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みんなのひきこもり 加藤 隆弘(著) - 木立の文庫
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みんなのひきこもり (ミンナノ ヒキコモリ) つながり時代の処世術 (ツナガリジダイノ ショセイジュツ)

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発行:木立の文庫
四六変形判
縦188mm 横117mm 厚さ15mm
重さ 200g
224ページ
並製
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-909862-16-7   COPY
ISBN 13
9784909862167   COPY
ISBN 10h
4-909862-16-1   COPY
ISBN 10
4909862161   COPY
出版者記号
909862   COPY
Cコード
C0011  
0:一般 0:単行本 11:心理(学)
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年10月30日
書店発売日
登録日
2020年9月28日
最終更新日
2020年11月18日
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書評掲載情報

2021-11-01 精神分析研究(セイシンブンセキケンキュウ)  Vol.65
評者: 崔炯仁(いわくら病院)
2021-06-01 心理臨床学研究  Vol.39 No.2
評者: 齋藤暢一朗(北海道教育大学)
2021-05-08 西日本新聞
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重版情報

2刷 出来予定日: 2020-11-30
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紹介

コロナ禍で“巣ごもり”が日常的になって、
外に出ない/リアルに会わない“新しい生活”が推奨されるような空気がまだ漂います。

そんな「ひきこもりノーマル」な時代に、
どうすれば、焦げついた「苦しい」コンディションに陥らずに済むか? を考えませんか。 

本書では同時に、社会の“みんな”目線からくる窮屈さの問題や、集団のなかでも“ひとり”で居られるためのコツなども、伝授されます。

――著者は九州大学病院で「ひきこもり外来」を開く精神科医です。当事者や家族の支援活動にも長らく携わっておられます。

目次

〇はじめまして
  みんなのひきこもり/こもる時代の到来/アット・ホームな居心地?/ひとりで居られる 

〇プロローグ: これって、ひきこもり? ひきこもり予備軍?



◇ひきこもりの時代

●1章 そもそも ひきこもりとは? 
  「社会的ひきこもり」の誕生/社会に参加しているか/あたらしいステージに 

●2章 新しい「ひきこもり」の定義
  病的ひきこもりの誕生/巣ごもりと「ひきこもり」は違う?/こんな場合は? 

●3章 ひきこもりではない と言えますか?
  「孤独」と“孤独感"って一緒?/孤独感にフタをしてくれるモノ/フェイス・トゥー・フェスかのように/ひたすら△△ ぼんやり◇◇  

●4章 コロナ禍での病的ひきこもりのリスク 
  ひきこもりの引き金/病的ひきこもりリスク・チェックリスト/巣ごもりと病的ひきこもりを分けるもの/注意のむけどころ/すぐそこにある光景 



◇どうして こもるのだろう

●5章 ひきこもる病い 
  統合失調症/それはあまりにリアルで/うつ病/うつの症状とうつ病/くすりだけでなく… /双極性障害(躁うつ病)/不安障害(とくに社交不安障害)/発達障害/社会のなかで/もうひとつの発達障害/居場所があれば… /うっかり屋さん/PTSD・トラウマ
/パーソナリティ障害

●6章 ひきこもり こもごも
  からだの病気によって/白と黒のあいだに/グレーゾーンの苦しみ/さまざまな支援の活用/新しいタイプの抑うつ症候群/従来のメランコリー気質/ディスチミア気質の台頭/グレーゾーンの早期受診/病気としてとらえるなら/どの程度がこころの病気?/ひきこもりがこころの病気をつくる? 


 
◇あなたも わたしもひきこもり

●7章 ところ変われば? 
  いずこの空の下にも/世界初の国際調査研究/診断上の課題/ 見立て・アプローチの違い/国際的な診断法の開発と実態調査研究/それは世界中に広まりつつ

●8章 ひきこもりをつくる社会 
  源泉としての「恥」/「甘え」というアクション/依存欲求を満たすため/ひきこもりとインターネット/ひきこもりへのゲートウェイ  



◇どうとらえて どう対処するか

●9章 ひきこもりの評価と治療 
  ひきこもり評価の難しさ/独居ひきこもりのこと/多面的評価と治療戦略/生物学的な基盤について

●10章 ひきこもりへの治療的アプローチ 
  ひきこもり支援機関/家庭訪問/カウンセリング サイコセラピー/無意識への眼差し/ひきこもりを知らないわたし/ひきこもりに陥ったわたし

●11章 ひきこもる能力 
  こころのなかの病み/こころのなかの健康/ひとりでいられるということ/ひきこもる能力をとりいれたわたし/適切な対応のための支援/アニマルセラピー

●12章 ほどほどの間をさがして 
  ドラえもんはのび太を救う?/リアルでもバーチャルでもなく ほどほどな関係のために/治療的介入に関するまとめ



◇みんなのひきこもり時代の処世術

●13章 病的なひきこもりに陥らないために 
  「モノへの依存」に対処する/だんだんと手放せるように/こころの病気(とくにうつ病)を予防する/ り・は・あ・さ・る/「巣ごもり生活」でとくに留意すべきこと

●14章 「ひきこもる能力」を身につける
  一緒にいること/みんなに合わせること/ 集団のなかでも独りでいられること 

●15章 みんなの世界 
  わたしはどこ?/そうあってほしいのは誰?/みんなで「みんな」から脱却/みんなってだれ?/変人のすゝめ

●16章 思春期から卒業するコツ 
  ほどよい父性/ 恋すればひきこもっていられない/ 大人だって半人前/ 大人の真実の世界を子どもに伝える



〇エピローグ: ひきこもりという生き方

前書きなど

 「みんなのひきこもり」という連載を木立の文庫のウェブサイトに続けていて、それが本になることになりました。

 このタイトルを目にしてどのような印象を持たれるでしょうか?『「みんな」とはどういうことだ! 俺はひきこもりじゃないぞ!』と非難したくなる方が多いかもしれません。NHKの「みんなのうた」、あるいは、サザンオールスターズの《みんなのうた》を連想される方もおられるかもしれません。
私は精神科医として日常臨床のなかで「社会的ひきこもり」と言われるような方々と出会い、かれらにむきあっている日々です。並行して、国内外の研究仲間とともに〝ひきこもり〟の解明と支援開発のために共同研究をすすめています。
 ひきこもりという言葉は、世界で最も有名な英語辞書“Oxford Dictionary”に‘Hikikomori’という形で紹介されるほど、国際語になりつつあります。日本以外の国々でひきこもる方の存在が次々と報告されており、〝ひきこもり〟は国際的なトピックになりつつあるのです。でも、だからといって、もちろん、世界中のみんなが将来〝ひきこもり〟になると言いたいわけではありません。

……

 この本『みんなのひきこもり』では、「みんな」という言葉をキーワードにしながら、“ひきこもり”について考える場を提供できれば、と思っています。私たち一人ひとりのこころのなかに“ひきこもり”的な部分がきっとあるだろうと私は思っています。みなさん、日本の、世界の、そして自分自身の〝ひきこもり〟に出会ってみませんか?

      ******      ******

 これまでのひきこもり臨床で明らかになったことがあります。
ひきこもる方は、ひきこもり始めの少なくとも数ヵ月は、ひきこもる前よりも精神的に安定する傾向があるということです。日々の辛い人間関係から逃れることができてホッとする方が少なくないのです。しかし、こうしたひきこもり状況が数ヵ月、数年と続くなかで、生活リズムが乱れたり、「独りぼっち」の感覚(孤独感)が強まったり、他方では家庭内での軋轢が強まったりして、家庭内不和や心身の不調を来たしやすくなるのです。
 もし、コロナ自粛がこれから数ヵ月、数年と続くとしたら、「巣ごもり」で見受けられたような心身の不調や家庭内での問題が世界中いたるところで発生しかねません。とくに学生のみなさん、大丈夫でしょうか?

 「みんなの」というネーミングに半年前であれば違和感を思えていた方も、いまでは他人事ではなく感じておられるのではないでしょうか。私たちはまさに《みんなのひきこもり》時代に突入しようとしているのかもしれません

版元から一言

合い言葉「わたしらしい“ひきこもり”を探して」のもと
この本には三つの思いが詰め込まれています


●ひとつめ: コロナ禍《ひきこもりノーマル》社会で、自分や身近な人が「病的ひきこもり」に陥らない工夫を、ぜひいま! お伝えしたい!!

●ふたつめ: 長らく困難のなかにある《当事者・家族・支援者》と共に、ひきこもりから「脱出」する道を実際的に、具体的に探りたい。

●みっつめ: 多様な価値観が活かされる社会を目指して、集団のなかでも“ひとり”で居る術と、《健やかなひきこもりライフ》の道を…。


根本的な「対応・予防」ガイドもさることながら、この本の一番の旨味は「“みんな目線”の同調圧力につぶされずに、自分の内側と向き合って生きていく」ための、次世代むけメッセージにあります。

著者プロフィール

加藤 隆弘  (カトウ タカヒロ)  (

加藤隆弘(かとう・たかひろ)


◇九州大学病院 精神科神経科 講師。
 九州大学病院「気分障害ひきこもり外来」主宰。

◇1974年:鹿児島県生まれ。
 2000年:九州大学医学部卒業。
 精神科医・医学博士。

◇九州大学病院・牧病院・鮫島病院で精神科研修後、ひきこもり臨床に並行して、2005年より精神分析訓練と基礎脳科学研究を開始。2008年:日本学術振興会特別研究員、2011年:米国ジョンズホプキンス大学精神科「日米脳」派遣研究員、2013年:九州大学レドックスナビ研究拠点特任准教授(脳研究ユニット長)を経て、2017年より現職。

◇専門は精神分析・集団精神療法・精神免疫学・うつ病・自殺予防・ひきこもり。2012年:帰国後に、多様化するうつ病やひきこもりの病態解明と治療法開発のための専門外来(気分障害ひきこもり外来)を立ち上げるとともに、脳と心の橋渡し研究ラボ(九州大学精神科分子細胞研究室)を主宰。


○共著に『罪の日本語臨床』(創元社,2009年)、『 専門家に相談する前のメンタルヘルスファーストエイド』(創元社,2012年)、『 北山理論の発見:錯覚と脱錯覚を生きる』(創元社,2015年)ほか。

○ランセット誌・世界精神医学会誌・米国精神医学会誌をはじめと
する査読付の国際学術誌に120本を超える研究成果・臨床成果を報告し、特にひきこもり国際化に関する研究領域を牽引。

○メンタルヘルス・ファーストエイド・ジャパン(MHFA-J)の発起メンバーで、一般住民やひきこもり家族へのMHFAの普及活動を通じて、うつ・自殺予防・ひきこもり打開のための啓蒙活動を展開。

上記内容は本書刊行時のものです。