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近世後期上方語の研究 村上 謙(著) - 花鳥社
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近世後期上方語の研究 (キンセイコウキカミカタゴノケンキュウ) 関西弁の歴史 (カンサイベンノレキシ)

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発行:花鳥社
A5判
336ページ
並製
定価 4,500円+税
ISBN
978-4-909832-75-7   COPY
ISBN 13
9784909832757   COPY
ISBN 10h
4-909832-75-0   COPY
ISBN 10
4909832750   COPY
出版者記号
909832   COPY
Cコード
C3081  
3:専門 0:単行本 81:日本語
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年7月20日
書店発売日
登録日
2023年4月19日
最終更新日
2023年8月30日
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紹介

宝暦頃から幕末までの話しことばについて概観を示し、語形変化を中心に論じる。
文法、音韻、資料、表記、待遇表現、文化的側面等、多角的な視点から浮かび上がる後期上方語の全体像はどのようなものか――
近世前期や明治大正期をも射程に、現代関西弁への変遷を捉える。

目次

はじめに 本書の概要

第1部 概観
第1章 近世後期上方語とは
 1 はじめに―時代区分―
 2 近世後期を4期に分ける
 2.1 第1期―宝暦安永期―
 2.2 第2期―天明享和期―
 2.3 第3期―文化文政期―
 2.4 第4期―天保慶応期―
 3 最後に

第2章 遊里語の世界
 1 はじめに―遊里語の影響力―
 2 一般社会の言語と一線を画する遊里語
 3 「方言矯正」目的か
 4 遊客の遊里語
 5 最後に

第2部 研究手法と資料
第3章 研究手法―用例収集と分析・解釈―
 1 はじめに
 2 用例収集の手法
 2.1 資料選択と用例収集
 2.2 発生年代の特定作業
 2.3 用例の段階的収集
 2.4 「ある」ことの調査を通じて「ない」ことを積極的に探す
 3 分析・解釈の手法
 3.1 体系的な構造を持つものとしての言語・言語変化
 3.2 因果関係の追究と先後関係
 3.3 言語変化の「大きな流れ」と個別具体的要因の区別
 4 最後に

第4章 歌舞伎、浄瑠璃
 1 はじめに―近松中心のあり方―
 2 『うかれきやうげん』と『好色伝受』
 3 歌舞伎台帳
 4 浄瑠璃―宝暦頃まで―
 5 『容競出入湊』とハル(ハレ)の用法
 6 宝暦以降の浄瑠璃
 7 最後に

第5章 対照表形式の近世後期上方語彙資料
 1 はじめに
 2 上方出身者による随筆類
 3 上方洒落本
 4 非上方出身者による見聞記類
 5 最後に

第3部 音変化および表記
第6章 音変化の諸相
 1 はじめに
 2 「交替」
 2.1 母音の交替
 2.1.1 逆行同化による母音の交替
 2.1.2 ハ行四段動詞終止連体形の変化形
 2.1.3 形容詞シク活用ウ音便短呼形の変化形
 2.1.4 形容詞シク活用ウ音便の変化形
 2.1.5 その他の母音の交替①―単母音の場合―
 2.1.6 その他の母音の交替②―連母音の場合―
 2.2 撥音化
 2.3 促音化
 2.4 子音の交替①―s(∫)・h間での交替―
 2.4.1 ナサルのsh交替とその関連語形
 2.4.2 ~サンのsh交替とその関連語形
 2.4.3 シャルの∫h交替によるハルとその関連語形
 2.4.4 その他のsh交替例
 2.5 子音の交替②―その他の場合―
 2.6 子音の脱落
 2.7 母音連接時のわたり音の添加
 3 「脱落」
 3.1 長音の「脱落」
 3.1.1 助動詞ウが下接した場合の短呼
 3.1.2 ウ音便の短呼
 3.1.3 形容詞終止連体形の短呼
 3.1.4 その他
 3.2 撥音の「脱落」
 3.3 促音の「脱落」
 3.4 特殊拍以外での「脱落」
 4 「添加」
 4.1 1拍語の長音化
 4.2 その他の「添加」
 5 「融合」
 5.1 助詞融合
 5.2 ヤルが下接する場合
 5.3 ジャッタ、チャッタ、チッタ
 6 最後に

第7章 形容詞ウ音便の変化形
 1 はじめに―ウ音便における問題点―
 2 形容詞ウ音便における変化形
 2.1 ヤカマシという形について
 2.2 ヤカマシー、ヤカマシーテの出現
 2.3 オーケーテとカワイーナイからみる語幹保持の作用
 2.4 イタオマセンカの登場
 3 ハ四ウ音便と語幹保持、終止連体形の想起
 4 終止連体形の想起からの再検討
 5 最後に

第8章 形容詞ウ音便の短呼形
 1 はじめに―形容詞ウ音便短呼形における問題点―
 2 調査結果
 3 3拍以上の語における下接語の状況
 4 2拍語での下接語の状況
 5 シク活用の語における「短呼」
 6 一語化の観点から見た形容詞ウ音便短呼形
 7 菅専助世話物における短呼形
 7.1 2拍語で下接語の限定傾向はあるか
 7.2 3拍以上の語で下接語の限定傾向はあるか
 7.3 シク活用の語ではどうか
 8 最後に―現代近畿方言との関わり―

第9章 口語体表記―活用語尾と音便形の表記を中心に―
 1 はじめに
 2 活用語尾の表記について
 2.1 ハ行四段動詞活用語尾の表記について
 2.2 カ変、サ変、上一(二)、下一(二)段動詞命令形語尾(の一部)「い」
 2.3 下一(二)段動詞語尾(の一部)「え」
 2.4 形容詞終止連体形語尾(の一部)「い」の表記
 3 音便表記
 3.1 動詞イ音便
 3.2 ハ四ウ音便
 3.3 形容詞ウ音便
 4 その他の諸問題(1)―「う」表記、「ふ」表記にまつわるもの―
 4.1 「さう(な)」
 4.2 「やう(な)」
 4.3 副詞類の表記
 5 その他の諸問題(2)―口語的な終助詞の表記―
 6 最後に―近世期を通して見た表記傾向のまとめ―

第4部 連用形命令法をめぐる問題
第10章 「動詞連用形+や」―連用形命令法と助動詞ヤルとの関連―
 1 はじめに―「動詞連用形+や」における二通りの解釈と問題点―
 2 ①《連用形命令法+終助詞ヤ》について
 3 ②《連用形+助動詞ヤルの命令形ヤレからレが脱落したもの》について
 4 大局を説明するものとしての①《連用形命令法+終助詞ヤ》の可能性の薄さ
 5 ①の出現時期
 6 ②から①へ
 7 ①の主流化の時期
 8 最後に

第11章 連用形命令法の出現
 1 はじめに―命令形の一つとしての連用形命令法―
 2 連用形命令法とその周辺の概観
 2.1 連用形命令法とその範疇
 2.2 連用形命令法に類する表現について
 3 変化形出現の社会的要因―何故遊里で登場したか―
 4 形態面から見た変化形の成立過程について、これまでの諸説
 4.1 ナサレ等の省略とする考え方について
 4.2 一段化動詞の命令形とする考え方について
 4.3 「行きや」からの再分析とする考え方について
 5 「一段動詞の命令形イ形からの影響」という視点からの解釈
 6 待遇面及び現代語アクセントの問題について
 7 最後に

第12章 連用形禁止法の出現
 1 はじめに
 2 連用形禁止法についての概観
 3 連用形禁止法が連用形接続のナでないことについて―サ変の場合から―
 4 連用形禁止法出現の社会的要因―何故遊里で発生したのか―
 5 形態面から見た成立過程―一(二)段動詞からの影響―
 5.1 終助詞ナの接続形式について―前期から後期にかけての状況―
 5.2 一(二)段動詞の連用形接続形式を命令形接続形式に誤解したこと
 6 一(二)段動詞の連用形禁止法はなかったか
 7 最後に

第13章 ンの一用法
 1 はじめに―助動詞ンに関する新形式について―
 2 連用形接続のように見えるンについての概観
 2.1 「(オ+)連用形+ンカ」形
 2.2 「(オ+)連用形+ン」形
 2.3 「連用形+テンカ」形
 3 「(オ+)連用形+(テ)ンカ」形におけるンカ部分の解釈
 4 ンカの上接部分の解釈
 5 「オ+連用形+ンカ」形の成立過程―諸説の検討―
 5.1 接続形式の単純な変化という可能性
 5.2 上接動詞側の変化の可能性―一段化動詞との関係―
 5.3 マス、ナサルなどの省略の可能性
 5.4 命令表現「オ+連用形。」とのコンタミネーションの可能性
 6 「オ+連用形+ンカ」形の成立過程―「おくれんか」からの影響―
 7 「連用形+ンカ」形の成立過程―「オ+連用形+ンカ」形から「連用形+ンカ」形へ―
 8 「連用形+テンカ」形の成立過程
 9 否定疑問表現の「(オ+)連用形+ンカ」形や「(オ+)連用形+ン」形の出現
 10 最後に

第14章 一段化動詞
 1 はじめに
 2 一段化動詞の概観
 2.1 未然形
 2.2 連用形
 2.3 終止連体形
 2.4 仮定形
 2.5 命令形
 2.6 待遇表現としての一段化動詞
 3 連用形テ形タ形、終止連体形、仮定形の分布
 4 「行きて」形の成立過程について
 4.1 一段化システムによるものという考え方
 4.2 非音便形との交渉の可能性
 4.3 「連用形命令法+テ、タ」という考え方
 5 「行きる」形の成立過程について
 5.1 「連用形命令法+動詞化接辞ル」という考え方
 5.2 一段化システムによるものという考え方
 6 オ形、オ動詞、一段化システムの関連性
 6.1 オ動詞の出現
 6.2 「お行きる」形の成立過程について―なぜ終止連体形のほとんどがオ形であったのか―
 7 最後に

第15章 二段活用の一段化とその後の展開例としての「一段化動詞」
 1 はじめに
 2 活用に関する筆者の立場
 3 二段活用の一段化
 4 二段活用の一段化の連続的変化としての命令表現形式の多様化
 4.1 一(二)段活用命令形イ形の出現
 4.2 連用形命令法の出現
 4.3 連用形禁止法と「連用形+ンカ」形の出現
 5 一段化動詞の出現―新たな活用型への仕立て直し―
 6 二段活用の一段化と一段化動詞を有機的に関連付ける
 7 最後に

第5部 ナサルと「テ+指定辞」をめぐる諸問題
第16章 補助動詞ナサルの変遷
 1 はじめに
 2 17世紀における状況
 2.1 オを要求すること
 2.2 オを要求した理由
 2.3 φ形のあり方
 3 18世紀における状況
 4 1750年代以降のφ形の変質と高頻度化の理由
 5 φ形の一般化と1拍語との承接自由化
 6 承接の自由化の意義
 7 最後に

第17章 「テ+指定辞」の成立
 1 はじめに
 2 近世前期上方における「テ+指定辞」の概観
 3 成立過程について、諸説の検討
 3.1 省略説について
 3.2 体言化説について
 3.3 状態化説について
 3.4 「ての事だ」との関係
 4 「テゴザルからの変化」説
 4.1 近世前期までのテゴザルの概観と尊敬語化の流れ
 4.2 「テ+指定辞」の成立
 5 「オ~」の間接的影響
 6 最後に

第18章 「テ+指定辞」の変遷
 1 はじめに
 2 成立初期(1690~1720年)の用法について
 3 継続性表示機能の弱化
 4 現在時表示機能の弱化
 5 変化の要因を探る―テイナサルの出現の影響―
 6 その後の「テ+指定辞」
 7 最後に
 付・「テ+指定辞」の成立と富山県呉西地方の「テヤ」形との関係

最後に

前書きなど

「本書は近世後期上方の話しことばについて概観を示すとともに、語形変化を中心にいくつかの問題を個別的に論じたものである。……調査資料も出来るだけ多く使用し、全体像を明らかにすることに努め、時代的な連続性も重視して、積極的に近世前期や明治大正期にも言及する。全編の議論は文法や音韻といった特定分野にとどまらず、資料、表記、待遇表現、文化的側面等、多岐にわたったが、これも筆者の意図するところである。」(「はじめに 本書の概要」より)

著者プロフィール

村上 謙  (ムラカミ ケン)  (

1975年、兵庫県東播地区生。東京大学文学部、同大学院博士課程修了(2004年、博士(文学))。日本学術振興会特別研究員、埼玉大学教育学部講師、准教授を経て現在、関西学院大学文学部教授。著書に『好色伝受 本文・総索引・研究』(共著、2000年、笠間書院)など。

上記内容は本書刊行時のものです。