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喜劇 大コフタ
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2013年4月
- 書店発売日
- 2013年4月28日
- 登録日
- 2013年3月28日
- 最終更新日
- 2013年4月27日
紹介
ゲーテの喜劇『大コフタ』は、フランス革命前夜の1785年に、フランスの宮廷で起こった「首飾り事件」という、当時広く人々を驚かせたスキャンダルと、稀代のペテン師とされるカリオストロの事件を題材にした、五幕からなる作品である。イタリア旅行中に当初ははオペラ『誑かされた人々』として構想し、最終的には、1791年に散文の喜劇『大コフタ』として仕上げた。ワイマルの宮廷劇場の監督を引き受けた1791年に、この作品の初演をもって自らの新しい活動のはじまりとし、1年に1度は上演しようとも意図したゲーテの自信作を、日本で初めて翻訳出版。
前書きなど
この喜劇『大コフタ』は、ゲーテの中期の自信作です。しかし、「解説」において述べたように、「不当にも誤認され」長い間「失敗作」として片付けられた経緯もありました。それはむしろゲーテ研究の失態であったといってよいと思います。戦後の文化的業績として評価されたハンブルグ版「ゲーテ全集」にも遺憾ながら収録されませんでした。今まで邦訳もなされず、これが本邦初訳です。大戦後刊行されたその他の全集、アルテミス版「ゲーテ全集」、ベルリン版、ミュンヒェン版等にはもちろん収録されています。(中略)
ゲーテの作品は、様々の解釈を許容するところに特徴があるといえましょう。何方の言葉か思い出せないのですが、「ゲーテの作品は金太郎飴だ」といわれたのを思い出します。どういう切り口であれ、まともであれば、ゲーテが顔を出し、どれもゲーテであり、それらが合わさって「ゲーテ」像が時と処を変えて織り成されているといえましょう。「解説」で細かいことにも触れたかもしれませんが、どうか先入観を持たれることなく、小品ながらゲーテの「自信作」であるこの『大コフタ』を通じて、豊かなゲーテの作品世界をご堪能いただけますならば幸甚です。(本書「あとがき」より)
上記内容は本書刊行時のものです。