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大原寂光院
亡魂慰霊の鐘の音
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年1月20日
- 書店発売日
- 2020年1月27日
- 登録日
- 2020年1月16日
- 最終更新日
- 2020年2月11日
紹介
「諸行無常」の調べを奏でつつ。
人間は何のために生きるのか。
何を支えとして生きるのか!
「生者の世界」と異界が交流する、生と死、そして再生への思い。
魂を鎮める夢幻能のごとくに。
名のみを知る『平家物語』
せめて一度でかまわぬ、読むことかなえられたら、いかに幸せであろうかと。
大原寂光院の徳子に逢いたい!
「こころの信号」で「浮世」の人と「冥界」(アナザーワールド)をつなぎ交歓する、
音と声の平家物語「大原御幸」の再現ドラマ・パフォーマンス!
琵琶法師が語り継ぐ、哀切の物語。
高野澄「歴史文学」の到達点!
女院(建礼門院)徳子は語る。
一方派(いちかたは)琵琶法師のみなさま、わたくしが平徳子です。
清盛の娘、高倉天皇の中宮、安徳天皇さまの生みの母、
建礼門院の称号をいただいて洛北は大原、寂光院の主となり、
源氏との戦いで没した平家一門のすべての母、妻、姉妹、
娘として慰霊の祈りをささげてまいりました。
わたくしが浮世からこちら冥界にうつってからなのか、
そちら浮世に『平家物語』という書物があらわれたのを知りました。
僧の慈円が計画し、それに青蓮院の生仏や信濃前司行長が
智慧と手をそえてできあがったのが『平家物語』なのだと
知ったときには、浮世の琵琶法師さまがたの幸運を
うらやましくおもいつつ、妬みもいたしました。 [本文より]
目次
一ノ章 阿波内侍を知りたい!
二ノ章 われらの目はみえぬ なぜ?
三ノ章 阿波内侍からショシャ法師さまへ きこえますか!
四ノ章 天神グミが薬師ヨリと合体した
五ノ章 阿波内侍 自意識
六ノ章 魂はひとりにひとつ 別々に
七ノ章 「拈華微笑(ねんげみしょう)」〈華を拈(つま)んで微笑む〉
八ノ章 「還御なしまゐらッさせ給へ!」〈お帰りあるようになさいませ!〉
前書きなど
現代を生きる、平家物語。
祇園精舎(ぎをんしゃうじゃ)の鐘のこゑ、
諸行無常のひびきあり。
沙羅双樹(しゃらさうじゅ)の花の色、
盛者必衰(せいじゃひっすい)のことわりをあらはす。
おごれる者もひさしからず、
ただ春の夜の夢のごとし。
たけき者もつひにはほろびぬ、
ひとへに風のまへのちりに同じ。
法皇は、なぜ、
「女院の大原の閑居の御住まひを御覧ぜまほしく」おぼしめされたのか?
後白河法皇が決意したのは、文治二年のことだ。
――法皇は女院徳子にたいし、ふたつのことを命じるつもりで寂光院に御幸した。
ひとつは〈朕の御所にもどって朕の皇子を生め〉、もうひとつは
〈平家一門それぞれの魂をひとつのかたまりとして亡魂慰霊をおこなえ〉である。
還御なしまゐらッさせ給へ/あれこれしているうちに
冥界のお三方と「こころの信号」がはじまり、とうとう突きとめたのだ。
阿波内侍さまの「カーン・ギョー」を。
「ナイシさま、最後にお願いがあります。われらだけの『平家物語』の
「大原御幸」に、あなたのお言葉……、
あの『還御なしまゐらッさせ給へ』ですか?」「さようです」。 [本文より]
上記内容は本書刊行時のものです。