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異界往還小説考
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年10月17日
- 書店発売日
- 2023年10月17日
- 登録日
- 2023年8月14日
- 最終更新日
- 2024年4月18日
書評掲載情報
2023-11-25 |
図書新聞
2023年12月2日号 評者: 中山弘明 |
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紹介
読書行為自体が、現実と異界の往還である――
森鷗外や夏目漱石、谷崎潤一郎ら近代文学の文豪や、戦後に活躍した太宰治、江戸川乱歩、三島由紀夫、そして現在の村上春樹といった作家の、読者を現実から解き放ち、時空も空間も超えた自由な世界へ誘う35作品を紹介。読者がなぜ、「ここではないどこかへ」へと誘う小説に惹かれるのか。そのメカニズムをも解き明かす。
目次
はじめに――ハリー・ポッターのロンドン
序 章 異界往還の構造分析に憧れて
第一章 近代における海外
森鷗外「舞姫」/夏目漱石「倫敦塔」/岡本かの子「巴里祭」
第二章 桃源郷の魔力
泉鏡花「高野聖」/森敦「月山」/谷崎潤一郎「少年」/宇野浩二「蔵の中」
第三章 地方・郊外、近代が作った異界
夏目漱石「坊ちゃん」/志賀直哉「城の崎にて」/深沢七郎「みちのくの人形たち」/太宰治「津軽」/大岡昇平「武蔵野夫人」
第四章 時間と空間の歪み
谷崎潤一郎「蘆刈」/坂口安吾「桜の森の満開の下」
/村上春樹「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」/江戸川乱歩「押絵と旅する男」
コラム 帰ってこなかった男――安部公房「砂の女」
第五章 性のラビリンス
川端康成「雪国」/永井荷風「濹東綺譚」/川端康成「眠れる美女」/宮本輝「泥の河」
第六章 内なる異界としての幻覚・夢・病気
萩原朔太郎「猫町」/宮澤賢治「銀河鉄道の夜」/夏目漱石「夢十夜」/内田百閒「冥途」/芥川龍之介「河童」/武田泰淳「富士」/安岡章太郎「海辺の光景」
第七章 伝奇の中の異界
国枝史郎「神州纐纈城」/澁澤龍彦「六道の辻」/石川淳「六道遊行」
第八章 異界からの来訪者
三島由紀夫「美しい星」/唐十郎「安寿子の靴」/色川武大『怪しい来客簿』より「空襲のあと」「墓」/田中小実昌「ポロポロ」
終 章 物語の構成原理としての異界往還と、近代におけるリアリティーの確保
あとがき
前書きなど
人一人は一生を生きるだけであるが、その周辺の人や物は、その人がたとえ死んでも、続いていくはずである。おそらく、物語における時空の往還には、生が不可逆の一方向と運命づけられている我々人間の、可逆性などへの憧れが反映されているものと考えられるのである。(本書より)
版元から一言
「ここではないどこかへ行って、帰ってくる」という型を持った近代~現代の日本の小説を35作品を紹介しています。旅を描いた小説や怪奇小説、「異世界」小説など、幅広い文学作品を取り上げています。夏目漱石や森鷗外のほか、文庫でも入手できる小説も多く取り上げていますので、フェア展開などもしやすい本です。
上記内容は本書刊行時のものです。