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ザ・リトル・レッド・ブック・オブ・フライフィッシング/鱒釣師のための250のヒント
鱒釣師のための250のヒント集
原書: The Little Red Book of Fly Fishing
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年10月8日
- 書店発売日
- 2021年10月8日
- 登録日
- 2021年8月30日
- 最終更新日
- 2022年12月26日
紹介
フライフィッシング書籍の米国における伝説のベストセラー『The Little Red Book of Fly Fishing』 の日本語翻訳版。発売以来10年以上が経過しながら、未だにフライフィッシング部門で常にベスト3の一角をキープしている稀な技術指南本です。「こうしなくてはならない」的な内容が多い一般的なフライフィッシング教本と一線を画しているのは、「なぜこうしなくてはならないか」という理由や背景がわかりやすく記されていることです。その理由は著者の経歴にあってカーク・ディーターとチャリー・マイヤーズはふたりともField & Stream、Fly Fisherman、Rod & Reel、Outdoor Lifeといった米国のメジャーアウトドア雑誌のライターであり、単なる釣り名人ではないからです(ディーターはフライフィッシング・ガイドでもある)。どんなに釣りが上手くても、釣る方法を他人に上手く伝えることは極めて困難な作業で、しかもそれを文章にすることは至難といっていい。その極めて稀、かつ幸運なケースがこの本なのです。
本書は1)キャスティング 2)プレゼンテーション 3)水を読む 4)フライ 5)その他 の5つのパートに分かれており、それぞれのテーマごとにビギナーからベテランまで、あらゆるレベルのフライフィッシャーに向けた250項目ものヒントやアドバイスが著者の経験談などを交えながらわかりやすく記されています。
以下、パートⅠの冒頭から抜粋
<キャスティング/まっすぐ、遠く、正確にキャストするための45のヒント>
まず初めにいっておきたいことがある。それはこの世に完璧なキャストというものが存在しないということだ。フライフィッシングには釣れるキャストと釣れないキャストがあるだけのことだ。そもそも鱒をフライで釣りたいなら、キャスティング能力よりむしろプレゼンテーション能力(パートⅡ参照)、水流の分析能力(パートⅢ参照)、フライの選択能力(パートⅣ参照)が重要となる。キャスティング能力が極めて重要な要素となるソルトウォーター・フライフィッシングとは同じ道具を使った別のスポーツと考えた方がいい。
プロゴルフの世界に「ドライバーショットは人寄せパンダで、パッティングこそがメシのタネだ」という言葉がある。フライフィッシングにも似通った点があって、完璧なタイトループや派手なロングキャストは見ている釣り人を驚かせるかもしれない。しかしながら肝腎の魚はといえばループの形にはまるっきり興味がない。魚はキャスティングそのものではなく、キャストされたフライの流れ方に猛烈な関心を寄せているのだ。
目次
パート1 キャスティング
パート2 プレゼンテーション
パート3 水を読む
パート4 フライ
パート5 その他
版元から一言
「フライフィッシングが上手くなりたい、それもできるだけ手っ取り早く!」というビギナーから、「いまさら恥ずかしくて友人には聞けないけど」というベテランまで、フライフィッシングが好きな人々へ贈るフライフィッシング・ヒント集です。以下は本文からの抜粋です。
<ループはパワーのオシロスコープ>
ビギナーがフライキャスティングの練習を始めると、誰もがほぼ100%経験する「ある現象」がある。それはシュートのときに限ってラインが力を失って距離が伸びない不思議な現象だ。距離を伸ばそうとフォルスキャストを繰り返しているときは、ラインは前後にしっかり飛んでいたのに、いざ肝腎のシュートとなると、それまで上手く伸びていたラインが突然力を失って、手前の地面にダラダラと落ちてしまい、それまでの苦労が水の泡となる。ベテランの皆さんにもそんな経験ありますよね? あるいは経験しつづけているとか?
原因はロッドでもなければラインでもなく、それはあなたの「期待 」にある。最大限の効果を得ようとするあまり、自分自身で過剰な演出をしてしまうのだ。折角それまではハリウッドスター並みの自然な演技だったのに、微笑むべきシーンでいきなり大爆笑してしまい、すべてをぶち壊しにしてしまうような。
この現象はラインを操っていたスムーズな動きに、突然、意味不明な動きと過剰な力が加えられることによって起こる。ループはいわばパワーのオシロスコープだ。力が均等に加えられつづければ滑らかな曲線を描き、ぎくしゃくすると上下に形が崩れてしまう。キャスティング・レッスンの第一人者レフティ・クレイは、この現象を「パンツから飛び出す」と表現していた。むやみに興奮しちゃダメってことである。
ご想像のとおり、解決策はいたって簡単だ。興奮しないことである。フォルスキャストと同じように無心にラインを前後させ、「あれっ、まちがってシュートしちゃった」くらいの気持ちになろう。自分の脳を騙すのは意外に難しい作業でもあるが、ともかく最後に「エイヤッ!」というのだけは止められるはずだ。
上記内容は本書刊行時のものです。