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靖国を問う
遺児集団参拝と強制合祀
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年9月30日
- 書店発売日
- 2019年9月26日
- 登録日
- 2019年7月29日
- 最終更新日
- 2021年3月21日
紹介
本体価格2200円
なぜ戦争遺児たちは戦後も「少国民」となったのか
いまや社会的な忘却の彼方に追いやられた史実――
敗戦後まもなく国・地方が協力して行った、
戦争遺児たちによる靖国への集団参拝。
当時、どのような政治的意図のもとで、何が行われたのか。
そして参拝後の文集から浮かび上がる遺児の思いとは。
靖国に対する強制合祀の取り消し訴訟や
安倍首相の靖国参拝違憲訴訟に加わるとともに、
かつて遺児集団参拝に参加した当事者が全国各地の史料を渉猟し、
歴史に埋もれかけていた靖国をめぐる「闇」を掘り起こす。
目次
第Ⅰ部 戦争遺児の靖国集団参拝
第1章 1950年代の靖国神社遺児参拝
第2章 京都市・京都府の靖国遺児集団参拝
第3章 大阪府の靖国文集を読む
第4章 広島・長崎の遺児たちの思い
第5章 遺児集団参拝と記憶の再生・継承
第Ⅱ部 靖国強制合祀と戦争体験の継承
第1章 靖国神社合祀と安倍首相の靖国参拝
第2章 兵籍簿に見る父親たちの戦争
第3章 ホロ島戦の記憶
前書きなど
私が本書を書き上げるなかでいつも考えていたのは、記憶の再生と継承だった。記憶は曖昧であり、忘却しがちだ。当時の記録文書は探しても容易に見つからなかった。意識的に自らの記憶を甦らせなければならないし、何度も試行錯誤を繰り返し、当時の歴史事実を掘り起こしていく以外に方法はない。(…)
また、遺児参拝を調べるなかでいつも葛藤を感じてきたことがある。私は1944年生まれで、父親を戦争で亡くした世代である。その生育史はほぼ戦後と重なる。父親の戦死と、再婚をせずに私を育ててくれた母親の苦労とを身にしみて感じて育った。母を通じて伝えられた戦争の記憶は私の人生と切り離せないものだった。ただそこからくる発想には「被害者」としての意識が強くあり、長じて日本のアジア侵略、戦争責任等「加害者」認識を持つようになったが、果たしてどこまで被害者としての意識を抜け出ていたか。私にとって「靖国を問う」とは、被害と加害の関係の意識化、対象化である。
――「あとがき」より
上記内容は本書刊行時のものです。