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島影
慶良間や見いゆしが
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2013年12月
- 書店発売日
- 2013年12月16日
- 登録日
- 2013年12月9日
- 最終更新日
- 2016年5月31日
紹介
沖縄(ウチナー)に生き、生きることの尊さを描く。
沖縄には独特の土着の文化がある。
例えば土地の神々への信仰であり、死生観であり、平和に対する思いである。
これらは長い歳月の中で人々の生活に寄り添って育まれてきただけに、
現代の状況を相対化する力を持っている。
――沖縄の神々は水平線の向こうからやって来るという。
海の魂(マブイ)が往還する道なのであろうか。
神々が暮らしの文化のなかで、舞い立ったり舞い降りたりしているような感じがする。
戦後60年余の時を経ても、沖縄の苦悩は、いまなお深い。
この島の人々の深奥に潜んでいる哀しみの「かたち」と「こころ」を、
そして生と死のあわいを、ひたすらな愛を物語りしてみたい。
目次
巻頭詩「島影」
慶良間や見いゆしが
彼岸からの声
パラオの青い空
ペットの葬儀屋
[解説]「あはれ」の文学としての大城貞俊作品 萩野敦子(琉球大学教授。日本文学)
あとがき
前書きなど
――表現者は、たぶん、だれでもが、なぜ書くのか。
なぜ自らの作品を出版するのかを自明のこととせずに問い続けているはずだ。
私の場合は、沖縄で生まれ、沖縄で生きていることと深い関わりがあるように思う。
沖縄の地は、去る大戦で地上戦が行われ、兵士だけでなく、県民の三分の一ほどが犠牲になった。
戦後も、米軍政府の統治下に置かれ、様々な辛酸を嘗めてきた。
戦争という体験は、土地の精霊をも巻き込み、今日までも、
人々の生き方を規制している大きな要因の一つになっている。
沖縄の現在を考えれば考えるほど、この戦争体験を抜きにすることは出来ない。
沖縄の人々の生き方を凝視すればするほど、死者を忘れない土地の特質に出会う。
虐げられ、苦しめられ、哀しみの極致にいてもなお、死者との再生とも喩えるべき優しさを有している。
私は私が生まれ育ったこの土地に、畏敬の念を感じると同時に大きな魅力を感じている。
考えてみると、このことは、私が生き続けることの要因の一つにもなっている。――
上記内容は本書刊行時のものです。