書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
たましいの心理臨床
こころの水脈をたどって
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年9月30日
- 書店発売日
- 2020年10月20日
- 登録日
- 2020年7月21日
- 最終更新日
- 2021年4月19日
紹介
人はさまざまな場面で人に出会います。
友人との出会い、子どもと大人の出会い、別れの出会いもあるかもしれません。
こうした場で胸に手をあてると「こころ」がなにか呟いています。
そして出会いの呟きあいに耳を澄ますと、“たましい”の囁きが聞こえます。
――困難を前に立ちすくむ人に、どのように出えるか?
このことを日々考えるのが《心理臨床》という営みです。
考えや感覚は別々でも、深いところで交わり重なるとき、“たましい”が響きます。
人との人との間をつなぐには、まず、こころの「水脈」を尋ねあてるところから……。
目次
特別寄稿: 藤原勝紀
テスターとして、カウンセラーとして 小出めぐみ
「わたしの心」が目覚めるとき 仲 淳
「文化の病」の視点からみた現在の不登校に関する一考察 藤井信太郎
児童養護施設の心理的援助についての一考察 井上裕樹
自閉的な課題を主訴とした男児の事例 森岡理恵子
特別寄稿: 瀧口俊子
沖縄の風土に根ざした心理臨床の可能性 片本恵利
「禊」と個性化の過程 周 直民
男性のジェンダーと「たましい」 濱田智崇
心理療法を支える器としてのイメージの機能 清水亜紀子
箱庭砂箱の「青」をめぐって 名取琢自
私の「教育分析家」は「猫」だった 菅 佐和子
前書きなど
まえがき
この度、岡田康伸先生の喜寿を記念して、ささやかな単行本を出版することになりました。
2017年の秋から、岡田先生を囲んで、若手・中堅セラピストが集う小さな事例検討会が始まりました。私は、彼らとは年齢はかけ離れていますが、縁あってその事例研のメンバーに加わっていました。
事例検討会の後には、近くの居酒屋に場所を移して、美味しい伏見のお酒と料理を味わいながらざっくばらんなおしゃべりのできる懇親会も楽しみのひとつでした。そのような場で、岡田先生の喜寿が話題となり、できれば、日頃のご薫陶に対する感謝の気持ちを、心理臨床をめぐっての共同執筆というかたちで表現したいという話が、少しずつ盛り上がっていきました。
周知のとおり、岡田先生は河合隼雄先生の高弟であり、河合先生の「たましいの心理臨床」を純粋に受け継いでおられる心理臨床家です。時代と社会の動向のなかで、心理臨床に関する理論や技法のトレンドはさまざまに変化するかもしれませんが、根底に存在するもの、クライエントから求められるものは不変ではないかと思います。それを大切にしながら、みずからの実践について改めて考える試みが、本書のテーマであるといえましょう。本書のタイトルは、「たましいの心理臨床を目指しての歩み」という意味で、おこがましいのは承知のうえで『たましいの心理臨床』とさせていただきました。意のあるところをお汲み取りいただければ幸いに存じます。
・・・ ・・・
編著者:菅 佐和子
版元から一言
本書は監修者:岡田康伸先生の長年の功績と喜寿を祝うかたちで、日ごろ研究会で集う若手や中堅の臨床家が、おのおの大事に温めている〈心理臨床〉の営みと思索を開陳したものです。
多様な実践から紡がれた論考から浮かびあがったのは、岡田先生の師:故河合隼雄先生の教えがいまも深い“水脈”として滔々と流れて、地表へ染み出て“人の出会い”を潤している、という隠れざる現実でした。
みずからが監修し、記念に寄せられた論考に逐一、コメントが付されるという希有なスタイルにも、じつはこの流派の切磋琢磨の歴史が刻まれています。深層の心を「影(シャドー)」の視点から読み込み「ファンタジー」の創造に立ち会う、岡田康伸の深い眼差しにあふれた本です。
上記内容は本書刊行時のものです。