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やきものと渡り陶工 副島 邦弘(著/文) - 花乱社
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取引取次: 地方小
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やきものと渡り陶工 (ヤキモノトワタリトウコウ) 発掘陶片にみる九州古陶磁の技術交流 (ハックツトウヘンニミルキュウシュウコトウジノギジュツコウリュウ)

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発行:花乱社
A5判
214ページ
並製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-910038-72-8   COPY
ISBN 13
9784910038728   COPY
ISBN 10h
4-910038-72-8   COPY
ISBN 10
4910038728   COPY
出版者記号
910038   COPY
Cコード
C0072  
0:一般 0:単行本 72:写真・工芸
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年3月8日
書店発売日
登録日
2023年2月22日
最終更新日
2023年3月20日
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紹介

陶工・高原五郎七の伝説、高取焼の謎──
陶工が“渡り”をくり返して修業を重ね、新たな技術を得て業を磨いていく。同時にその移動は各地に技術を伝え、「国焼」を生んだ。
時に領主の求めによって、または天災など不測の事態によって渡りを重ねた陶工たち。その痕跡を出土物や文献に追い、検証する。

●福岡県の技術職員として25年にわたり埋蔵文化財の発掘調査を担い、永満寺宅間窯跡、頓野内ヶ磯窯跡、犬鳴山窯跡など数々の史跡調査に従事した著者の論文集

目次

まえがき

第一章 高取焼創業の謎
 一 はじめに/二 朝鮮出兵と黒田父子
 三 やきもの創業の願い/四 おわりに

第二章 高取焼陶工・井土新九郎
 一 はじめに/二 肥後焼と井土新九郎
 三 新九郎が焼いていた窯は/四 考察
 五 おわりに

第三章 渡り陶工・高原五郎七
 一 はじめに/二 高原五郎七の渡り行動
 三 犬鳴谷の窯跡の発掘調査/四 考察
 五 おわりに

第四章 もう一人の渡り陶工・高原五郎七を追って
 一 はじめに/二 筑前の磁器・須恵焼とは
 三 須恵焼の陶工と渡り陶工/四 考察
 五 おわりに

第五章 陶工・高原五郎七と高原焼
 一 はじめに/二 高原五郎七の晩年
 三 高原焼の成立とその後/四 考察
 五 おわりに

第六章 シーボルト台風と陶工の渡り
 一 はじめに/二 シーボルト台風の動きと被害状況
 三 肥前有田の大火と生産地(窯場)/四 考察
 五 おわりに

第七章 東北陸奥国に渡っていった渡り陶工・宇吉の場合
 一 はじめに/二 渡りの要因としての有田の大火災
 三 考察/四 おわりに

初出一覧
あとがき

前書きなど

 陶芸技術は渡り職人の手で伝播していく。その先進地域は北部九州からであった。豊臣秀吉の「文禄・慶長の役」以前に、唐津地方では朝鮮人陶工がやって来て、「やきもの」が焼かれていた。領主の波多氏の管理下であった。波多氏は岸岳城の山腹に朝鮮陶工たちを集めて窯を築いた。これが唐津焼草創期の窯で、一五八〇年代から一五九〇年代にかけて、飯洞甕上・下窯、帆柱窯、皿屋窯等である。窯の構造は割竹式の登窯であった。釉調は灰釉と藁灰釉が中心で、日常雑器の茶碗・皿類が主に焼かれていた。
 文禄二(一五九三)年に波多氏は朝鮮の戦場での振舞いによって、秀吉から改易を受け、関東の佐竹氏にお預けとなった。これによって保護を失った陶工たちは離散していった。これに慶長の役で連れてこられた朝鮮陶工との出合いがあった。肥前で藁灰釉の碗・皿が見られる窯は、相知町の道納屋窯、伊万里市の大川原一号窯、長崎県波佐見町の下稗木場窯で、ほかは急速に消えてしまう。逆にその頃から藁灰釉を盛んに用いる窯業地として、福岡県の上野・高取焼があり、岸岳系の陶器窯から離散した陶工の渡りの一つと考えてもよいと思われる。名もない陶工は窯場を渡って技術を伝えていくことが藁灰釉の伝播でも理解できる。
 (本書「第六章 シーボルト台風と陶工の渡り」より)

著者プロフィール

副島 邦弘  (ソエジマ クニヒロ)  (著/文

1946年長崎県生まれ。1969年、國學院大学文学部史学科(考古学専攻)卒業。同年、福岡県教育庁文化課調査係技師となり、九州歴史資料館、福岡県教育庁文化課、福岡県立美術館、福岡県立図書館等に勤務。2009年退職。1993年、千葉大学文学部(考古学)、2001~03年、活水女子大学文学部(博物館学)非常勤講師を勤める。日本考古学協会員・東洋陶磁学会会員・九州考古学会会員・福岡地方史研究会会員・古高取を伝える会会員・佐世保史談会員 他
【主な著作】
報告書:『古高取 内ヶ磯窯跡』(1979~1982)直方市教育委員会、『古高取 永満寺宅間窯跡』(1983)直方市教育委員会、犬鳴川治水ダム『犬鳴』Ⅰ・Ⅱ(1990~1991)福岡県教育委員会
論文:「北部九州における近世古窯跡の研究―筑前秋月藩窯について」(『人間・遺跡・遺物―わが考古学論集 1』麻生優編、文献出版、1983年)、「福岡県鞍手郡若宮町犬鳴所在犬鳴焼窯跡について」(『東アジアの考古と歴史』下、岡崎敬先生退官記念論文集、1987年)、「筑前高取焼を中心として」(『上代文化論集』乙益重隆先生古稀論文集、1990年)、「北部九州における近世古窯跡の研究―17世紀初頭期の陶磁器をめぐる背景」(『人間・遺跡・遺物―わが考古学論集 2』麻生優先生還暦記念論文集、発掘者談話会、1992年)、「北部九州における近世古窯跡の研究―筑前国鞍手郡山口村(現鞍手郡若宮町)浅ヶ谷窯跡について」(『九州歴史資料館研究論集』24、1999年)、「北部九州における近世古窯跡の研究―磁器への道(福岡県の場合)」(『九州歴史資料館研究論集』25、2000年)、「筑前国焼高取焼の様式変化について」(『九州歴史資料館研究論集』31、2006年)、「上野・高取」(『九州陶磁の編年』九州近世陶磁学会10周年記念、九州近世陶磁学会、2000年)他

上記内容は本書刊行時のものです。