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漢とは何か、中華とは何か
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年4月
- 書店発売日
- 2017年4月25日
- 登録日
- 2017年4月8日
- 最終更新日
- 2017年5月1日
紹介
中国共産党の習近平(シーチンピン)総書記は、2012年11月の国家主席就任演説で言う。
――5千年余りの文明発展のなかで、中華民族は人類文明の進歩に不滅の貢献をした。近代以降は苦難を経験し、中華民族は最も危険なときに至った。私たちの責任は、党と全国の民族と人民を団結させ、中華民族の偉大な復興を実現させることだ―
習近平氏の発した「中華民族」、そして「中華の復興」とは、いったい何か。
二十年前、テレビ・ドキュメンタリスト後藤多聞は、NHKスペシャル「故宮~至宝の語る中華五千年」の番組制作に取り組んだ。
かねて番組制作へのアドバイスをしていただいていた歴史文学者の司馬遼太郎さんは、静かに助言をした。
「漢とは何か、中華とは何か」という視点を絶えず念頭におくように、と。
その視点は司馬さんの友人陳舜臣さんの発言と軌を一にしたものであった。
それらの見識は「故宮」に反映され、中国・台湾双方の識者の認めるところともなった。
以来、多民族国家・中国に於ける漢民族、あるいは漢民族意識、中華意識の成立過程を探る「司馬さんからの宿題」に、長い時を経て、ようやくにして答えを見出す。
それは「塞外(さいがい)の民」「五胡(ごこ)」と呼ばれた騎馬遊牧民族をたどることによって得られるもう一つの中国の歴史を「みる眼」でもあった。
その長かった探究の道程をスリリングに物語りながら、ユーラシア史・中国史研究の一つの到達点を示してゆく。
その運筆の生彩に、読者は知的昂奮をさえ覚えるであろう。畢生の労作誕生である。
目次
序章 「中華」の不思議――「中華」と「漢」
一、中華への疑問
二、騎馬民族と草原の虹
三、漢とは何か
第一章 騎馬民族 跳梁――大河小説のような
一、五胡、獅子身中の虫
二、最初の「中華」
三、騎馬民族の支え 西域僧
第二章 虹へ 若武者の野望・氐族符堅――氐、胡ならず
一、胡が漢再興をめざして
二、狙われたオアシス――仏教王国亀茲
三、野望果てるとき――司馬光の眼
第三章 知られざる大仏の道――巨大仏はどこで生まれたのか
一、仏教東伝――破戒僧 鳩摩羅什
二、キジル石窟からのメッセージ
三、巨大仏東漸の道――河西回廊
第四章 草原からの若い風 拓跋一代記――「皇帝即如来」から「中華」へ
一、遅れてきた北の胡族
二、皇帝は現世の如来なり――国家仏教のはじまり
三、「中華」とのファースト・コンタクト
四、巨大仏出現――雲岡石窟
第五章 虹をつかんだ青年 孝文帝――「中華」帝国誕生
一、平時にひとを殺さず――稀有の皇帝
二、夷狄は応に和ぐべし
三、拓跋、鮮卑胡ならず――民族改造計画
四、大逆転――孝文帝の中華帝国
第六章 周隋唐、武川に出ず――拓跋国家の系譜
一、六鎮からの下剋上
二、朕は五胡に非ざれば 北周・武帝
三、起業家王朝二代――文帝と煬帝
四、みたびの虹 ユーラシア大帝国出現
五、滅亡への坂道――悲しき暴君煬帝
六、騎馬民族王朝 大唐帝国
第七章 虹よ、永久に――志を継ぐもの
一、天才将軍 李世民
二、天可汗太宗 ユーラシアを制す
三、よみがえった「中華」
四、重撰『晋書』――載記に秘めた狙い
五、拡大した中華 そして虹のゆくえ
六、「中華」は消えず――武周革命の意味
終 章 亡国と革命――歴史のなかの「中華」、そして現在
一、ひきつがれた「中華」――宋から明へ
二、最大版図「中華」――清朝
三、「中華」民国の欺瞞
四、孫文と毛沢東の「中華」――虚構の五族協和
五、中国の夢、中華民族の偉大なる復興
主な参考文献
あとがき
前書きなど
中華と漢と騎馬民族、どこでどう交差して中華という概念が顕在化したのか。
草原の覇者たちの、虹のごとき野望、「中華帝国」「中華」探索の旅がはじまる。
「中華民族」、そして「中華の復興」とは、何なのか。
多民族国家・中国に於ける漢民族、あるいは漢民族意識、中華意識の成立過程を探る
「司馬さんからの宿題」に、長い時を経て、ようやくにして答えを見出す。
(本文より)
上記内容は本書刊行時のものです。