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戦争と性 34号 特集:性暴力のない社会へ──「自分ごと」として考える 山本 潤(著/文) - 「戦争と性」編集室
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戦争と性 34号 特集:性暴力のない社会へ──「自分ごと」として考える (センソウトセイサンジュウヨンゴウ セイボウリョクノナイシャカイヘ ジブンゴトトシテカンガエル)

社会科学
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A5判
縦210mm 横148mm 厚さ12mm
重さ 248g
188ページ
定価 1,200円+税
ISBN
978-4-902432-26-8   COPY
ISBN 13
9784902432268   COPY
ISBN 10h
4-902432-26-9   COPY
ISBN 10
4902432269   COPY
出版者記号
902432   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年5月15日
書店発売日
登録日
2021年4月17日
最終更新日
2021年5月23日
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紹介

性暴力をなくすにはどうすればよいのか? 性暴力被害当事者、法律家、研究者、教員、市民活動家など、様々な立場からの提言と、「自分ごと」として考える37名の読者からの投稿も含めた、「希望」に向けたメッセージ。
[特集趣旨]本誌では、これまで性差別・性暴力を考える上で、「個」を問うこと、すなわち、自分自身を問うことの重要性を指摘してきました。とりわけ、男性の場合、自分自身の性の加害性や暴力性を問い、そのあり方を変えていくことが現在の男社会を変えていくことに繋がると主張してきました。
 その意味で、ジャーナリスト・広河隆一氏の性暴力事件は衝撃でした。広河氏はイスラエルのキブツ(共同農場)での体験の中からパレスチナ報道を始めた、自分自身の感性と思考を問い、他者の痛みや苦しみに寄り添う人権派ジャーナリストとして知られていたからです。彼の発行していた『DAYS JAPAN』では日本軍「慰安婦」問題や暴力ポルノの特集が組まれたこともありました。
 一方、2019年3月に相次いだ性暴力裁判における加害者への無罪判決、また、元TBS社員を告発した伊藤詩織さんに対するバッシングは、ジェンダーギャップが121位(153ヵ国中・世界経済フォーラム発表・2019.12)という日本の国際的評価と相まって、日本社会の女性の人権状況が惨憺たるものであることを示していました。
 このような状況に対して、女性たちが中心となって伊藤詩織さんへの支援運動やフラワーデモなどの日本版#MeToo運動、そして、性交同意年齢の引き上げや不同意性交処罰などの刑法改正を求める取り組みが行われてきました。特にフラワーデモは、被害者自らが被害を語り、その場で聞いている人たちが#with youとしっかりと受け止める、自然発生的な運動として全国へ広がっています。
 本特集でも被害者の声を「自分ごと」として受け止めたいと思います。「自分ごと」の自分=「個」とは、「男」と「女」だけでなく、LGBTなど多様な性をもつ「個」です。「男とはこういうもの」「女とはこういうもの」という固定観念・偏見・二元論から脱して「個」として生きること。それは本誌がテーマにしてきた男の性の加害性・暴力性からの脱却にも繋がります。そして、そのためには被害者への共感が何よりも必要とされています。
 自分を愛するからこそ、他者を愛することができる。自己を肯定するからこそ、他者も肯定できる。性暴力のない社会にするために、「自分ごと」として考えていきましょう。   

目次

[巻頭対談]「小さい歴史」が「大きい歴史」をとらえかえす──『赤瓦の家』『語る歴史、聞く歴史』をめぐって 大門正克 川田文子
[インタビュー]被害者が望む法改正とは 山本 潤
[インタビュー]広河隆一氏の性暴力事件に向き合う──男が自らを変えるために 金子雅臣
[インタビュー]性暴力被害を受け止めることのできる社会へ 金 富子
不同意性交が性暴力犯罪にならないのはなぜ?──その背景にある歴史と思想 角田由紀子
性的搾取に終止符を打つために──千人の相談者の声とともに私が見てきたもの 金尻カズナ
男が自らの暴力性から脱却するために──男子への性教育で試みてきたこと 山﨑比呂志
セックスワーカーを差別しているのは誰か──菊地夏野氏への反論 森田成也
連載 わが60年安保闘争 加藤克子
「となりの宋さん写真展」開催に関わって はらだゆきこ
代替わりと新しい天皇制をどう考えるか 井上森

著者プロフィール

山本 潤  (ヤマモト ジュン)  (著/文

看護師・保健師。13歳から20歳まで実父からの性暴力に遭い、様々なトラウマ症状に苦しむ。2007年SANE(性暴力被害者支援看護師)研修終了、2010年杏林大学大学院看護学修士取得。2017年に日本初の被害当事者らを中心に法人化した一般社団法人Spring設立、不同意性交等罪制定を目指して活動中。2020年法務省性犯罪に関する刑事法検討会委員。著書 『13歳「私」をなくした 私 性暴力と生きることのリアル』(朝日新聞出版)。

金子 雅臣  (カネコ マサオミ)  (著/文

一般社団法人「職場のハラスメント研究所」の所長として、行政・企業・大学などで幅広い講演活動を行う。人事院パワハラ問題対策委員を務めたほか、現在は日本教育心理学会スーパーバイザー、千代田区・葛飾区・川崎市などの各種委員会委員を務めている。『〔新版〕パワハラなんでも相談』『職場でできるパワハラ解決法』(以上、日本評論社)、『職場いじめ』(平凡社)、『職場のモンスター』(毎日コミュニケーションズ)など多数。

角田 由紀子  (ツノダ ユキコ)  (著/文

1942年生まれ。75年に弁護士登録。80年代後半からセクハラや性暴力被害の問題に取り組む。第2東京弁護士会所属。著書『性と法律』(岩波新書・2013)、『性差別と暴力』(有斐閣・2001)、『性の法律学』(同・1991)。なお、最新刊に『脱セクシュアル・ハランスメント宣言──法制度と社会環境を変えるために』(伊藤和子氏との共編著・かもがわ出版・2021)。

金 富子  (キム プジャ)  (著/文

東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授、「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWWRAC)共同代表。ジェンダー論・植民地朝鮮ジェンダー史・現代韓国性売買研究。『植民地期朝鮮の教育とジェンダー』(世織書房)、『Q&A 朝鮮人「慰安婦」と植民地支配責任』(共編著、御茶の水書房)、『遊廓社会2 近世から近代へ』、『植民地遊廓』(以上、共著、吉川弘文館)ほか。

山﨑 比呂志  (ヤマサキ ヒロシ)  (著/文

1977年より兵庫県立高等学校で地歴公民科教諭として40年勤務。2017年より京都教育大学非常勤講師 「ジェンダー論」担当。兵庫県“人間と性”教育研究協議会代表。

金尻 カズナ  (カナジリ カズナ)  (著/文

ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)理事長。1981年生まれ。大阪出身。

森田 成也  (モリタ セイヤ)  (著/文

1965年生まれ。大学非常勤講師。ポルノ・買春問題研究会メンバー。著作に「マルクス主義、フェミニズム、セックスワーク論──搾取と暴力に抗うために 」(慶応大学出版会)、『資本主義と性差別』(青木書店)、他多数。

大門正克  (オオカド マサカツ)  (著/文

早稲田大学教育・総合科学学術院特任教授。日本近現代史。『戦争と戦後を生きる 1930年代から1955年』(日本の歴史15・小学館)、『語る歴史、聞く歴史』、『増補版 民衆の教育経験』(以上、岩波書店)、『「生存」の東北史』、『「生存」の歴史と復興の現在』(以上、共編著、大月書店)他。

川田 文子  (カワタ フミコ)  (著/文

1977年、裴奉奇(ペ・ポンギ)さんと出会って以来、「慰安婦」問題がライフワークに。『赤瓦の家──朝鮮から来た従軍慰安婦』(筑摩書房)、『イアンフとよばれた戦場の少女』(高文研)、『「慰安婦」問題が問うてきたこと』(岩波ブックレット・共著)、『ハルモニの唄──在日女性の戦中・戦後』(岩波書店)など著書多数。希望のたね基金(キボタネ)顧問。

加藤 克子  (カトウ カツコ)  (著/文

1937年立川で生まれる。立川自衛隊監視テント村、市民のひろば・憲法の会、所属。市民の学習・活動・交流センターシビル代表。

はらだ ゆきこ  (ハラダ ユキコ)  (著/文

1973年北海道札幌生まれ、帯広と千葉育ち。東京都立川市在住。グラフィックデザイナー、および、障がい者訪問介助ヘルパー。

井上 森  (イノウエ モリ)  (著/文

1979年生まれ。立川自衛隊監視テント村。終わりにしよう天皇制!「代替わり」反対ネットワーク。東京・三多摩地域を中心に、反戦・反基地、反天皇制運動などに参加。自立障害者介助者。

上記内容は本書刊行時のものです。