー)な人形芝居の出現と展開―「人形的身体」から考える(薗田郁)
第十章 大学教育における文楽人形劇 少子化の荒波の中で(片山剛)

第四部 伝統と近代
第十一章 西川伊三郎の代々(澤井万七美)
第十二章 日本の「人形劇」誕生前夜―ドイツの芸術的人形劇との関わりを中心に
(山口遥子)
第十三章 近代の東京における「女人形遣い」―女性による人形浄瑠璃の興行(細田明宏)

前書きなど

 日本にはさまざまな人形芝居が伝承されている。本書はそのような人形芝居を多様な視点あるいは方法でとらえなおすことによって、新たな像を提示しようとするものである。
 人形操りに関するこれまでの研究においては、高度な人形操法で知られる文楽の三人遣いへの注目が際立って高かったといえる。しかし日本の人形芝居をより立体的に理解するためには考察対象の幅を広げる必要があるだろう。そのため本書は、さまざまな人形芝居を議論の対象として取り上げる。文楽の三人遣いのほか、三人遣いから派生した八王子車人形や乙女文楽、竹田からくり、さらには近代に成立した女人形遣いや民俗的な人形芝居、現代人形劇などである。
 本書ではこれらの人形芝居の歴史的な様相あるいは、実際の伝承や上演のありようについての議論が展開される。伝統的な人形芝居などのいわゆる「伝統芸能」はややもすれば、固定化された上演形態あるいは演目を形を変えずに受け継いでいくものと考えられがちである。しかし、たとえ世代を超えて受け継がれている人形芝居であっても、その伝承を受け継ぐのは個々の演者であり、その演者たちによる個々の上演によって伝統が形成されていく。したがって伝承や上演がどのようになされるかということは、常に新しく、また本質的な問
題なのである。
 また、日本の人形芝居をどうとらえるかという「見方(perspective)」も重要な問題である。見方が違えば、見え方や見えるものが違ってくるからである。日本の人形芝居といってもその存在意義は日本に限定されるものではなく、文化を超えた価値を持ちうる。日本の人形操りが異文化の文脈に置かれたり解釈されたりする時に、見方の違いが最も顕著に表れると思われる。山口遥子氏にコラムという形で報告してもらった、欧米の現代人形劇における「ブンラク(Bunraku)」はそのような例の一つといえる。
 研究においても見方の問題は重要である。本書第八章では、アメリカの演劇研究者であるクラウディア・オレンスティン氏が八王子車人形における伝承の問題を論じる。興味深いのは、日本の研究者であれば人形芝居の「八王子車人形」を中心に論じるだろうと思われることを、彼女は演者の「五代目西川古柳」を中心に論じているということである。すなわち世代を超えて受け継がれている「八王子車人形」を中心に見るか、実際に上演する「五代目西川古柳」を中心に見るかという見方の違いがあるのであるが、それは論者の属する文化の違いによるところが大きいのではないかと筆者には思われる。大事なのは、どちらの見方が正当かということではなく、それらを同じ俎上に載せることでお互いに理解を深めていくことだろう。
 以上のような観点から、本書では多様な視点や方法によって日本の人形芝居を多角的に論じる。具体的には、文学作品や土地台帳、新聞記事などの文字資料に対する文学的/演劇学的研究あるいは芸能史的研究、さらには参与観察に基づく文化人類学的研究、調査結果を定量的に分析する心理学的研究などである。

著者プロフィール

細田 明宏  (ホソダ アキヒロ)  (編集

人形浄瑠璃研究。
2001年京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(人間・環境学)。現在、帝京大学教授。
〔著書・論文〕
『近代芸能文化史における『壺坂霊験記』―生人形から浄瑠璃、そして歌舞伎・講談・浪花節へ』(ひつじ書房、2020年)、「SPレコードおよび新聞ラジオ面における浪花節の詞章」(真鍋昌賢編『浪花節の生成と展開』、せりか書房、2020年)。

後藤 静夫  (ゴトウ シズオ)  (

文楽協会、国立文楽劇場、国立劇場に制作として勤務。2004年より京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター教授。現在、京都市立芸術大学名誉教授。
〔著書・論文〕
『人形浄瑠璃文楽における伝承と現在―制作者の視座から』(琥珀書房、2026年)、『人形芝居と文楽』(小峰書店、1995年)。

中野 ふくね  (ナカノ フクネ)  (

京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。同大学院博士(後期)課程在籍。同大学非常勤講師。泉屋博古館 アソシエイトフェロー。モリムラ@ミュージアム エディトリアルスタッフ。
〔著書・論文〕
「人形浄瑠璃文楽における三人遣いの合図の仕組み―人形動作に組み込まれた「ズ」と「ホド」の実演リサーチを通じて」(『京都市立芸術大学研究紀要』第70号、2026年)、「文楽人形の型は不変か―デジタルアーカイブを活用した人形演技の研究―」(公益財団法人サントリー文化財団助成プログラム、2025 ~26年)。

山田 和人  (ヤマダ カズヒト)  (

同志社大学大学院文学研究科国文学専攻修了。同志社大学文学部専任講師、助教授、教授。博士(国文学)(同志社大学)。現在、同志社大学名誉教授。同研究開発推進機構嘱託研究員。
〔著書・論文〕
『竹田からくりの研究』(おうふう、2017年)、『洛東遺芳館所蔵古浄瑠璃の研究と資料』(和泉書院、2000年)。

ゴロウィナ クセーニヤ  (ゴロウィナ クセーニヤ)  (

サンクトペテルブルク国立大学で日本学を専攻。東京大学大学院にて博士号取得。慶應義塾大学等で非常勤講師、東京大学特任講師・特任准教授。現在、東洋大学准教授。
〔著書・論文〕
Migrant art as embodied and relational homemaking: Integrating oneself in Japan through sensory materiality. Journal of Material Culture 30(3): 285–308 (2025)、『日本に暮らすロシア人女性の文化人類学―移住、国際結婚、人生作り』(明石書店、2017年)。

大江 朋子  (オオエ トモコ)  (

2004年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(社会心理学)。現在、帝京大学教授。
〔著書・論文〕
『心理学実験』(分担執筆、遠見書房、2019年)、『偏見や差別はなぜ起こる? ―心理メカニズムの解明と現象の分析』(分担執筆、ちとせプレス、2018年)。

久堀 裕朗  (クボリ ヒロアキ)  (

京都大学大学院文学研究科博士後期課程(国語学国文学専修)研究指導認定退学。博士(文学)。現在、大阪公立大学大学院文学研究科教授。
〔著書・論文〕
『上方文化講座 義経千本桜』(共編著)(和泉書院、2013年)、「淡路の人形座」(『新体系日本史8 社会集団史』、山川出版社、2022年)。

クラウディア オレンスティン  (クラウディア オレンスティン)  (

1993年にスタンフォード大学で演劇、演出、批評の博士号を取得。現在、ニューヨーク市立大学ハンターカレッジおよび大学院教授。オンラインジャーナル『Puppetry International Research』(https://pirjournal.commons.gc.cuny.edu)編集者。
〔著書・論文〕
Reading the Puppet Stage: Reflections on the Dramaturgy of Performing Objects (Routledge, 2024); Co-editor of these books: Making Meaning in Puppetry: Materials, Practice, Perception (Routledge 2026); Puppet and Spirit: Ritual, Religion, and Performing Objects (in two volumes―Routledge 2024 and 2025); Women
and Puppetry: Critical and Historical Investigations (Routledge 2019); and The Routledge Companion to Puppetry and Material Performance (Routledge, 2015).

薗田 郁  (ソノダ イク)  (

大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位習得退学。博士(文学)。現在、大阪大学中之島芸術センター特任助教。
〔著書・論文〕
『浪花節の生成と展開―語り芸の動態史にむけて』(共著、せりか書房、2020年)、『ちんどん屋:宣伝・広告と芸能のハブとなる生業』(共著、大阪大学出版会、2024年)。

片山 剛  (カタヤマ ゴウ)  (

神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位取得。修士(文学)。大学教員として文楽人形による創作劇を指導、幼稚園等で上演。新作浄瑠璃の創作、上演も。
〔著書・論文〕
『江戸情七不思議』(創作浄瑠璃集)、『フィガロの結婚』(能、狂言、文楽のための)。

澤井 万七美  (サワイ マナミ)  (

大阪大学大学院文学研究科(現、人文学研究科)芸術学専攻修了。博士(文学)。現在、沖縄工業高等専門学校基盤教育科教授。
〔著書・論文〕
『忘れられた演劇』(共著、神山彰編、森話社、2014年)、『乙女文楽―開花から現在まで―』(共著、乙女文楽研究会編著、大阪大学出版会、2023年)。

山口 遥子  (ヤマグチ ヨウコ)  (

東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。現在、独立行政法人日本学術振興会海外特別研究員(ドレスデン国立美術館)。隔年開催の「下北沢国際人形劇祭」企画統括。
〔著書・論文〕
「物を尊敬する演劇―オブジェクトシアターの実践と思想」(『演劇学論集 日本演劇学会紀要』81号、2025年)、「オブジェクトとコメディー―第1回下北沢国際人形劇祭参加団体を中心としたチェコとスロベニアの現代人形劇概況」(『SLAVISTIKA』XXXVIII/XXXIX、2025年)。

上記内容は本書刊行時のものです。