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カール・マルクスの哲学
- 初版年月日
- 2019年1月29日
- 書店発売日
- 2019年3月5日
- 登録日
- 2019年2月25日
- 最終更新日
- 2019年2月26日
紹介
本書は、現代ドイツを代表する哲学者の一人であるミヒャエル・クヴァンテのマルクス論である。ヘーゲル研究および生命倫理学、メタ倫理学研究で知られ、すでに多くの著作が日本語に翻訳もされているクヴァンテだが、他方で彼は以前からマルクスにも強い関心を持ってきた。本書はそうした彼の初めてのまとまったマルクス論集である。本書の特徴は、あえてマルクスの思想を哲学から理解しようとする点にある。それに伴って、同時代のヘーゲル左派の論争、そしてなによりもヘーゲルとの対決が当然取り上げられているが、それは同時に行為論を中心に現代の哲学的な問題にも関連づけられており、全く新しい哲学的マルクス像を提示するものである。
目次
目 次
凡 例 5
日本語版序文 7
第1章 人間の解放 ………………………………………………………………………11
1.1 ブルーノ・バウアーの構想 12
1.2 カール・グリューンの批判 17
1.3 カール・マルクスの批判 21
1.4 共通点と相違点の概観 25
1.5 関連する問い 27
第2章 政治的なものの埋葬 ……………………………………………………………31
2.1 マルクスのヘーゲル受容 35
2.1.1 ヘーゲルの遺産をめぐる争い:神学、哲学、個体性 36
2.1.2 ルートヴィヒ・フォイエルバッハの二重の影響:
観念論批判と宗教批判 36
2.1.3 古い信仰と新しい信仰:哲学の周縁化 38
2.2 カール・マルクスの類形而上学 40
2.2.1 ヘーゲル、フォイエルバッハ、ヘス
―マルクスの類形而上学の三つの源泉― 40
2.2.2 マルクスによる二つの拡張 41
2.2.3 疎外の四つの次元 44
2.3 政治的なものの埋葬 46
2.3.1 自律なき本質主義 46
2.3.2 意志形成ではなく計画化 48
2.3.3 個別性の抹消 48
第3章 承認と類的存在 …………………………………………………………………51
3.1 「対象化」と「疎外」の概略 51
3.2 類的存在概念 54
3.2.1 思想史における文脈 54
3.2.2 形而上学的側面 58
3.3 類的存在の社会的文法としての承認 62
3.3.1 ヘーゲルの承認 63
3.3.2 価値評価的批判の基礎としての承認 64
3.3.3 価値評価的対案としての承認 76
3.4 結論:マルクスにおけるユートピアと反ユートピア 81
4
第4章 歴史の構想 ………………………………………………………………………83
4.1 二つの回顧 83
4.2 『ドイツ・イデオロギー』における歴史概念および歴史哲学 85
4.2.1 『ドイツ・イデオロギー』の歴史哲学 85
4.2.2 『ドイツ・イデオロギー』における歴史概念 94
4.3 哲学の彼岸における歴史理解? 97
第5章 承認と経済学批判 ……………………………………………………………101
5.1 背景としてのヘーゲル 103
5.2 1844 年「ミル評注」におけるマルクスの承認概念 105
5.3 『資本論』における承認 109
5.4 マルクスの経済学批判における承認と倫理的次元 121
第6章 市場批判 ………………………………………………………………………123
6.1 ヘーゲルとマルクスの行為論的基礎 125
6.1.1 ヘーゲルにおける行為概念 125
6.1.2 マルクスにおける行為概念 128
6.2 意図的行為の意図せざる結果の問題と市場 129
6.3 ヘーゲルとマルクスの間の差異の深層構造 136
6.4 展 望 141
第7章 ヘーゲル弁証法の止揚 ………………………………………………………145
7.1 ヘーゲル左派のコンテクスト 147
7.2 『経済学・哲学草稿』のヘーゲル批判 150
7.3 マルクスの第二のヘーゲル受容 157
7.4 マルクスにおける弁証法の二つの形式 165
7.5 マルクスの理論プログラムにとっての諸帰結 167
参考文献 171
訳者あとがき 175
上記内容は本書刊行時のものです。