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歌って気づく!フレイルと認知症
音楽療法で口から診断・予防します
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年10月10日
- 書店発売日
- 2018年10月10日
- 登録日
- 2019年12月4日
- 最終更新日
- 2019年12月4日
紹介
口の働きとは? 物を食べて飲み込み、しゃべって、呼吸をする。これだけではありません。実は、免疫力を高め、フレイル(虚弱)や認知症や肺炎を予防し、転倒しない身体を作る重要な入り口なのです。老いは口から始まります。「健康寿命の延伸」が国民的な課題になっている今、「口の機能」を知って口を鍛えることはすべての出発点。
本書では、口腔外科専門の歯科医師で音楽療法士の甲谷至が、「歌うこと」を通じて「口の機能」を診断・予防し、「どのように歌えば」明らかな予防効果が得られるかを、簡潔・具体的に紹介した音楽療法の実践書。2018年4月より医療保険適用となった「口腔機能低下症」に対処する内容となっています。
目次
はじめに 音楽療法士は、「歌うフレイル予防士」
◆ダイジェスト
「歌って気づく! フレイルと認知症」とは? なぜ「音楽療法で口から診断・予防」できるの?
歌うことの効用 /フレイル高齢者と介護保険制度 /フレイルとオーラルフレイル/
口の働きと全身のつながり /大脳と口腔の関係 /フレイル高齢者への音楽療法/
口から発見 診断・予防する /保険医療とリンクする音楽療法
◆基礎編 音楽療法で「口から診断・予防する」ための必須知識
1.高齢者と介護保険制度
2.口の働きと全身のつながり
3.フレイルって何? オーラルフレイルとは?
4.誤嚥性肺炎を予防する音楽療法3
5.認知症と口腔機能
6.唾液分泌は音楽療法のキモ
7.フレイルに対応する音楽療法
・口腔機能低下症
・「お口の元気度」評価法
◆実践編 「歌う」口腔トレーニング 口腔機能の変化を活用した練習曲集
「口腔機能にかかわる発音」の種類
・「母音ア・イ・ウ・エ・オ」舌の位置と口唇の形
・口唇・舌の運動機能の要「パ・タ・カ」の発音
各12ヵ月のグラフはこう読み取る…歌うことで「口腔機能を変化」させている!
歌う口腔リハビリ練習曲&歌謡曲
1 月 ゆき/茨城 水戸黄門
アンコ椿は恋の花 (咬合力低下のためのリハビリ曲)
2 月 富士山/北海道 札幌雪まつり
虹と雪のバラード (低舌圧のためのリハビリ曲)
3 月 ひな祭り/京都 舞妓さん
赤いハンカチ (咀嚼機能低下のためのリハビリ曲)
4 月 春の小川/長野 軽井沢
いつでも夢を (口腔乾燥のためのリハビリ曲)
5 月 茶摘み/静岡 日本茶
バラが咲いた (舌・口唇運動機能低下のためのリハビリ曲
6 月 雨ふり/鹿児島 桜島
潮来笠 (口腔不潔のためのリハビリ曲)
7 月 浦島太郎/京都 祇園祭り
こんにちは赤ちゃん (口腔不潔のためのリハビリ曲)
8 月 ごんべさんの赤ちゃん/徳島 阿波踊り
お嫁においで (低舌圧のためのリハビリ曲)
9 月 どんぐりころころ/富山 薬売り
僕のマリー (嚥下機能低下のためのリハビリ曲)
10 月 鉄道唱歌/三重 お伊勢参り
ブルーシャトウ (舌・口唇運動機能低下のためのリハビリ曲)
11 月 たき火/新潟 コシヒカリ
よこはまたそがれ (嚥下機能低下のためのリハビリ曲)
12 月 浦島太郎/秋田 なまはげ
ブルーライトヨコハマ (口腔乾燥のためのリハビリ曲)
嚥下機能低下のリハビリ 歌う喉頭挙上のための練習曲
「のど仏を上下させる」歌唱で、嚥下力低下にそなえる!
駅馬車/冬の星座/大きな古時計/故郷の空/ピクニック/スキー/おお牧場は緑/ともしび/トロイカ/もろびとこぞりて/ジングルベル/ジョニーへの伝言/函館の女
「お口いきいき健康体操」―「天使の誘惑」を使って
終わりに 全身のメインテナンスの出発点は、歌う口にあり
参考文献
前書きなど
超高齢社会の今、国民の健康寿命を伸ばすことは待ったなしの課題です。我が国がその対策として目をつけたのが「フレイル」の概念の普及とその予防です。「フレイル」とは加齢に伴って起こる「栄養状態の低下」、「筋力・筋肉量の低下」を主症状とする不安定な健康状態を指します。本文に記しましたが、フレイルはまず口に表れるのです。フレイル予防は口の健康なくして達成することはできません。
2018年4月の歯科診療報酬改定において「口腔機能低下症」が保険医療での正式な病名として認められ、保険医療の仲間入りをしました。
「オーラルフレイル」(フレイルの一歩手前の状態)とは、口腔内に些細な機能低下が認められる状態で、治療は必要ありませんが放っておくと「口腔機能低下症」に進む可能性が大です。オーラルフレイルの段階で適切な予防とリハビリを始めれば、「フレイル」に進まず、要介護を後延ばしにできることになります。そして実は「フレイル」も「認知症」も、そして多くの病気が、些細な口腔機能の低下(オーラルフレイル)から始まるのです。
(中略)
では音楽療法士はどのように対応したらよいのでしょう。音楽療法で行う歌のセッションの中で些細な口腔機能の低下は常に同居していると考えられます。歌唱中よく出遭う場面の発見・対応が、フレイルの兆候を発見・予防し、さらに介護予防と各種医療への診断・治療へとつなぐことができるのです。つまり「音楽療法での発見が、保険医療へと直結させる道筋になる」のです。
些細な口腔機能低下の音楽療法の参加者に対し、音楽療法士が「お口の元気度」評価法で評価・診断し、各々に合った音楽と音楽療法を提供することによって「フレイル予防」「認知症予防」が一歩前進するのです。
版元から一言
「効果の見える音楽療法」実践BOOKとして、歌を活用する介護予防や認知症予防の現場で使える内容です。
冒頭の見返しに「お口の元気度」評価法が掲載されています。これにより、摂食嚥下、表情、おしゃべりにかかわる口唇・舌の巧緻性などを誰もが簡単にチェックできるようにしました。この口腔機能の評価法は、2018年4月から医療保険適用となった「口腔機能低下症」の検査項目と連動していますので、本書はフレイル予備軍の高齢者から音楽指導者、介護職員、リハビリ専門家まで、歌を活用する広範な方々に読んでいただきたい一冊です。
上記内容は本書刊行時のものです。