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マルクスとエコロジー
資本主義批判としての物質代謝論
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2016年6月
- 書店発売日
- 2016年6月10日
- 登録日
- 2016年4月2日
- 最終更新日
- 2021年4月19日
書評掲載情報
2016-08-26 |
週刊読書人
評者: 松本潤一郎=就実大学准教授・フランス文学・思想専攻 |
2016-07-22 |
週刊読書人
評者: 渋谷謙次郎=神戸大学教授・ロシア法専攻 |
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重版情報
3刷 | 出来予定日: 2021-05-10 |
2刷 | 出来予定日: 2018-05-01 |
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気候変動が深刻化し、社会的な注目が集まるにつれて、本書の重要性もますます高まっています。マルクスのエコロジー論についての基本書としてロングセラーです。 |
紹介
マルクスは環境破壊や環境保護についてどのようにとらえていたのであろうか。
若い時には、人間を「自然の一部」としてとらえ、人間的労働は自然からの離反を示すものではなく、自然との一体化の証としてとらえていた。経済学研究、とくにその成果である『資本論』においては、生活を人間と 自然の物質代謝ととらえる視点から、資本の論理による経済活動のなかで、物質代謝が「攪乱」され、「亀裂」をひき起こす事態を環境や人間の健康の破壊として批判した。晩期では、「掠奪」ではない農業のもつ意義の見直しにつながる「抜粋ノート」を残している。本書は、マルクスの思想のうちにあるエコロジー的視点を積極的に展開することを試みたものである。
目次
序文 岩佐茂
第一部 マルクスのエコロジー論
第一章 マルクスのエコロジー論の意義と射程―物質代謝論の視点から 岩佐茂
第二章 マルクスと自然の普遍的な物質代謝の亀裂 ジョン・ベラミー・フォスター
第三章 持続可能な人間的発展についてのマルクスのヴィジョン ポール・バーケット
第二部 経済学批判とエコロジー
第一章 経済学批判体系における物質代謝論の意義 佐々木隆治
第二章 資本の弾力性とエコロジー危機 明石英人
第三章 資本主義的生産様式における「自然の無償性」とは何か? 羽島有紀
第三部 新MEGAとエコロジー
第一章 「フラース抜粋」と「物質代謝論」の新地平 斎藤幸平
第二章 マルクスと発展した資本主義的生産における社会の物質代謝の絶え間ない破壊 カール゠エーリッヒ・フォルグラーフ
第四部 マルクスのエコロジー論の現代的射程
第一章 マルクス『資本論』における技術論の射程―原子力技術に関する理論的考察 隅田聡一郎
第二章 マルクスの資本主義に対するエコロジー的批判と二一世紀の食糧危機―過少生産論に対する批判的検討 權 五範(クォン・オボム)(翻訳 梁英聖)
あとがき 佐々木隆治
参考文献
前書きなど
人間の搾取も自然の収奪も資本主義的な生産、経済活動のなかでおこなわれる。本書は、自然の収奪による環境破壊に焦点を当てて、マルクスを論じようとするものである。(序文)
岩佐 茂
マルクスのエコロジー的意義は、たんにマルクスの枠組みによってもエコロジー危機を理解することができるというだけではない。むしろ、マルクスの経済学批判、そして物質代謝論を前提にしてこそ、エコロジー危機はより深く、より適切に分析することができるのである。(あとがき)
佐々木隆治
マルクスは、単に生産力の上昇を賛美し、人間による自然の絶対的支配の確立を唱えた訳ではなく、人間の自然からの疎外を克服し、「人間が自然との物質代謝を合理的に制御する」こと、つまり、より持続的な生産の実現を一貫して求めていたのである。(第三部第一章)
斎藤幸平
上記内容は本書刊行時のものです。