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ドストエフスキーの戦争論
作家の日記を読む
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年11月30日
- 書店発売日
- 2019年11月25日
- 登録日
- 2019年11月5日
- 最終更新日
- 2019年11月19日
紹介
ドストエフスキーはなぜ戦争を讃美したのか?!
露土戦争聖戦論、コンスタンチノープル領有宣言、ユダヤ・カトリック陰謀論、平和主義批判……。これまでほとんど顧みられてこなかった最晩年の労作『作家の日記』を読み込み、一筋繩でいかない文豪の知られざる実像に迫る。
目次
第1章 ドストエフスキー対トルストイ
露土戦争のはじまり
ドストエフスキー対トルストイ
トルストイの「原理主義的平和」が導く全体主義体制
トルストイの民衆蔑視
第2章 民衆への同情が『悪霊』を導く
ネクラーソフとドストエフスキー
民衆への「愛」とは何か
悪霊にとりつかれる善意の知識人
第3章 ドストエフスキーとロシア民衆
知識人と民衆
百姓マレイ
百歳の老婆
キリストのヨールカに召された少年
第4章 ドストエフスキーの見たロシアの近代
上からの近代化が招いたロシアの混沌
パパ、たばこをちょうだい――自由の名のもとでの家庭と信仰の崩壊
自殺へと向かう近代のニヒリズム
霊魂の不死という概念と民衆の生
神のもとに旅立った少女の死
第5章 近代を乗り越えてゆくロシア
「柔和な女」と知識人の問題
「おかしな男の夢」から「ヴラース」の巡礼へ
第6章 ドストエフスキーの戦争論
巡礼としての戦争――近代批判としての戦争
偽善的な平和と正義の戦争
ドストエフスキーの「八紘一宇」
リアル・ポリティクスを越えてゆく民衆の夢
第7章 コンスタンチノープル領有論と反ユダヤ主義
コンスタンチノープル領有論(1)――ロシアの歴史は三段階で発展してきた
コンスタンチノープル領有論(2)――権力から限りなく遠い正教、共産主義とも一体化するカトリック
ドストエフスキーと反ユダヤ主義
あるユダヤ人女性の手紙――民族の垣根を越えた一時のユートピア
第8章 スラブ主義の思想家――ホミャーコフとダニレフスキー
ホミャーコフ――スラブ主義の純粋結晶
聖なるロシアを求めるがゆえの祖国への激烈な批判
ダニレフスキーと汎スラブ主義
ドストエフスキーとスラブ主義
第9章 ドン・キホーテとジョルジュ・サンド
ドン・キホーテ――政治における道義性
ジョルジュ・サンド――気高い羊飼いの娘ジャンヌ
第10章 プーシキン記念講演と世界の調和
露土戦争の「勝利」とスラブ主義の敗北
プーシキンの描く「放浪者」としての知識人
オネーギンとタチヤーナ――近代と民衆との対峙
世界文学としてのプーシキンと、西欧とロシアの文明的統一
前書きなど
ドストエフスキーの『作家の日記』は、近代と格闘した一人の知識人のドラマである。その表面に現れた〝聖戦〟論、反ユダヤ主義、コンスタンチノープル領有論などの表層の言説にとらわれなければ、この『日記』には、ドストエフスキーの思想がもっとも直截的な形で表れていることに気がつくであろう。(「ロシアが終わるとき――あとがきにかえて」より)
上記内容は本書刊行時のものです。