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マルクスに凭れて六十年
自嘲生涯記 増補改訂新版
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年2月25日
- 書店発売日
- 2023年2月20日
- 登録日
- 2022年12月21日
- 最終更新日
- 2024年8月26日
書評掲載情報
2024-05-09 |
週刊実話
5月23日号 評者: 居島一平 |
2023-08-09 |
米粒写経公式チャンネル
評者: 居島一平(米粒写経) |
2023-05-24 |
闇雲ジャーナル(仮)
150 評者: 居島一平 |
2023-05-01 |
Will
5月号 評者: 永栄 潔 |
2023-02-27 |
人文的、あまりに人文的(哲学の劇場)
144 評者: 吉川浩満 |
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重版情報
3刷 | 出来予定日: 2023-06-15 |
2刷 | 出来予定日: 2023-05-17 |
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紹介
老マルクス研究者の遺言
「日本中で唯一人マルクス主義に殉じた」(呉智英)、
「老人の美しい死」(朝倉喬司)
――自裁をほのめかして結語する本書の出版と、
その翌年、79歳の著者が、車椅子の86歳の妻と連れだって
自ら行方を絶ったことを受けて後年、
2人の評論家はこのように評した。
しかし、本書を一読すれば、悲劇的なニュアンスは皆無といっていい。
描かれるのは、人民戦線事件、満鉄調査部、
『資本論』出版の舞台裏(いわゆる「暴露」)といった
戦前・戦中・戦後にわたるマルクス研究のあり方や左派系の出版状況など。
「プロレタリアート独裁と暴力革命とに死ぬまで固執」しながら生きた
自らの人生を、ペーソスとユーモアに溢れる文体で、飄々と振り返る。
1983年の青土社版に、単行本未収録原稿を追補。
旧版から40年、待望の復刊。
目次
第Ⅰ部 戦前・戦中篇
第ⅰ章 ごく簡単な履歴書
第ⅱ章 第一高等学校文科甲類――『社会問題研究』とマルクス勉強
第ⅲ章 東京帝国大学文学部
第ⅳ章 東京帝国大学経済学部
第ⅴ章 不屈の闘士西田信春のこと――京洛遊蕩・向坂逸郎との出会い・保谷村閑居
第ⅵ章 東亜経済調査局――官製人民戦線事件 入牢一年
第ⅶ章 満鉄調査部
第ⅷ章 北京 敗戦から引揚げまで
第Ⅱ部 戦後篇
第ⅰ章 『資本論』との再会
第ⅱ章 九州大学まで
第ⅲ章 九州大学教養部――社会主義協会草創のころ
第ⅳ章 九州大学から法政大学へ
第ⅴ章 『資本論辞典』(青木書店版)
第ⅵ章 法政大学経済学部
第ⅶ章 『マルクス=エンゲルス全集』(大月書店版)
第ⅷ章 『資本論』新訳(大月書店版)
第ⅸ章 『剰余価値学説史』(大月書店版)
第ⅹ章 マルクス=エンゲルス書簡集
第ⅺ章 『現代マルクス=レーニン主義事典』
第ⅻ章 マルクスから学んだもの
第xⅲ章 マルクスとの別れ
追録 若き日の奇友 池正と祐平のこと
新版補遺
牝馬と口笛――マルクス=エンゲルスの手紙
乱世の雲水・西行
解説
死が作品になりえたころ 市田良彦(神戸大学大学院国際文化学研究科教授)
前書きなど
この本の題名は、見る人に多少奇異の感を与えるかもしれないが、私としては、いろいろ考えた揚句こうするよりほかはなかったのである。
いま私は満78歳と2ヶ月である。親元を離れてからの60年間、じっさい、私はカール・マルクスに寄り掛って生きてきたような気がする。前半生は主として精神的に、後半生の40年間は精神的にも経済的にも。(…)
しかし、付き合っている時間が長ければ良いというものではない。他人は付き合い方しだいで良友にもなれば悪友にもなる。「岡崎はマルクスに取り憑かれたばかりに一生を誤った」などとアホなことを言う旧友もいる。もし私が一生を誤ったとすれば、それはマルクスと付き合ったからではない。私の付き合い方が良くなかったからである。そして、私はいま、私の付き合い方が、少なくとも余り感心したものではなかったことを、つくづく感じている。他人様から見たらどうだろうか。「そんなことはないよ、くよくよしなさんな」と言ってくれる人が一人でもいれば、安んじて往生できるかもしれない。虚勢を張ってはいても、本当は弱いのである。
――「序」より
上記内容は本書刊行時のものです。