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踊り場
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年2月16日
- 書店発売日
- 2023年2月16日
- 登録日
- 2022年11月13日
- 最終更新日
- 2023年3月9日
紹介
現代美術家・大東忍(1993年・愛知県半田市生まれ)による初の木炭画作品集「踊り場」です。
人の生活の痕跡が物語る風景を描く画家であり、盆踊り愛好家でもあります。2022年は猪熊弦一郎現代美術館第1回MIMOCA EYE高嶺格賞を受賞、2023年もさまざまな場所での展示が決まっています。
ひと気のない夜の街や忘れられた施設の跡地。「物語る風景」を「踊り場」に、ひとり踊る。白と黒で描かれた木炭画は「言葉のよう」と大東は語ります。絵を「読む」ように楽しむ作品集となっています。
民俗学者・畑中章宏のエッセイも収録。
目次
・はじめに 大東忍
作品24点(代表作と最近の作品)
・実在するのに不在であるもの 畑中章宏
・孤独の向こう側 小川和輝
前書きなど
野暮ったい住宅街や過疎の村落、営みの跡地や登山でたどり着いた山中といった風景を歩き、踊り、描く。画材は主に木炭だ。木炭画は「言葉」のようだと思う。色彩による情感や動きが取り除かれ、光と陰による静かな構成のみとなった白黒灰の画面は、「言葉」に近い、読み物としての絵画となる。
踊りは風景の祝福のためのミュージカルの踊りと、供養のための盆踊りの踊りだ。営みや記憶が痕跡としてはびこる「物語る風景」に向けて、身体を澄まして踊り、風景の声を聞く。
語られるのは、踊らずにはいられない、どうしようもなさを抱えた人間の物語だ。 (大東忍)
版元から一言
大東さんの本は、はじめ絵本のようなものを考えていました。
打ち合わせをし、絵一枚一枚じっくり向き合うと、大東さんが「木炭画は言葉のようだ」という意味が急にわかり軌道修正しました。
4年前から彼女の絵は知っていました。暗闇の中、一人踊る。
パンデミックを経て、鑑賞する側の切実度のレベルが格段に上がったかのようです。世界の見え方すら変わってしまったように思えます。先行きの見えない不安の中で、滑稽に戯れている、自分の姿を見るような気分にもなります。この不思議なモノクロの木炭画が注目されているのは、こういうところにあるのではないでしょうか。大東さんにとっては、この作品集も通過点。今後、どんな世界を見せてくれるのか、出版した私たちも楽しみにしております。
畑中章宏さんと小川和輝さんのテキストも読み応えがあります。一度ぜひ手にとってみてください。
上記内容は本書刊行時のものです。