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新島襄 英文来簡集 同志社大学 人文科学研究所(編) - 木立の文庫
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新島襄 英文来簡集 (ニイジマジョウ エイブンライカンシュウ)

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発行:木立の文庫
縦155mm 横228mm 厚さ43mm
重さ 1195g
592ページ
クロス装 函入り
価格 18,000円+税
ISBN
978-4-909862-09-9   COPY
ISBN 13
9784909862099   COPY
ISBN 10h
4-909862-09-9   COPY
ISBN 10
4909862099   COPY
出版者記号
909862   COPY
Cコード
C3021  
3:専門 0:単行本 21:日本歴史
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年3月20日
書店発売日
登録日
2020年2月12日
最終更新日
2020年3月24日
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書評掲載情報

2020-06-05 週刊読書人    第3342号
評者: 小檜山ルイ
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紹介

 彼が初めて船でボストンに着いたのは1865年7月のことでした。日本はまだ江戸時代、新島襄(にいじま・じょう)齢二十一。その後、新天地で洗礼を受け、神学を修め、やがて準宣教師となったJoseph Hardy Neesimaは、大勢の仲間たちの助けを得て「同志社」の礎を築きます。
 
 その間、二度目の渡米時代も含めて、新島は現地のネットワークに助けられ、多くの友人と絆を温めながら手紙を交わし、学問や信仰について語りあいました。メールはもちろん電話もなかった時代の、唯一の交友ツール“手紙”には、近代から現代へと時代を創っていったワールドワイドな有志たちの意志と思索が溢れています。



 そうした時代にあって、新島へ手紙を送った日本人の友人 たちは和文書簡の「候(そうろう)文」ではなく、英語でストレートに思いを伝えることを好んだようです。独立独歩のキリスト者・内村鑑三はその典型例でしょう。新島の勧めによってアーモスト大学に入学する以前の、煩悶する内村の書簡群が本書には収められています。

 また、「同志社」最初期の生徒である下村孝太郎や中島力造の手紙も、読む価値が高いものです。そしてもちろん、この本には、現地で新島を支えた人々との交流模様が、ところ狭しと詰まっています。新島にとっての「アメリカの父」アルフィアス・ハーディー、アーモスト大学の教授で後に学長にもなったJ.H.シーリー、イエール大学学長のノア・ポーター、 アメリカン・ボードの書記N.G.クラークからの手紙。なかには伊藤博文や森有礼の名前もあります。新島は「お姉さま方」に好かれたのも特徴で、ずっと新島を忠実に支えたドーチェスターのエレノア・ベーカーなどなど、彼・彼女ら から届いた、きわめて貴重なlettersは500通にものぼります。



 同志社 大学人文科学研究所が、この「同志社」設立の源流となる“来簡集”編纂に20年の歳月を費やして、ここに新たな金字塔が達成されました。

 往年の成果『新島襄全集』全10巻〔同朋社出版, 1983-1996年〕を完結する本書は、半世紀近い「新島研究」の原点とも最終形ともいえます。ここに付されている膨大な【註】は、新島の仲間たちの等身大の息吹を伝え、全方向に張り巡らされた【索引】は、新島のネットワークの広さと厚みを感じさせます。



 本書には、補足資料としてのみならず、時代・社会がにじむ精神誌としても、また生身の青春群像ノンフィクションドラマとしても、読者を惹きつけてやまない【付録】を収録しました。この40ページにわたるタイムトラベル・ガイド「新島襄の足跡を訪ねて」は、ボストンという社会が醸成した新島の思索と信仰の跡を、いまこの時代に鮮明に浮かび上がらせてくれます 。これを手にして旅に出ませんか!

目次

本書の構成と凡例


 
本書は、同志社社史資料センターが「新島遺品庫」に所蔵する“新島襄宛の英文書簡”(一部他言語も含む)を解読・註記したもので、次のように構成されている。

なお、新島本人が受信者ではないものの「実質的な受信者にあたる重要な第三者間書簡」数点についても、これを収録した。該当する書簡については、見出に受信者も併記した。



1. 序 foreword     pp. v-vi
2. 目次 contents     pp. vii-xlviii
3. 本文 letters     pp. 3-439
4. 註 notes       pp. 441-471
5. 付録 appendix     pp. 473-515
6. あとがき afterword  pp. 517-519
7. 索引 index      pp. 521-537

前書きなど

  巻末付録「新島襄の足跡を訪ねて」より





    [略]


 サウスカレッジに挟まれて、ジョンソン・チャペルがあります。新島が住んでいた隣のノースカレッジという寮を眺めながらジョンソン・チャペルに入っていきます。

 これは新島の晩年の肖像画です。このモデルの写真を提供したのは、当時イェール大学に留学していた牧野虎次です。牧野先生がアーモスト大学から「新島襄の油絵を寄贈したいクラスがあるが、写真を集めてほしい」と頼まれて、もとになる写真を提供なさったということです。同志社で普通、新島先生として想像される顔とはかなり違います。戦争中もアーモスト大学はこの場所から肖像画を外さなかったそうですが、やつれてうつむいた感じです。同志社からくる人が「新島先生、こんにちは」と挨拶にくる大事な肖像画です。

 この下の「友愛の光の宿り、海超えて」というのは児玉実親先生がつくられた俳句で、私の英訳をドナルド・キーンが直して‘A Praying Place for the Light of Friendship Crossing the Sea’としました。このタブレットに1864とありますが、アーモスト館の寮生が中心となって、アーモスト大学に何かお返しをしたいと石燈籠を買って送ったんです。その石燈籠はコンバース・ライブラリーの前に建てられていたんですが、ある晩に何ものかが抱きついて倒れて粉々に壊れてしまった。プレートは残ったので、ここにはめ込んでいるわけです。プレートと新島の肖像画は何の関係もありません。今となっては関係があるような気がしていますね、不思議にも。こういうプレートがあるおかげで新島先生の像はこれからもなかなか外されないでしょう。現物は同志社にきたことがあり、栄光館にレプリカがあります。


    [略]


 このカレッジホールは1828年に建てられて1905年に修復されました。私が留学した頃は、カレッジホールでは正式のソーシャルダンスをやっていました。ちゃんとしたネクタイを締めて燕尾服式のものを着て、本物のダンスができないと出てはいけないと言われて、私は出ませんでした。僕はダンスをするためにアーモストにきたのではないという気持ちで。新島が在学した頃は、この建物には大学が使っていて、彼の1870年7月14日の卒業式はこの中で行われたと思われます。その前に新島は、クラスの人に頼まれて日本語の演説をしています。誰も聴衆は意味がわからなかったはずですが、当時の新聞によるとあたかもわかったかのように拍手喝采が起きたと書かれています。

 次はモーガン・ライブラリーです。新島が学生だった頃は図書館でしたが、今は図書館として使っていません。コンバース・ライブラリーに移って今はロバース・フロスト、ライブラリーがあります。同志社の出版物に、図書館だった時の内部の模様を写した写真があります。ジョンソン・チャペルの新島の肖像画は最初、このライブラリーにおかれていたそうですが、ずっと昔のことです。



(案内人: 北垣宗治)

版元から一言

新島襄は“手紙の人”でした

同志社の礎は友とのあいだで交わされた
“愛と友情のことば”のなかで醸成されてゆきました
500通にのぼるLettersが その時代精神を生々しく伝えてくれます


そうしてこの本は「同志社人」はもとより 
近代史研究者また歴史愛好家にとって 必読の書となります

○ 書き手の息づかいを聴く【註】と新島の営みをあぶり出す【索引】
○ 当時の空気が蘇る【付録】旅行記「新島襄の足跡を訪ねて」収録!
○ 信仰・学問の精神史――英語の手紙こそが照射する素顔の新島襄


“同志”の絆はかくして創られる!!

著者プロフィール

同志社大学 人文科学研究所  (ドウシシャダイガク ジンブンカガクケンキュウジョ)  (

(以下: 研究所HPから抜粋編集)

○ 同志社大学人文科学研究所は、広く人文および社会科学にわたって専門の学術の理論・応用に関する総合的研究を行い、文化の創造と発展に寄与することを目的としている。
 活動の基本は、学際的な共同研究であり、専任研究員および学内教員が分担してその運営にあたるとともに、大学以外の同志社諸学校や学外からの参加者を加えた約250人がその研究活動に参加している。


○ 研究会には人文科学・社会科学、双方にわたる広いテーマを志向する部門研究会があり、なかでも同志社大学創立以来のバックボーンでもあるキリスト教が日本の近代化に果たした役割、さらに近・現代社会の総合的研究と比較研究、国内外の地域研究などが、共同研究の大きな柱となっている。
 共同研究の成果を、毎年刊行される研究所機関誌や研究叢書などの刊行物として発表するとともに、学生・一般の人々を対象にした公開講演会も実施している。

上記内容は本書刊行時のものです。