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vanitas 蘆田 裕史(編集) - アダチプレス
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vanitas (ヴァニタス) 巻次:No. 007

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四六変形判
縦188mm 横117mm 厚さ13mm
重さ 210g
192ページ
並製
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-908251-14-6   COPY
ISBN 13
9784908251146   COPY
ISBN 10h
4-908251-14-2   COPY
ISBN 10
4908251142   COPY
出版者記号
908251   COPY
Cコード
C0070  
0:一般 0:単行本 70:芸術総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年7月26日
書店発売日
登録日
2020年12月11日
最終更新日
2024年2月24日
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紹介

日本で唯一のファッションの批評誌。第7号の特集は「ファッションとジェンダー」。テクノロジー、身体、ファッションデザインとジェンダーとの関係を、インタビューや論文、展覧会・書籍紹介などを通して考察。また、『ファッションと哲学』(フィルムアート社)の共編者、アネケ・スメリクの来日講演を特別掲載。

目次

・introduction

・interview
長見佳祐(HATRA)
長谷川愛
市川渚+檜山敦

・paper
原山都和丹「手編みのユニフォーム―シェットランドのガンジー」
アネケ・スメリク「フラクタルの襞―イリス・ヴァン・ヘルペンのファッションデザインへの新しい唯物論からのアプローチ」
難波優輝「身体のないおしゃれ―バーチャルな『自己表現』の可能性とジェンダーをまとう倫理」(公募)
増永菜生「『イタリアらしさ』が生まれるとき―2010年代後半のドルチェ&ガッバーナのショーを例に」(公募)
小田昇平「転移をうみだすアクセサリ―ジンメル、ラカン、バルト、メゾン・マルタン・マルジェラのアクセサリをめぐって」(公募)
工藤源也「フセイン・チャラヤンのファッション・デザインにおける身体の相補的関係―モビリティの発達と私たちの身体のゆくえ」(公募)

・international perspective
展覧会紹介
書籍紹介

・critical essay
増野朱菜「サイボーグはウェディング・ドレスの夢を見るか?―サイエンス・フィクションがサイボーグに女性性を与えるとき」

・afterword

前書きなど

introduction

昨今、アカデミズムのみならず社会全体において「ジェンダー」に関するトピックがさまざまに議論されています。いわゆるジェンダー論やフェミニズムに加え、クィア・スタディーズや男性学といった学問分野が人口に膾炙しはじめているといえるでしょう。言うまでもなく、ジェンダーの問題にはファッションも大きく関わっています。たとえば、私たちが他者のジェンダーを判別するとき、その根拠の多くはファッションにまつわるもの―髪型やメイクも含めて―です。前を歩いている人がスカートをはいていれば、その人を「女性」だと認識する場合が多いでしょう(それが適切かどうかは別として)。

スカートが女性というジェンダーに結びつけられている、というのは言わずもがなです。歴史を振り返らずとも、スカートの構造を知らずとも、子どもですらそう思い込んでいます。しかしながら、スカート(=衣服)が私たちにとってどのような意味を持つのか、換言すれば「人はなぜ衣服を着るのか」という問いの答えは、ジェンダー論やフェミニズムの議論だけを追っていても考えることができません。それゆえ、ファッション研究の側からもジェンダー論にアプローチする必要があるのです。そうしなければジェンダー論は進展しないと言っても過言ではありません。

とはいえ、今号の特集のみでファッションとジェンダーのあらゆる側面を網羅することはできないので、いくつかの視点を提供できればと考えています。具体的に言えば、これまでの号でもずっと通奏低音として響いているテクノロジー、衣服と切り離すことのできない身体、世の中に商品として流通する衣服を制作するファッションデザインという行為など、いくつかのトピックとからめながらジェンダーについて考察するための契機が散りばめられています。

制作にあたってテクノロジーを取り入れ、かつその作品にジェンダーの問題が見え隠れする(ように思われる)HATRAの長見佳祐氏へのインタビュー、スペキュラティヴ・デザインやデザイン・フィクションの手法によって身体やジェンダーの問題を可視化させるデザイナー/アーティストの長谷川愛氏へのインタビュー、ファッションとテクノロジーを架橋するクリエイティブ・コンサルタントの市川渚氏とヴァーチャルリアリティやウェアラブルテクノロジーといったテーマを扱う身体情報学の研究者・檜山敦氏との対談、シェットランド諸島のニットウェアのガンジーの生産者が女性であることに着目する原山都和丹氏の論文、映画『エクス・マキナ』からサイボーグと女性性について分析する増野朱菜氏のエッセイを掲載し、さらにジェンダーをテーマとする展覧会や書籍の紹介を行いました。そのほか、特別に掲載許可をいただいたアネケ・スメリク氏のイリス・ファン・ヘルペン論に加え、難波優輝氏、増永菜生氏、小田昇平氏、工藤源也氏の公募論文も力作揃いです。

本誌を通じて、読者のみなさんがこれからの社会をよりよく生きるための手がかりを見つけられることを期待します。

著者プロフィール

蘆田 裕史  (アシダ ヒロシ)  (編集

1978年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位取得退学。京都服飾文化研究財団アソシエイト・キュレーターなどを経て、現在、京都精華大学デザイン学部准教授、副学長。専門はファッション論。著書に『言葉と衣服』(アダチプレス、2021年)、共著に『ファッションは語りはじめた――現代日本のファッション批評』(フィルムアート社、2011年)など、訳書にマリオ・ペルニオーラ『無機的なもののセックス・アピール』(共訳、平凡社、2012年)、アニェス・ロカモラ&アネケ・スメリク編『ファッションと哲学――16人の思想家から学ぶファッション論入門』(監訳、フィルムアート社、2018年)などがある。本と服の店「コトバトフク」の運営メンバーも務める。

水野 大二郎  (ミズノ ダイジロウ)  (編集

1979年生まれ。英国王立ロイヤルカレッジオブアート・ファッションデザイン博士課程後期修了。芸術博士(ファッションデザイン)。慶應義塾大学環境情報学部准教授を経て、京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab特任教授、應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授。共著に『リアル・アノニマスデザイン』(学芸出版社、2013年)、『x‐DESIGN』(慶應義塾大学出版会、2013年)、『FABに何が可能か』(フィルムアート社、2013年)、『インクルーシブデザイン』(学芸出版社、2014年)、共監訳書に『クリティカルデザインとは何か』(BNN新社、2019年)など。大橋香奈との共作『Transition』が、2019年のInternational Documentary Filmfestival in Amsterdamショートドキュメンタリー映画部門入選。多岐に渡り社会とデザインを架橋する実践的研究に従事している。

上記内容は本書刊行時のものです。