版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
絣の着物 壺井栄戦争末期短編集 壺井栄(著) - 琥珀書房
.
【利用可】

書店員向け情報 HELP

書店注文情報

注文電話番号:
注文FAX番号:
注文メール:
注文サイト:

在庫ステータス

不明

取引情報

取引取次:
八木     ト・日・他     書店
直接取引:あり
返品の考え方: 返品条件付き出荷

出版社への相談

店頭での販促・拡材・イベントのご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

絣の着物 壺井栄戦争末期短編集 (カスリノキモノ ツボイサカエセンソウマッキタンペンシュウ)

文芸
このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:琥珀書房
B6判
194ページ
並製
価格 2,200 円+税   2,420 円(税込)
ISBN
978-4-911589-16-8   COPY
ISBN 13
9784911589168   COPY
ISBN 10h
4-911589-16-7   COPY
ISBN 10
4911589167   COPY
出版者記号
911589   COPY
Cコード
C0193  
0:一般 1:文庫 93:日本文学、小説・物語
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2025年6月10日
書店発売日
登録日
2025年5月30日
最終更新日
2025年6月24日
このエントリーをはてなブックマークに追加

書評掲載情報

2025-06-05 NHK「おはよう日本」  
MORE
LESS

紹介

1945年6月10日北京発行。戦争批判を根底にした壺井栄の幻の戦時下出版の全貌がここに。

『二十四の瞳』の作者として知られている小豆島出身の作家、壺井栄。
戦時下でも精力的に作品を発表しつづけた壺井栄は、日本国内の出版環境が厳しくなる中、毎日新聞社からの協力を得て、本土ではなく「外地」での短編作品集『絣の着物』刊行に踏み切った。

毎日新聞北京支局内に設置された「月刊毎日社」が発行母体となり刊行された『絣の着物』は、戦争末期の混乱のなか、戦後も著者のもとに届けられることもないままに埋もれていた。

全集未収録である4作品(本書が初公開となるのは3作品)を含む全13の短編は、いずれにも戦時下の状況に翻弄される市井の人々の生活や日常が描かれ、そこには確かな戦争批判が通底している。

このたび『絣の着物』を発見した編者による北京刊行の経緯を検証する解説により、戦時下の出版のあり方、そして日中の出版文化史の重要な一面についても考察される。
附録として、壺井栄の戦時下最後の雑誌発表作品となった随筆「初夏を待つ」、そして壺井栄の戦時下日記である「茶の間日記」のうち、本書と関連する10日間の記述を収録する。

戦争に翻弄される人々の日々の営みを細やかにまなざした本書を80年越しに、戦争の直接の記憶が薄れつつある日本社会に届ける。

<目次>
(★ は壺井栄全集未収録の作品。「花見時」「老人」「産衣」の三つについては新発見であり、本書が初公開となる。)
絣の着物
箪笥の歴史
鷺宮二丁目
霜月
リンゴの頬
藪がらし
花見時★

音のゆくへ
老人★
産衣★
特殊衣料配給日
村の運動會★

(附録)随筆「初夏を待つ」(★ 雑誌『大陸』掲載作品。)
(附録)「茶の間日記」(本書に関係する戦時下の日記を抜粋)

解説 壺井栄『絣の着物』の戦時下出版―北京発行の経緯を検証する   (解説者)秦剛

目次

絣の着物
箪笥の歴史
鷺宮二丁目
霜月
リンゴの頬
藪がらし
花見時

音のゆくへ
老人
産衣
特殊衣料配給日
村の運動會

(附録)随筆「初夏を待つ」(雑誌『大陸』掲載作品。)
(附録)「茶の間日記」(本書に関係する戦時下の日記を抜粋)

解説 壺井栄『絣の着物』の戦時下出版―北京発行の経緯を検証する(解説者)秦剛

版元から一言

北京外国語大学の秦剛先生の調査と研究をもとに、壺井栄と毎日新聞社が戦争末期に刊行し、結局人々の手に届くことがなかった短編集を、80年ぶりに「内地」日本社会に届けることができました。
全集未収録作品(今回が初公開となる作品)を含む本書の作品のいずれも、戦時下の日本での市井の人々の暮らしを見事に描いたもので、戦後80年の節目と為る本年にふさわしい出版になったと思います。
壺井栄が戦争の日々の中で描く世界は、戦争末期でも、いや、だからこそというべきか、毎日を懸命に働き、生きる人々の生活を根底に据えているように感じます。

試しに試読をお願いした中学3年生の姪っ子も、楽しく読んでくれました。
戦争中の暮らしや戦争のリアルが伝わり、中学・高校生にも、心からおすすめいたします。
世代を問わず、ぜひ、お読みくださいませ。

著者プロフィール

壺井栄  (ツボイ サカエ)  (

明治32年(1899)8月5日、醤油の樽職人である岩井藤吉、妻アサの五女として坂手村(現小豆島町坂手)に生まれた。
幼少時に家計が傾いたため、他家の子守をしながら坂手尋常小学校へ通い、内海高等小学校を卒業。村の郵便局、村役場等に勤める傍ら文学書を読む。
大正14年(1925)同郷の壺井繁治をたよって上京し結婚した。繁治や黒島伝治、佐多稲子などプロレタリアの作家の影響をうけ、昭和13年(1938)処女作『大根の葉』を文芸に発表。以来『暦』『初旅』『母のない子と子のない母と』など、小説、随筆を1,500篇あまり発表し、新潮社文芸賞、児童文学賞、芸術選奨文部大臣賞、女流文学者賞などを受ける。
中でも昭和29年(1954)木下惠介監督で映画化された『二十四の瞳』は一躍有名となり、今日の観光小豆島の盛況の端緒を開いた。
昭和42年(1967)5月3日内海町(現小豆島町)名誉町民の称号が与えられる。6月23日67歳、東京で没した。

秦 剛  (シン ゴウ)  (解説

1968年生まれ。東京大学大学院博士課程修了、博士学位取得。北京外国語大学北京日本学研究センター教授。主著に宮坂覺編『芥川龍之介と切支丹物 多声・交差・越境』(翰林書房、2014年、共著)、坪井秀人編『東アジアの中の戦後日本』(臨川書店、2018年、共著)、竹内栄美子・高橋誠一郎・野村剛・丸山珪一編『堀田善衞研究論集 世界を見据えた文学と思想』(桂書房、2024年、共著)他。

上記内容は本書刊行時のものです。