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チーム担任制
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2025年7月9日
- 書店発売日
- 2025年7月6日
- 登録日
- 2025年6月3日
- 最終更新日
- 2025年6月18日
紹介
新時代の教育システム、始動!
「チーム(学年)担任制」それは大きな可能性を秘めた取組みです。教員の働き方や子どもとの接し方を変え、子どもの主体性を育む可能性をもつものです。学校という組織の在り方そのものを問い直し、未来へと向かう変革を起こす起爆剤となり得ます。本書は、従来当たり前とされてきた1学級に1担任=「学級担任制」という制度について、そして今静かに広まりつつある「チーム(学年)担任制」の可能性と課題について、骨太な実践者による記録と新進気鋭の教育哲学者による論攷から迫ります。
目次
はじめに
第1章「チーム担任制」とは何か……中西 茂
あいまいな仕組みと呼称
教員の働き方改革、生徒の主体性育む
第2章 チーム担任制の現場……中西 茂
校長が交代しても続ける
校長が異動した先で
自死きっかけ、再発防止策として
各地に広がるチーム担任制
校長交代で変わるのか、変わらないのか
自治体を挙げて取り組む
第3章 時代の変化に対応する公立中学校の挑戦……高橋幸夫
最上位目標『主体的に思考し表現する集団』
チーム担任制
生活指導改革
特別活動改革 生徒参画の学校改革
ICTの利活用によるスマートスクール化
時代の変化に対応する学校へ、さらなる高みを目指して
第4章 「新教育課程」3つの改革 常識を疑った小学校の軌跡……西門隆博
新教育課程とは~3つの改革~
改革のきっかけと校長と教頭の苦悩
小学校の常識「学級担任は重要である」への疑問
生徒指導面での指摘と限界
小学校教員の働き方と新しい勤務制度の乖離
改革への道のり
新教育課程導入後の様子
「学校運営における組織的対応についての提言」の指摘とこれから
第5章 学校の課題を克服する全市一体での「チーム担任制」……永井初男
学校の現状を何とかしたい
「チーム担任制」のスタート(2020年度)
全小中学校で試行(2021~2023年度)
小学校での本格実施(2024年度)
校長が「チーム担任制」の成功の鍵を握っている!
チーム担任制の質的向上に向けて
第6章 チーム担任制の意義を、教育の本質から考える……苫野一徳
目的それ自体を問い直す
チーム担任制の広がりとその課題
対話の文化・仕組みをつくる
これって一体何のためなんでしたっけ?
「対話の時間がない」について
児童生徒も参加する
校内研修に生徒が参加する
「自由の相互承認」の原理
「一般意志」の原理
教育の本質
チーム担任制の本質的意義
版元から一言
「チーム担任制」は以前より一部の学校で試みられていましたが、近年再びこのワードを聞くようになりました。本書は入念な取材により、導入が進みはじめた全国の学校現場の姿をリアルに伝えます。読み進めるほどに「”1人1箱”は限界」とする現場の声が深刻さを増し、同時に「チーム担任制」により主体性を発揮し始めた児童生徒たちの姿が輝きだします。これほどにwin-winな解決策があるのかと感心してしまいました(もちろん書中では課題も指摘されていますが)。
自販機設置プロジェクトなど校内で5つの生徒主導の改革を進めた高橋校長の、「小さな自己決定の連続」が大事なのだとする言葉が印象的です。自分たちの活動で学校という社会がわずかでも動いたという経験を積み重ねることが、これからの社会をつくっていく子どもたちには重要とも。高度成長期をとうに過ぎ社会の中で多くの制度が固定化しているいま、特に貴重な指摘だと感じました。
最終章では、教育哲学者の目線からチーム担任制が語られます。それは複数のおとなによって子どもたちが尊重され承認されるためのしくみであり、自分を認められた経験を持つ子どもこそが他者の自由を承認し共存社会を作っていけることが、胸のすくような論理性をもって説かれています。教育者たちが成し遂げようとしていることの凄さを再認識することで、慣れ親しんだ担任固定制を変えるという大きなチャレンジに向かう勇気が得られるのではないでしょうか。
上記内容は本書刊行時のものです。