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戦争社会学研究 第9巻 戦争と観光/家族のなかの戦争
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2025年6月30日
- 書店発売日
- 2025年7月7日
- 登録日
- 2025年6月11日
- 最終更新日
- 2025年6月18日
紹介
「戦後八〇年」「ポスト体験時代」「ポストコロナ」という時代状況のなかで、「戦争」研究の次の可能性を探る。全ての社会成員が戦争体験者だった時代から、親が体験者である世代を経て、今や祖父母が体験者である世代が多くを占める時代となった。そのなかで、戦争と「観光」/「家族」という観点もまた、変容を迫られている。これからの「戦争」研究の可能性、多様性を提示する。
〈特集1 「戦争と観光」の戦後史〉ポストコロナ時代において観光産業が復活するなかで、戦争に関連した観光もまた、再構築のさなかにある。その時代状況を踏まえ、これまで観光社会学、観光人類学、戦争社会学などの分野で展開されてきた議論をさらに開拓すべく、京都、広島、沖縄、パラオという4つの地域を取り上げた論考を掲載。
〈特集2 家族のなかの戦争記憶につながる〉時間的なへだたりが拡がるなかでも、家族は戦争の生々しい記憶・トラウマにつながる重要な経路としてある。戦争体験者の孫たちは、家族内の〈戦争〉にいかに影響され応答してきたのだろうか。戦争体験者なき時代が目前に迫る今、戦争記憶を分有へ開くことの困難と意味を問い直す論考3つを掲載。
ほか、投稿論文1本に、例会報告、書評を掲載。
目次
特集1 「戦争と観光」の戦後史
戦争が観光を生む、観光が戦争を作る――特集企画について 長島怜央
パラオ諸島における戦地慰霊の展開と観光 中山 郁
Hiroshima・ヒロシマ・広島における観光・ツーリズム フィリップ・シートン
進駐を飼いならす――敗戦後京都における観光と「移動的な社会の秩序化」 遠藤理一
戦後沖縄にみる戦争と観光の結びつき――復帰前後の時期における「性を消費する観光」の発達と変容から 小川実紗
特集2 家族のなかの戦争記憶につながる
家族のなかの戦争記憶につながる――孫世代のオートエスノグラフィーからの構想 清水 亮
復員日本兵の祖父の戦争経験と私への戦争トラウマの連累 中村 平
「知る」という営みの再考――ともに歩くという実践を通して 愛葉由依
例会報告 エクスカーション企画記録
福井県における軍隊の記憶の現在地――鯖江歩兵第三六連隊と若狭町における第六潜水艇事故関係施設の概要と例会記録 木村美幸
投稿論文
主婦の空襲記録運動――大阪大空襲の体験を語る会代表の視点と行政・知識人の参画 星 鉄雲
書評論文
角田 燎『陸軍将校たちの戦後史』:戦友会研究の新たな可能性を切り開く 吉田 裕
中原雅人『自衛隊と財界人の戦後史―支援ネットワークの形成とその意味』:自衛隊はいかにして日本社会に受容されていったのか 佐道明広
松田小牧『定年自衛官再就職物語―セカンドキャリアの生きがいと憂うつ』:自衛隊における「退役軍人の論点」を考える 津田壮章
愛葉由依『原爆被爆者の暮らしとトラウマ―絡み合いを描きだす』:原爆被爆者の視点から「トラウマ」を再考する 根本雅也
遠藤美幸『悼むひと―元兵士と家族をめぐるオーラル・ヒストリー』:参与という社会調査/継承実践への誘い 清水 亮
清水亮・白岩伸也・角田燎編著『戦争のかけらを集めて 遠ざかる兵士たちと私たちの歴史実践』:私たちが戦争のかけらを集めるということ 今野日出晴
前書きなど
いまなぜ「「戦争と観光」の戦後史」なのか。まずは社会的背景を確認しておきたい。二〇世紀は「戦争の世紀」と言われたが、すでに四半世紀が経とうとしている二一世紀においても、アメリカの「対テロ戦争」をはじめ、依然として大規模な悲惨な戦争が世界各地で起きてきた。そして東アジア情勢も変化するなかで、日本では「安全保障環境の厳しさ」や「一国平和主義からの脱却」が叫ばれ、「戦前」意識が高まりを見せてきた。戦後の平和主義だけでなく、さまざまな形で戦争を考えることや学ぶことへの関心が高まっている。(本書掲載、長島怜央「戦争が観光を生む、観光が戦争を作る」より)
版元から一言
※戦争社会学研究会のジャーナル『戦争社会学研究』は、第一巻が勉誠出版、第二巻~第七巻までみずき書林で刊行されていましたが、前回の第八号より、図書出版みぎわからの刊行となりました。ご注文の際はご注意ください。
上記内容は本書刊行時のものです。