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芸者衆に花束を。八王子花柳界、復活 浅原 須美(著) - 風声舎
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芸者衆に花束を。八王子花柳界、復活 (ゲイシャシュウニハナタバヲ ハチオウジカリュウカイフッカツ)

社会一般
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発行:風声舎
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ13mm
重さ 300g
168ページ
並製
価格 1,500円+税
ISBN
978-4-909208-00-2   COPY
ISBN 13
9784909208002   COPY
ISBN 10h
4-909208-00-3   COPY
ISBN 10
4909208003   COPY
出版者記号
909208   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年6月
書店発売日
登録日
2017年5月3日
最終更新日
2017年5月26日
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紹介

八王子花街と芸者衆の〝昔と今と未来〟がわかる初めての単行本。
現状維持さえ難しい現代の花柳界において、衰退の危機を乗り越えて復活を果たし、右肩上がりの躍進を続けている東京・多摩地区の八王子は全国的にも稀有な存在だ。
全国の花街取材歴20年、関連著書3冊を出し執筆・講演活動を続けている著者・浅原須美氏が近年もっとも注目してきたのが、多摩地区で唯一残る八王子花柳界である。
著者は10年に渡り、八王子に足を運び、花街復活のキーパーソンである芸者・めぐみさんと関わり続け、芸者衆や地元の人々と数々の経験を共に過ごし、インタビュー取材を行ってきた。
本書は、このような長年に渡る地道な取材活動の中で得られた独自の情報を元に、「八王子花柳界はなぜ復活できたのか」をテーマに、芸者衆の奮起、戦前の花街の様子、織物業との密接な関係、地元の応援、八王子という町の土地柄などの側面から書き下ろした初めてのドキュメントである。
取材先は、芸者衆、旦那衆、行政、経済界などさまざまな立場から花柳界と関わる人々、のべ約50名。現在の復活への軌跡に加え、すでに他界された古老の貴重な昔ばなし、若き芸者衆が語る未来への展望なども織り込んだ。
本文(1色136ページ)の前後に32ページのカラーページを設け地元のカメラマン・鈴木竜馬氏の撮り下ろし写真を中心に展開。前半(16ページ)では、八王子まつり、おわら風の舞、正月風景、お座敷など芸者衆のいる風景。後半(16ページ)では、お座敷遊び体験ルポ、料金や予約のしかた、花街マップ、イベントカレンダーなど実践編も充実。

目次

はじめに
一章 見つかった居場所
 それは、一枚のポスターから始まった
 花柳界のために、花柳界に反逆する
 得体の知れない世界に魅かれて
 お客さんが喜んでくれる喜びを知る
 やっと見つけた、ここが私の居場所だ
 強烈で愛すべき花街の母に育てられ
 二人は似たもの同士だったのか
 二十年ぶりの置屋「ゆき乃恵」開業

二章 過去からの贈りもの
 地元応援団発足。メリットは、ない
 水槽の金魚たち、大海に放たれる
 旦那衆の記憶に残る、優しき芸者像
 「入りにくく出にくい世界」―-X氏の語り
 中町・純情恋ものがたり
 花街繁栄の象徴・幻の見番
 織物業とともに発展した八王子花柳界
 中町は、良くも悪くも機屋が行くところ
 切れずに、つながっていた糸

三章 地元を慕い慕われて
 八王子市というより〝八王子県〟か?
 「八王子まつり」、思い出のにわか山車
 あの芸者衆となら、復活できるはずだ
 にわか山車は、動くお座敷だったのだ
 三十年ぶりに花柳界行事「お化け」復活
 小学校の授業に招かれた芸者衆
 芸者衆がロビーで踊る粋な病院
 宴会と芸者さんが大好きな土地柄
 変わるイメージ、残るイメージ

四章 広がる縁と可能性
 津波が奪っていったもの、運んできたもの
 女学生から芸者へ。十四歳の悲壮感
 三・一一。運命のあの日、あのとき
 稽古場になった避難所
 ヨーロッパで流れた『釜石浜唄』
 消えそうな、地元の唄を残すお手伝い
 現状維持は後退だ。前と同じことはしない
 一つ目の夢・「八王子をどり」実現

五章 未来の花街に花束を
 黒塀、柳、人力車。町に風情が戻ってきた
 精進の世界に生きる僧侶と芸者衆
 半玉を育てる覚悟と賭け
 歴史は繰り返される

若き置屋主人座談会 まどかさん(ゑん家)、あやめさん(恵美寿家)、小太郎さん(菊よし)
初めてのお座敷遊び 
お座敷遊びのお金のこと
八王子探訪マップ 芸者衆を呼べる店
八王子 芸者衆に会える イベントカレンダー
あとがき

前書きなど

はじめに
(前略)
 八王子は東京西部の多摩地区にある。
 歴史は古く、平成二十九年に市制施行百周年を迎えた。(中略)
 八王子に「芸者さんがいるの?」と驚く人は多いかもしれない。
 しかし、もともとは絹織物の産地で「桑都」とも呼ばれ、織物業で発展してきた土地だ。明治時代から織物業者の接待の場として、花柳界(花街)が栄えたのである。機屋が、全国各地から織物を買い付けにやって来た問屋を花街の料亭に招き、宴席を設ける。その場に、歌舞音曲やお酌や会話でお客をもてなす芸者衆は欠かせない。大正時代、八王子芸者は二百人を超えた。昭和四十年以降、織物業の衰退とともに花柳界も勢いを失い、平成十年ころには風前の灯になっていた。

 ここまでは、日本全国どこにでもよくある話だ。
 ここから、八王子花柳界の復活・再生がはじまる。

 若い芸者衆が増え、途切れていた行事が復活し、新しいイベントが定着し、八王子の外からも頻繁に仕事の依頼が来はじめた。時代に逆行するかのように、年々、勢いをつけて活気を増していく様子にマスコミも注目。新聞やテレビにたびたび取り上げられ、全国的な知名度も上がっていった。そして今や、地元の行政や経済界も「八王子の財産」と誇る存在になった。
 話題の中心には、いつも八王子芸者んのめぐみさんがいた。
 現状維持さえなかなか難しい現代に、このような右肩上がりの復活を遂げた花柳界は他にはない。
 いったいんなぜ、八王子でそれが可能だったのか――。
 私はあらためてさまざまな立場の人々から話を聞き集めた。「芸者衆と地元の人々と八王子のまち」に焦点を当てて追っていったら、過去・現在・未来をつなぐ太い線が見えてきた。
 資料はさらに積み重なった。蓋の閉まらなくなった段ボール箱から、まずは平成十一年の出来事を語っためぐみさんへの取材記録を取り出そう。

著者プロフィール

浅原 須美  (アサハラ スミ)  (

東京国分寺生まれ。山梨県立甲府南高校、横浜市立大学卒業。出版社勤務を経てフリーランスで取材・執筆・編集業務に携わる。料理店情報誌の仕事を通じて、平成6年頃から、それまで縁もゆかりもなかった花柳界に興味を持ち、以来、全国約50か所の花街を訪れて、芸者衆および花街関係者を取材。執筆・講演活動を行う。著書に『夫婦で行く花街 花柳界入門』(小学館)、『お座敷遊び 浅草花街 芸者の粋をどう愉しむか』(光文社新書)、『東京六花街 芸者さんに教わる和のこころ』(ダイヤモンド社)。ホームページ「全国花街・芸者ひろば」http://geishahiroba.tokyo/にて花街情報発信中。

上記内容は本書刊行時のものです。