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「日本語」の文学が生まれた場所
極東20世紀の交差点
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年12月11日
- 書店発売日
- 2023年12月11日
- 登録日
- 2023年11月6日
- 最終更新日
- 2024年2月8日
書評掲載情報
2024-05-02 |
京都新聞
評者: 阿部秀俊(著者インタビュー) |
2024-04-13 |
西日本新聞
朝刊 評者: 平原奈央子(西日本新聞記者) |
2024-03-23 | 信濃毎日新聞 朝刊 2024年3月23日 |
2024-03-19 |
読売新聞
朝刊 2024年3月19日 評者: 著者インタビュー(池田創) |
2024-03-17 |
北海道新聞
朝刊 2024年3月17日 評者: 千葉一幹 |
2024-03-02 | 朝日新聞 朝刊 |
2024-02-17 |
図書新聞
評者: 中山弘明 |
2024-02-17 |
図書新聞
2月17日号 評者: 中山弘明 |
2024-02-11 |
しんぶん赤旗
2024/2/11 評者: 金子徹(著者インタビュー) |
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紹介
近代の「日本語」による文学の行き交いを、極東アジアの広がりに位置づける。
従来の文学史を更新する決定的論考!
20世紀初頭の都市「東京」を諸民族が行き交う極東アジアのハブとして着目し、ここからの「日本語」文学の形成と、国境を越えて展開される言語表現の行き交いの歴史を明らかにする。
夏目漱石や森鷗外の「言文一致」は、中国や朝鮮の「話し言葉」による文学革命と、何を共有したのか? 女性たちの生き生きとした話し言葉が、ここに現われ出たのは、なぜなのか? 植民地社会で「日本語」での創作を強いられた現地人の作家たちは、どんな抵抗と創造の軌跡を歩んだか? 今世紀に向かい、非日本人の定住者によって、新しく切り開かれてきた文学の領域とは?
「国境」と「外地」をキーワードとした「日本語」文学論の集大成!
目次
序
Ⅰ 鷗外と漱石のあいだで
第1章 鷗外と台湾と魯迅のあいだ
台湾映画の鷗外と北白川宮/「尖閣島」とは何か?/異なる言語の下で生きる――魯迅が日本にいたころ/中文と日文――働く者の創作の行き交い/葛藤の次元へ――“皇民文学”のなかで起きていたこと/さらに言語を失うことからの経験――一人の少年が本を読む
第2章 女の言いぶん
作家・森しげを読んでみる/「民報」の小母さん、前田卓の周辺/管野須賀子ののち
第3章 語りうる世界の深まり
移動について/地理について/語りうるものの膨らみ/残ったもののこと
おわりに
Ⅱ 〈外地〉の日本語文学の広がり
第1章 多面体の鏡――南方・南洋・台湾
はじめに/南島での記憶/台湾の“新文学運動”/黄氏鳳姿という少女が考えたこと/「決戦下」の日本語を宿主として語られたもの/生きている場所での滞留/「光復」後の日本語文学
作家と作品について(森三千代「どんげん」/井伏鱒二『花の町』/中島敦「マリヤン」/高見順「ノーカナのこと」/佐藤春夫「魔鳥」/楊逵「新聞配達夫」/中村地平「霧の蕃社」/黄氏鳳姿『七娘媽生』/張文環「芸妲の家」/坂口䙥子「春秋」「隣人」/龍瑛宗「邂逅」/呂赫若「風水」/王昶雄「奔流」/邱永漢「密入国者の手記」)
第2章 螺旋のなかの国境――満洲・内蒙古・樺太
はじめに/サハリン、「国境」の概念/樺太に芽ぐんだ日本語文学/日付の外のサハリン文学/満洲文学、広がりと領域/他者からの「満洲」経験/消えゆく場所に生きる
作家と作品について(宮内寒彌「中央高地」/小熊秀雄「飛ぶ橇――アイヌ民族の為めに」/譲原昌子「朔北の闘い」/安西冬衛『軍艦茉莉』/北川冬彦『戦争』/平林たい子「敷設列車」/谷譲次「安重根――十四の場面」/野川隆『九篇詩集』/今村栄治「同行者」/日向伸夫「第八号転轍器」/長谷川濬「家鴨に乗った王」/牛島春子「祝という男」/石塚喜久三「纏足の頃」/高木恭造「晩年」)
第3章 旗のない文学――朝鮮
はじめに/一九四〇年のクリスタル/異言語のアマルガム/鏡のなかの言葉/キメラの葛藤/肉体のなかの戦争/在日する肖像
作家と作品について(高浜虚子『朝鮮』/李寳鏡(李光洙)「愛か」/中西伊之助「不逞鮮人」/金熈明「異邦哀愁」/中島敦「巡査の居る風景――一九二三年の一つのスケッチ」/李箱「異常の可逆反応」ほか/李孝石「蕎麦の花の頃」/湯淺克衛「棗」/金史良「天馬」/井伏鱒二「朝鮮の久遠寺」/李石薫(牧洋)「静かな嵐」(第一部)/兪鎮午「南谷先生」/尹徳祚『歌集 月陰山』/青木洪「ミィンメヌリ」/金鍾漢『たらちねのうた』/小尾十三「登攀」/金達寿「塵芥(ごみ)」)
Ⅲ 新しい定住者が生みだす世界――金達寿から始まるもの
「在日朝鮮人」という意識の起源/根こぎにされた母子像/「内地」と屑鉄/ユーモアの発生源/被支配民族を結びつけたもの/『玄海灘』から始まる/日本とは、どういう土地か/「在日朝鮮人文学」を岩波文庫の緑帯に/背後に燃える火
[巻末資料]年表/索引/地図
前書きなど
この主題に着手してから、およそ三〇年を過ごしてきた。
一九九〇年代、三〇代だった私が、「外地」の日本語文学について手探りで調査を進めていたころ、当事者の台湾人、朝鮮人、日本人の作家たちのいくばくかは健在で、この人たちからじかに教えを受けられたことが、導きとなった。いまは、その人たちも、ほとんどが故人である。
過去について知ることは、未来に希望を見出すことにつながる。翳りゆく風光のなか、このごろ、私はそのようにも感じている。(本書「序」より)
上記内容は本書刊行時のものです。