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アマゾンに鉄道を作る 風樹 茂(著者) - 五月書房新社
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アマゾンに鉄道を作る (アマゾンニテツドウヲツクル) 大成建設秘録 電気がないから幸せだった。 (タイセイケンセツヒロク デンキガナイカラシアワセダッタ)

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四六判
縦18mm 横13mm 厚さ23mm
352ページ
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-909542-46-5   COPY
ISBN 13
9784909542465   COPY
ISBN 10h
4-909542-46-9   COPY
ISBN 10
4909542469   COPY
出版者記号
909542   COPY
Cコード
C0033  
0:一般 0:単行本 33:経済・財政・統計
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年2月20日
書店発売日
登録日
2022年12月20日
最終更新日
2023年3月28日
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書評掲載情報

2023-05-25 その他  2023年5月25日  日刊建設通信新聞 著者と1時間
2023-04-25 その他    ラテンアメリカ時報  2023年春号
評者: 桜井 敏浩
2023-02-18 東京新聞/中日新聞  朝刊
評者: 伊藤千尋(ジャーナリスト)
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紹介

 1985~6年、大成建設6人衆+1名(派遣労働者の筆者)が南米の小国ボリビアのアマゾン流域の僻地に降り立った。災害でずたずたにされたODA鉄道復旧工事。
 次々と起こる予想外のトラブル、鉄道を飲みこむ大自然の脅威、週に1度脱線する列車、ラテンの恋愛、労働者の死、労働者たちの反目とストライキ、日本人内、ボリビア人内の分裂、貨幣経済の浸透による変わり行く村、コカインの売人の流入、そして技術者たちの矜持。
 文明と文明、男と女、人と人、国と国、企業と企業、被支配と支配の構造――それら様々な利害の衝突を乗り越えて、果たして鉄道工事は完成するのか? そして援助が去ったあとの村は?
 筆者は22年後に現場を訪れ驚きの事実を知る。
 大規模援助の現場を描いた唯一無二の作品である。
 

目次

第一部 アマゾンに鉄道を作る
序章  居場所なし
第1章 憤怒の風
第2章 不穏な空気 
第3章 ラテンの恋愛
第4章 労働組合
第5章 アマゾンに死す
第6章 ストライキ
第7章 解雇の時
第8章 コカインを取り締まる
第9章 アマゾンの食

第二部 大成建設六人衆が経験したアマゾン鉄道建設
第10章 名乗り出る者
第11章 現場を知らずしていい仕事はできない
第12章 あの仕事はほんと面白かった
第13章 イラクに比べればボリビアは最高にいい国だった
第14章 ラパスの迷宮

第三部 文明の炎に焼かれたチョチス
第15章 二二年振りの再訪
第16章 アマゾンのピカレスク
第17章 苦い再会
    
おわりに

前書きなど

 ボリビア東部鉄道は、ボリビアの第二の都市サンタクルスからブラジル国境のキハーロまでの六五〇キロ、アマゾン川南域とパラグアイ川北域に挟まれた熱帯雨林の中を度重なる脱線に苦しみながら青息吐息で走っていた。
 真夏の一九七九年一月一五日、イピアス―ロボレ区間を集中豪雨が襲い、二五時間降り続けた。どす黒い空では稲妻が唸りを上げて光り、悪魔の歯といわれる赤褐色の岩山からは大滝が何本も流れ落ち、それは木々をなぎ倒し、巨石を伴った土石流となってチョチスの村を襲った。線路は二九カ所に渡ってずたずたに切り裂かれ、垂直に切り立つ巨大な石柱岩で有名なポルトン地区の村人一六名が土砂に埋まり、絶命した。
 夜八時、列車が豪雨に晒される瀕死のチョチス村の川の上の鉄橋にさしかかり停車した。二時間後、車体を揺らすほどの轟音が鳴りき、旅客は絶望の悲鳴をあげ、機関士は思わず汽笛を鳴らした。川は濁流に切り裂かれ、岩石と木々が四〇メートルの堤防を破壊し、橋の先の地面に一〇〇メートル長の巨大な亀裂を作った。
 真夜中、教会の神父は鐘を打ち鳴らした。パニックになった村人が教会へ殺到した。村全体が押し流されるかと思われた。祈る他手はなかった。
 幸い翌日の夕方四時、豪雨は止んだ。外へ出ると、暗雲の切れ間から姿を現した岩山の裾野は無残に削り取られて原型を留めていなかった。瓦礫と岩々に覆われた村はかろうじて生き残った。
 列車は仮の復旧作業が終了するまで、チョチスに半年留まった。乗客は、女神が現れ彼らを救ってくれたと信じた。その後、チョチスはローマ・カトリック教会に認められる聖地となる。
 当時ジャングルの中に道路はなく、鉄道だけが輸送手段であった。ブラジルとの交易に依存するボリビアはたちまち行き詰まった。
 ボリビア政府は日本に救いを求めた。援助資金五五億円の供与が決まった。紆余曲折があり、大成建設と日建ボリビアのコンソーシアム(共同事業体)が線路と橋梁の復旧工事に従事することになった。筆者は派遣社員として大成建設に採用され、地球の裏側のボリビア人にも知られていない異境の小村チョチスで二年間過ごした。
 このボリビア鉄道東部路線は、二〇〇七年六月にテレビ朝日「世界の車窓から」、二〇一九年二月にNHK BSプレミアム「行くぞ! 最果て! 秘境×鉄道「ボリビア編」」にて放映された。とりわけ後者では、我々が住んでいたチョチスの村と巨大な石柱岩の麓にある女神を祀まつるローマ・カトリック教会の聖地が、俳優の古原靖久さんにより紹介された。けれども、酷暑や豪雨に晒されながら、日本人、ボリビア人、ブラジル人たちが汗みどろになって熱帯雨林を切り開き、線路や橋梁を作ったという言及はまったくなかった。
 本作品は一九八六年の春先から書き始めたのだから、出版に漕ぎつけるまで三六年の歳月を費やしたことになる。

著者プロフィール

風樹 茂  (カザキ シゲル)  (著者

本名は黒田健司。1956 年北海道生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。メキシコベラクルス大学国費留学。中南米への専門商社退社後、ボリビアアマゾン流域でのODAの鉄道建設事業(大成建設)に参画。プロジェクト終了後、中南米、ヨーロッパ、アジアを放浪。帰国後、シンクタンクや研究所にて首相向け政策提言の作成、海外投資と援助の立案、プロジェクト評価、投資計画の立案を行う。その後、作家に転身し、夕刊フジなどでサラリーマン向けコラムを持つ。2008 年より、プラント業界に参画。ベネズエラ、カタールに駐在。40 か国を踏査。2016 年に帰国し、現在は途上国向けテロ対策の援助に従事している。著書に『ホームレス入門(角川文庫、山と溪谷社)、『今日、ホームレスに戻ることにした』(彩図社)、『リストラ起業家物語』(角川新書)、『ラテンの秘伝書』(東洋経済新社)、『ホームレス人生講座』『東京ドヤ街盛衰記』(中公新書ラクレ)、『それでもパパは生きることにした』(青春出版)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。