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空き家・空き地を活かす地域再生 田島 則行(著/文 | 編集) - ユウブックス
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空き家・空き地を活かす地域再生 (アキヤ・アキチ ヲ イカス チイキサイセイ) コミュニティ・アセット実践編 (コミュニティ・アセット ジッセンヘン)

自然科学
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A5判
縦210mm 横148mm 厚さ13mm
重さ 315g
188ページ
並製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-908837-15-9   COPY
ISBN 13
9784908837159   COPY
ISBN 10h
4-908837-15-5   COPY
ISBN 10
4908837155   COPY
出版者記号
908837   COPY
Cコード
C0052  
0:一般 0:単行本 52:建築
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年10月10日
書店発売日
登録日
2024年6月28日
最終更新日
2024年10月15日
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紹介

「コミュニティ・アセット」とは、「空き家増加」と「コミュニティの活力低下」という二つの問題を同時に解決する「場づくり」を指す。空き家を活用することこそが、コミュニティが再生されるためのきっかけとなり、コミュニティのための場づくりこそが活動資金を生み出すと同時に、空き家を減らす処方箋になる。
 本書では、「コミュニティ・アセット」の11の事例を通じ、金融による事業スキームの構築方法や完成までのプロセスを、スキームダイアグラムや豊富なカラー写真とともに伝える。
 そのほか米英における先行組織のあり方や、コミュニティ・アセット構築までの定型のステップ、事業者らのインタビュアーを通じた成功のポイント、各課題についての論考などを掲載し充実した内容に。
 行政、金融機関、地主、大家、設計者らなどまちづくりに関わる方の必携の書。

目次

[目次]
Introduction コミュニティ・アセットへの提言 田島則行
コミュニティアセット構築のためのステップ
Chapter 1 民間主導の公共プロジェクト
Case 1 地方から生まれた公民連携の最先端事例
岡崎正信/株式会社オガール 
オガールプロジェクト

Case 2 官民連携によるまちの交流拠点
内山博文/つくばまちなかデザイン株式会社
co-en

Case 3 公民連携による集合住宅団地の新しい近隣空間
入江智子/株式会社コーミン
morineki

Chapter 2 コミュニティ事業から始まる地域再生
Case 4
DIYによる近隣活性化の始まり
河野直/合同会社つみき設計施工社
123ビルヂング

Case 5
投資から始まる場の育成・運営
松島孝夫/株式会社エンジョイワークス
平野邸Hayama、The Bath & Bed Hayama、桜山シェアアトリエ

Case 6
“共感”をコアにした集合住宅の再生
𠮷原勝己/𠮷原住宅有限会社、株式会社スペースRデザイン
山王マンション、新高砂マンション、コーポ江戸屋敷

Chapter 3 市民の汗のエリアマネジメント

Case 7
空き家が増え続ける坂道のまちに立ち向かう
豊田雅子/NPO法人尾道空き家再生プロジェクト
あなごのねどこ、みはらし亭

Case 8
オーナーを突き動かす地域貢献型のテナント戦略
東海林諭宣/株式会社 See Visions 
ヤマキウ南倉庫

Case 9
貧困と衰退に立ち向かう市民活動のアイデアと工夫
大谷悠/Das Japanische Haus e.V. 
ライプツィヒの「日本の家」プロジェクト

Chapter 4 まちの価値を活かした空き家再生
Case 10 既存の不動産価値を活かした再生術
藤原岳史/一般社団法人ノオト、株式会社NOTE
篠山城下町ホテルNIPPONIA

Case 11 自治体と民間を連携させ新しい流通の仕組みをつくる
和田貴充/空き家活用株式会社
アキカツナビ

Cross Talk
1コミュニティ・アセットの地平を開いた先駆者の心得
岡崎正信

2 自ら編み出した公民連携の団地づくりの手法
入江智子

3 コミュニティ事業と地域再生をつなげる手法
内山博文×河野直×松島孝夫
4 各地のプレーヤーに知識とネットワークと手法を伝えていく
𠮷原勝己

5 一つひとつの活動からまちへ広げる
大谷悠×東海林諭宣×豊田雅子

6 再生事業の資金調達のスキームづくりに“よそ者”は不可欠
藤原岳史×和田貴充

Research
1 団地に展開されたエリアマネジメント:東京都西東京市、東久留米市「ひばりが丘団地」から
森田芳朗

2 中山間地域における地域おこし協力隊の活躍:岡山県久米郡久米南町 ゲストハウス「&里方屋」から
納村信之

3 社会性のある私欲:バンコクのリノベーションプロジェクトから
権藤智之

4 遺物を活かす空き家再生の提案
山崎亮

5 アーティストと地域住民のゆるやかな関係:大分県別府市「清島アパート」から
若竹雅宏

6 歴史的建造物の利活用によるエリア再生:ベルギー、オランダの産業遺産から
奥村誠一

7 不動産市場から見るアセット価値向上の手法:イギリスの建築ストックから
中城康彦

前書きなど

はじめに 田島則行

 空き家の問題が、ニュースでも大きく取り上げられるようになってから久しい。政府や行政が毎年のようにさまざまな対策を打つが、一向に減る様子がない。空き家数は、総務省の統計(2024年)ではついに900万戸まで増えてしまい、過去30年間でほぼ倍増してしまった。その理由はいろいろあると思うが、既存の住宅や建物を長く使われるように工夫してなか ったこと、空き家になったあとの新しい活用方法の工夫をしてこなかったことが大きいと思われる。
 もう一方で、少子高齢化によって人口減少と高齢化という問題が顕在化し、各地域のコミュニティの活力が徐々に弱ま ってきていることもある。人口が減れば空き家は増え、空き家を活用するにも、使う人がいないという悪循環が続くばかりである。我々は、「空き家問題」と「コミ ュニティの問題」という、二つの大きな課題を抱えたまま、鶏が先か、卵が先かの議論を長いこと続けてきたように思う。
本書ではそれぞれ個別に解決するのではなく、むしろその二つを同時に考えることこそが、解決策を見つけ出す方法だと考えている。つまり空き家を活用することこそが、コミュニティが再生されるためのきっかけとなり、コミュニティのための場づくり、拠点づくりこそが活動資金を生み出すと同時に、空き家を減らす処方箋になるのではないかという考えだ。このように二つの問題を同時に解決するための「場づくり」のことを、我々は「コミュニティ・アセット」と呼んでいる。
 コミュニティ・アセットの考え方に関しては、前著の『コミュニティ・アセットによる地域再生:空き家や遊休地の活用術』(鹿島出版会、2023年)において詳しく紹介している。アメリカやイギリスにおいて縮小局面におけるコミュニティの再生を行うために、各地域のNPO組織が活躍すること
で衰退地域の再生が進められてきたこと。
1990年代に紹介されたときには日本ではまだ準備が整っていなかったが、2010年代以降は日本においても先駆的な事例が続々と実現し始めてきていることを示した。
 そして本書では、前著の理論的なベースを土台にしつつも、自らのリスクでプロジェクトを立ち上げて実践している日本の先駆者らにインタビューを行い、彼らが直面してきた問題やその解決方法を詳しく振り返りながら、今後、日本においてコミュニティ・アセットで地域を再生しようと考えている、あるいはすでに一歩踏み出している人たちのために、その方法論や考え方を詳しく紐解きたい。本の構成は、まず最初に「Introducti-on コミュニティ・アセットへの提言」にて背景や考え方を詳しく説明したうえで、「コミュニティアセット構築のためのステップ」を具体的に提示する。その後、四つの章に分けて各章2 ~3 事例ずつ、全部で11の事例を紹介し、Chapter 1 が「民間主導の公共プロジェクト」、Chapter 2が「コミュニティ事業から始まる地域再生」、Chapter 3 が「市民の汗のエリアマネジメント」、そしてChapter 4 が「まちの価値を活かした空き家再生」という四つの視点でまとめている。さらにこの四つの章には7 名の識者による国内や海外事例のリサーチがそれぞれ差し込まれており、本全体を通してコミュニティ・アセットによる空き家や空き地の再生手法の実践や理論、そしてリサーチを俯瞰できるように構成している。
 建築関係者やまちづくり関係者だけでなく、銀行や金融機関、地主や大家、あるいは政府や行政などの多様な主体が力を合わせて衰退局面に直面する日本を再生していくために、ともに考え、実践すべき方法を提示することで、空き家や空き地の活用を進め、コミュニティの活性化を実現するための道筋を照らしていきたいと思う。

著者プロフィール

田島 則行  (タジマ ノリユキ)  (著/文 | 編集

田島 則行(たじま のりゆき)
千葉工業大学准教授。博士(環境学)、一級建築士、宅地建物取引士、テレデザイン代表。
1964年東京都生まれ。工学院大学建築学科卒業、AAスクール(イギリス)大学院修了。東京大学大学院博士後期課程修了。1993年独立。1999年テレデザイン設立。2013年千葉工業大学着任。設計デザイン活動の一方で、数多くのリノベーション、まちづくり、地域再生プロジェクトを手掛ける。受賞にJCDデザイン優秀賞受賞、建築家協会優秀作品選、都市住宅学会・学会賞著作賞、伊勢崎市景観まちづくり賞、国際学会(WBC2022)最優秀論文賞など。著書に『建築のリテラシー』(彰国社)、『コミュニティ・アセットによる地域再生』(鹿島出版会)など。

奥村 誠一  (オクムラ セイイチ)  (著/文

奥村 誠一(おくむら せいいち)
文化学園大学造形学部准教授、アーキインタイム共同主宰、武蔵野美術大学非常勤講師。博士(建築学)、一級建築士。 1976年福岡県生まれ。現・東京都立大学大学院建築学域博士課程修了。青木茂建築工房取締役東京事務所所長を経て、 2020年奥村誠一建築再生設計事務所設立、2023年アーキインタイムに改組。著書に『建築再生学』(共著、市ケ谷出版社)など。

権藤 智之  (ゴンドウ トモユキ)  (著/文

権藤 智之(ごんどう ともゆき)
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻准教授。博士(工学)。 1983年香川県生まれ。東京大学工学部建築学科卒業、同大学大学院博士課程修了。首都大学東京(現・東京都立大学)准教授を経て、2017年より東京大学特任准教授に着任、2022年より現職。専門は地域の住宅生産、構法史、複雑形状の建築生産など。

中城 康彦  (ナカジョウ ヤスヒコ)  (著/文

中城 康彦(なかじょう やすひこ)
明海大学不動産学部教授。博士(工学)、一級建築士、不動産鑑定士、FRICS。
1979年名古屋工業大学修士課程修了。建築設計、不動産鑑定、米国不動産投資会社勤務後、会社設立。1996年明海大学専任講師、ケンブリッジ大学客員研究員を経て2012年明海大学不動産学部長・研究科長に着任。著書に『建築プロデュース』(市ケ谷出版社)など。

納村 信之  (ノムラ ノブユキ)  (著/文

納村 信之(のむら のぶゆき)
岡山理科大学工学部建築学科教授。博士(工学)。
1965年愛媛県生まれ。東京大学建築学科卒業、AAスクール大学院修了、東京大学大学院工学系研究科博士課程。清水建設設計本部、プランテック総合計画事務所勤務後、テレデザイン・コラボレーション設立に参画。名古屋商科大学大学院教授後、2022年度より岡山理科大学工学部建築学科教授に着任。

森田 芳朗  (モリタ ヨシロウ)  (著/文

森田 芳朗(もりた よしろう)
東京工芸大学工学部教授。博士(工学)。
1973年福岡県生まれ。九州大学大学院工学研究科修士課程修了、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。著書に『図表でわかる建築生産レファレンス』(共編著、彰国社)、『箱の産業:プレハブ住宅技術者たちの証言』(共編著、彰国社)、『世界のSSD100:都市持続再生のツボ』(共編著、彰国社)ほか。

山崎 亮  (ヤマザキ リョウ)  (著/文

山崎 亮(やまざき りょう)
studio-L代表、関西学院大学建築学部教授。博士(工学)、コミュニティデザイナー、社会福祉士。
1973年愛知県生まれ。大阪府立大学大学院および東京大学大学院修了。建築・ランドスケープ設計事務所を経て、2005年studio-L設立。地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わる。まちづくりのワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、市民参加型のパークマネジメントなどに関するプロジェクトが多い。著書に『コミュニティデザインの源流』(太田出版)、『縮充する日本』(PHP新書)、『地域ごはん日記』(パイインターナショナル)、『ケアするまちのデザイン』(医学書院)ほか。

若竹 雅宏  (ワカタケ マサヒロ)  (著/文

若竹 雅宏(わかたけ まさひろ)
福岡女子大学准教授。博士(工学)、一級建築士。
1975年広島県生まれ。日本大学生産工学部建築工学科卒業、同大学院修了。2000~2018年鈴木エドワード建築設計事務所。2018年福岡女子大学講師、2021年より准教授に着任。専門はコミュニティ施設の計画論、建築物(高齢者施設)の避難安全計画。近年はおもに「若者や子ども」を対象にした地域づくり・施設づくりに関わる計画及び実践を展開。

上記内容は本書刊行時のものです。