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社会に届け、沈黙の声
知的障害と呼ばれる人々が語る、津久井やまゆり園事件、出生前診断、東日本大震災
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年12月10日
- 書店発売日
- 2020年12月1日
- 登録日
- 2020年11月26日
- 最終更新日
- 2020年12月1日
紹介
『沈黙を越えて』刊行から五年……厚い壁の中に閉じ込められたままの言葉に、翼をつけて、その言葉から社会が何かを学びとることをめざす、新たな試み。
目次
第1章 介助つきコミュニケーションについて
1.介助つきコミュニケーションとは何か
(1)信頼性をめぐる議論
(2)介助つきコミュニケーションの方法と介助の内容
第2章 東日本大震災に思う
1.なぜという問い
2.災害と障害の共通性
3.わずかな希望さえあれば人は生きてゆける
4.救い
5.自然との共生と闘い
6.また取り残されたという思い
7.足手まといになること
8.鎮魂
◉コラム きんこんの会
第3章 新しい出生前診断について
1.新しい出生前診断の議論の始まり
2.当事者の声
(1)2012年9月2日 町田市障がい者青年学級において
(2)2012年9月15日
(3)2012年9月22日 ダウン症当事者の声
(4)2012年9月24日 二人の女性の声
(5)2012年10月15日
(6)2012年11月18日 町田市障がい者青年学級において
(7)2012年11月18日 母の死を越えて
(8)2012年12月13日 ダウン症当事者の少女の言葉
(9)2013年5月11日 若葉とそよ風のハーモニーコンサートにおける発表
(10)2013年12月1日 町田市障がい者青年学級において
(11)2014年5月3日
(12)2014年11月18日
◉きんこんの会 声明文
第4章 入所施設での暴行死事件について
1.事件の概要
2.事件をめぐる当事者の言葉
3.「強度行動障害」をめぐって
第5章 津久井やまゆり園事件によって問われたもの
1.いのちの価値をめぐって
(1)かけがえのないいのち
(2)豊かな言葉の世界の存在
(3)専門家やマスコミの見解に対して
2.優生思想について
(1)犯人の思想
(2)優生思想を越えてきたもの
3.犯人の許しについて
4.被害者が匿名にされたこと
5.被害者の追悼と鎮魂
6.町田市障がい者青年学級ととびたつ会での取り組み
終章 いのちを見つめて
1.もう一度このからだで生きてもいいよ 上木啓太郎さん
2.苦しみは理想をつなぐ糸 浦島美津恵さん
3.苦難、それは理想への水路 臼田輝さん
4.まっすぐな心 名古屋和泉さん
前書きなど
……本書で紹介する当事者の言葉は、独力では意思の表出に困難のある方々が、介助つきコミュニケーションと呼ばれる方法によって語ったものです。それは、介助者が手を添えて行うものであるために、本当に当事者の言葉なのか、介助者の言葉ではないかと疑義を持たれてしまうことが往々にしてあり、現段階では、十分な市民権を持つまでにいたっていません。
しかし、少なくとも介助者である私自身にとってその言葉は、まぎれもなく当事者の言葉であり、しかも、それはとうてい私には語りえないもので、当事者だからこそ語りうる深い言葉の数々です。こうした当事者の言葉が顧みられないということは、当事者にとっては、基本的人権の一つである表現の自由が奪われていることでもあり、私たちにとっては、学ぶべき多くの考えを含んだ言葉をそのまま見過ごしてしまうということであり、社会にとっての損失だと言ってもいいのではないかと思います。(「はじめに」より)
版元から一言
知的障害の概念を根底から覆す『沈黙を越えて』刊行から五年、沈黙の壁を穿ち、いま彼らの言葉が飛び立とうとしている。
上記内容は本書刊行時のものです。