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戦争と学院 下園 知弥(編集) - 西南学院大学博物館
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戦争と学院 (センソウトガクイン) 戦時下を生き抜いた福岡のキリスト教主義学校 (センジカヲイキヌイタフクオカノキリストキョウシュギガッコウ)

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B5変形判
縦257mm 横188mm 厚さ4mm
重さ 300g
80ページ
小口折並製本
価格 1,000円+税
ISBN
978-4-910038-76-6   COPY
ISBN 13
9784910038766   COPY
ISBN 10h
4-910038-76-0   COPY
ISBN 10
4910038760   COPY
出版者記号
910038   COPY
Cコード
C0016  
0:一般 0:単行本 16:キリスト教
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年5月29日
書店発売日
登録日
2023年5月29日
最終更新日
2023年6月9日
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紹介

国家と信仰・教育の間で揺れた苦悩と葛藤の記録――

アジア・太平洋戦争期の日本では、キリスト教主義を掲げた学校は「敵性語」や「敵の文化」を積極的に取り入れていると批判を浴びた。全国のキリスト教主義学校は、国に協力姿勢を示しつつ、学校の形態や授業内容、行事名を変えるなど、さまざまな工夫で学校存続を試みた。
福岡県の三つのキリスト教主義学校(福岡女学院、西南女学院、西南学院)に注目し、各学院で当時使われていた制服や教科書、当時の古い写真などを通して、戦前から戦時下にかけての学生生活と教育の変化について紹介する。【オールカラー/特別展図録】

目次

ご挨拶[西南学院大学博物館館長 片山隆裕]
 開催概要/凡例

序章 宗教団体法と日本基督教団の成立
 【アジア・太平洋戦争下(十五年戦争期)の日本キリスト教 関連年表】
 【コラム】宗教団体法成立以後のカトリックと正教会の動向
     [西南学院大学博物館教員 下園知弥]

第1章 福岡女学院:戦火の葡萄
 第1節 欧化主義の時代
 第2節 戦時下の学び舎
 【戦時下の福岡女学院 関連年表】
 【コラム】戦時下のキリスト教主義学校と女性教育
     [西南学院大学博物館学芸調査員 相江なぎさ]

第2章 西南女学院:十字架と桜
 第1節 変わりゆく生活と教育
 第2節 ロウ記念講堂
 【戦時下の西南女学院 関連年表】
 【コラム】「原松太伝」と「ランカスター伝」にみる戦時下の西南女学院
     [西南学院大学博物館教員 下園知弥]

第3章 西南学院:松の下の受難
 第1節 青春の思い出
 【コラム】西南学院中学部卒業写真集の寄書中の朝鮮語(ハングル)
     [西南学院大学国際文化学部教授 伊藤慎二]
 第2節 戦争を越えて
 【戦時下の西南学院 関連年表】
 【コラム】大学構内に残るアジア・太平洋戦争末期の松脂採取跡
     [西南学院大学博物館学芸研究員 鬼束芽依]

解説:キリスト教主義学校における戦時下資料の保存と継承
 ■「ゐもん帖」からのメッセージ
  [福岡女学院大学人文学部現代文化学科講師 井上美香子]
 ■苦難を越えて守り続けるキリスト教信仰:建学の精神継承の場「ロウ記念講堂」
  [西南女学院中学校・高等学校事務長 山口哲蔵]
 ■西南学院の「御真影奉戴」[西南学院史資料センターアーキビスト 宮川由衣]

論考
 ■戦時下における修学旅行の実態:西南女学院と西南学院の事例を中心に
  [西南学院大学博物館学芸調査員 山本恵梨]
 ■西南学院の使命と平和構築[西南学院大学神学部教授 須藤伊知郎]

参考文献/出品目録

前書きなど

ご挨拶


 西南学院大学博物館は,2006(平成18)年の開館以来,本学の建学の精神であるキリスト教主義にのっとり,キリスト教文化に関する資料収集・調査研究・展示教育活動をおこなってきました。私たちの使命のひとつは,博物館資料という具体的なモノをとおして,キリスト教文化の理解を深める教育研究活動をおこなうことであり,時代や国,教派の枠にとらわれず,多種多様なキリスト教文化に関する資料を調査し,その成果を発信しています。今回は,これまでの調査研究活動の中から「戦争と学院―戦時下を生き抜いた福岡のキリスト教主義学校―」というテーマで展覧会を開催することになりました。
 西南学院は2016(平成28)年の「創立百周年」にあたり,キリスト教主義の学校としてのこれまでの歩みを振り返りました。その歩みの中で,西南学院もアジア・太平洋戦争に加担し諸外国の人々をはじめ多くの人々に多大な苦しみを与えただけでなく,その責任について戦後になっても公に表明してきませんでした。そうした過去に対する責任を痛感するとともに,建学の精神を守ることができなかったこと,キリストに忠実に歩んでこなかったことを心から謝罪して「平和宣言」をおこないました。
 本展覧会は,西南学院だけでなく,同じミッションスクールの福岡女学院,西南女学院にもご協力いただき,戦時下におけるキリスト教主義学校のおかれた状況や戦争に関わりを持つことになった苦悩などを紹介する場となるとともに,戦争に関わったという事実に対する責任と反省をあらためて表明する場にもなることを確信しています。一度,戦争が起きてしまうと多くの命が失われ,人々の平和な生活は奪われてしまいます。そして戦争が終わっても,数十年以上の長きにわたってその苦しみは続くことになってしまいます。終戦後78年が経とうとしている現在,私たちの「戦争に対する記憶」は否応なく風化しつつあります。本展覧会で示されている「戦争の記録」をとおして,今一度,戦争の悲惨さと平和の尊さを実感し,二度と悲劇が起きないよう,ひとりひとりが思いを新たにできれば幸いに存じます。

  2023年5月29日
                            西南学院大学博物館館長
                            片 山 隆 裕

著者プロフィール

下園 知弥  (シモゾノ トモヤ)  (編集

1987年生まれ。京都大学大学院文学研究科思想文化学専攻西洋哲学史専修(中世)修士課程修了。現在,西南学院大学博物館教員(助教・学芸員)。専門はキリスト教思想・美術。主な研究論文に「発展する隣人愛―クレルヴォーのベルナルドゥスの神秘神学における『愛の秩序』の一側面―」(『日本の神学』第60号,教文館,2021年)がある。

山本 恵梨  (ヤマモト エリ)  (編集

1999年生まれ。西南学院大学大学院国際文化研究科国際文化専攻博士前期課程在籍。専門は日本考古学。アジア・太平洋戦争期の遺跡を対象に研究しており,海外の事例にも関心がある。主な業績に,シモーネ=ロイストル・フロリアン=シュヴァニンガー著,山本恵梨・相江なぎさ・田中康裕・伊藤慎二訳「痕跡と証言―調査研究・教育対象としてのナチスのハルトハイム安楽死施設出土考古資料―」(『国際文化論集』第37巻第2号,西南学院大学学術研究所,2023年)がある。西南学院大学博物館学芸調査員。

上記内容は本書刊行時のものです。