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ア・プロポ ふらんす語教師のクロニクル 朝比奈誼(著) - スローウォーター
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ア・プロポ ふらんす語教師のクロニクル (アプロポ フランスゴキョウシノクロニクル)

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A5判
195ページ
価格 1,500円+税
ISBN
978-4-910379-40-1   COPY
ISBN 13
9784910379401   COPY
ISBN 10h
4-910379-40-1   COPY
ISBN 10
4910379401   COPY
出版者記号
910379   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
書店発売日
登録日
2023年10月19日
最終更新日
2023年10月19日
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紹介

パリ発の情報ウェブサイト『MON PARIS(モンパリ)』の連載コーナー「月刊・朝比奈ふらんす語」で書き続けた約200本のエッセイから、42本を厳選して初の書籍化。
90歳にして今なお現役のフランス語教師が、フランス語と日本語、国家、政治、文学、スポーツなど多岐にわたるテーマで、その時々の注目トピックを筆者独自の視点で批評・解説した、時代の記録(クロニクル)でもある。

第1章 フランス語と日本語の接点
第2章 日本とフランス、遠さと近さ
第3章 フランス新聞に見る、アメリカと中国
第4章 世界の多様性
第5章 ラ・フォンテーヌ ― 寓話と現代

前書きなど

2002年にスタートした『パリの魅力満載、MON PARIS(モンパリ)』というウェブサイトは、個人旅行を企図する日本人向けに、宿泊や観光に関する情報を提供しているが、そこにParis branché(「ナウいパリ」といったところか?)というコーナーがあり、パリ在住の方々のエッセイを載せている。ついては、そこにフランス語講座を新設したいので、協力願えないか、という話だった。

自分はパリ滞在者でなくなって十数年たつし、大学の仏語教師を定年退職してまもなく十年になる老体だと断ったが、それでも構わぬし、内容も自由だという返事なので、引き受けることにした。

数年して、箱山さんは退職を機に資金提供をやめ、事業から身を引くと宣言された。北原さんは英国に移られた後も「パリ狂 つれづれ」と題する連載を2012年までつづけてサイトを支えておられたが、ご夫君がセネガル大使に抜擢されたためアフリカに向い、サイトを去られた。わたしは上りかけたとたんに梯子を外されたような窮地に立たされた。

しかし、誰からも執筆停止の指示がなく、パリの編集担当が従来どおり対応してくれるのに力を得て、月1回の連載をつづけた。折角開かれた窓を閉ざすのは忍びないと思ったのだ。気がつけば、まもなく200回になる。これを機に、立教大学仏文科卒業生のひとりである編集者・小原秀雄君の誘いに応じて、書籍の形にまとめることに決めた。
 
過去20年近い間、当初こそ英仏両語の異同に関心を集中させたものだが、たまたま朝日カルチャーセンターの講座でフランスの新聞を読むクラスを担当していたから、題材には事欠かなかった。視界はひろがり、文学から政治やスポーツにまで多岐にわたるようになった。フランス語講座という枠組みを外れることはなかったが、今振り返ってみると、その時々の話題を文字どおりアトランダムに取り上げた結果、全体がばらばらであることに呆れる。
そこで、表題に窮した挙句、『ア・プロポ』を選んだ。フランス語で文頭に用いられるA propos に由来するが、白水社ラルース仏和辞典は「それはそうと」という訳語をあてたあとで、「前の話題につられて、あるいはむしろそれと関係なしにふと思い出した事柄を言い出すきっかけに使う」としている。

本書では断章ごとに「ア・プロポ」で話が始まる、という仕かけだ。ちなみに、à proposには「ちょうど良く、時宜を得た」の意味があるが、そんな反応を狙ったわけではないことを断っておく。

要するに、まとまりがないことは承知の上なのだが、そうかと言って、ただの雑文集として片づけられることには心残りがある。というのも、読み返すにつけ、ドーバー海峡のイメージが自分を呪縛していることに気づくからだ。わかりにくいかもしれないので、言いなおそう。何かにつけ、狭いと思えば広いが、広いと思えば狭い、海峡の印象が自分につきまとって離れないということだ。

むろん、事は「海峡」にかぎった話ではない。どの問題についても「隙間」を見つけ出すことができるし、その隙間に目を寄せればひろがって見えるが、遠くから見下ろせばくっついて見えるという道理に行き着く。隔てる作業と、埋める作業、その両方を確かめながら隙間の意味を明らかにする。あえて強弁すれば、そこに一貫性があるように思うのだ。

そこで、目次のような章立てを考え、連載の順序とは無関係に記事を割りふることにした。ただ、時の刻印が色濃い断章が少なくないため、読みづらい場合があることを慮り、表題の後に掲載の年と月を示して、理解の便宜をはかった。
フランス語の引用が文章にまざっていることについて一言。連載の際は当然の形だったが、読み物としてみると煩わしいかもしれない。いっそ仏語部分を別記することも考えたが、却って不自然になることを懼(おそ)れ、原型を維持することにした。かりに訳文だけを読んでも筆者の意見は読者に通じるだろう、と考えている。

版元から一言

フランスの新聞記事からの引用多数なので、フランス語の勉強にも役立ちます。
朝比奈ゆりさん(武蔵野美術大学講師)の素敵なイラストも楽しめます!

著者プロフィール

朝比奈誼  (アサヒナヨシミ)  (

朝比奈 誼(あさひな よしみ)
1933年東京に生まれる。東京大学フランス文学科卒業。立教大学名誉教授。45年間にわたりフランス文学研究、フランス語教育に携わり、教えた学生の数はのべ1万人を超える。仏検出題委員、審査委員、(財)フランス語教育振興協会副理事長を歴任。現在、朝日カルチャーセンター講師として『パスカルを読む』『フランス語圏の文学に親しむ』を講じる。
著書:『フランス的ということ』(有斐閣)、『コトバの壁 ̶ 外国人の目で読む日本文学』(大修館書店)、『フランス語和訳の技法』(白水社)『デカルトの道から逸れて』(小沢書店) 共編著:『フランス文学史』(白水社)『事典、現代のフランス』『パリ 歴史の風景』 訳書:『ミュッセ中短編集』、モンテルラン『ポール=ロワヤル』ほか

上記内容は本書刊行時のものです。