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医療利用組合運動と保健国策 青木 郁夫(著) - 高菅出版
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医療利用組合運動と保健国策 (イリョウリヨウクミアイウンドウトホケンコクサク)

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発行:高菅出版
A5判
762ページ
上製
価格 7,500円+税
ISBN
978-4-901793-75-9   COPY
ISBN 13
9784901793759   COPY
ISBN 10h
4-901793-75-6   COPY
ISBN 10
4901793756   COPY
出版者記号
901793   COPY
Cコード
C3036  
3:専門 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年3月
書店発売日
登録日
2017年2月27日
最終更新日
2017年7月5日
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紹介

本書はわが国における協同組合による医療事業の歴史的発展過程に関する研究であり、超高齢社会をむかえるなか「地域包括ケア・システム」の構築が求められ、その担い手として協同組合やNPO組織などによる医療や福祉事業が改めて注目されている。この面でわが国には現代に息づく、戦前以来の伝統があった。とりわけ、戦前の産業組合による医療利用事業=医療利用組合は、戦前段階においてすでに、保健・福祉活動ー医療利用事業ー保健共済の三位一体的活動の方向性を指し示し、組合員及び地域社会の健康づくり・保健力の発達に多大の寄与をなしていた。

目次

目 次

第1章 初期医療医療組合の諸相
1 医療利用組合の発展過程
2 初期医療利用組合の概況
3 初期医療利用組合の諸相
補論1奈良県田原信用購買販売利用組合

第2章 都市―農村共生型医療利用組合運動とその時代
1 「生活者」と生活の「価値化」
2 生活の協同化としての消費組合的購買組合運動の展開
3 実費診療所運動の医療利用組合
4 無産者診療所運動と医療利用組合
5 健康保険法と医療利用組合

第3章 都市―農村共生型医療利用組合の展開―広区域単営組合時代の幕開け
1 広区域単営医療利用組合発展過程概観
2 広区域単営医療利用組合の評価をめぐって
3 広区域単営医療利用組合の特徴の析出―外形的特徴

第4章 利用購買組合厚生病院ー医療利用組合群像[1]
1 利用購買組合厚生病院とその時代
2 利用組合厚生病院の設立
3 利用購買組合厚生病院の事業経営
4 利用購買組合厚生病院の解散・県信用購買販売利用組合連合会への統合

第5章 購買利用組合東青病院ー医療利用組合群像[2]
1 東青信用購買利用組合設立とその時代
2 東青信用購買利用組合からの出発
3 東青信用購買利用組合から購買利用組合東青病院への展開
4 青森県における医療利用組合運動と購買利用組合東青病院 
5 青森県下における医療利用組合統制のゆくえ
   
第6章 高陵利用組合昭和病院ー医療利用組合群像[3]
1 高陵利用組合昭和病院創設の時代
2 高陵利用組合昭和病院の設立過程  
3 高陵利用組合昭和病院の事業経営
4 医療利用組合運動の連合会組織統制と高陵利用組合昭和病院
補論2 高知県農民医療運動断章―土佐大衆医療組合

第7章 京都購買組合―認可最終期の「広区単営医療利用組合」
はじめにー時代情況
 :第一次世界大戦後における都市社会事業の展開と中間層の生活協同化
1 京都購買組合沿革
2 京都購買組合と歯科医療事業
おわりにー市街地購買組合としての京都購買組合の評価をめぐって

第8章 1930年代における健康・医療問題と医療利用組合運動
1 1930年代における国民の健康と医療
2 医療諸資源の空間的配置と医療利用の状況
3 内務省社会局の情況認識
4 健康・医療問題と医療利用組合
小括―「現代的総合的医療」に対する希求と医療利用組合運動

第9章 時局匡救医療救護事業の医療政策史上の位置―京都府における事業展開を事例として
1 時局匡救医療救護事業の形成過程―「ことの順逆」
2 時局匡救医療救護事業の展開
3 時局匡救医療救護事業の現実
おわりに―時局匡救医療救護事業の医療政策史上の位置

第10章 東京医療利用組合の設立認可をめぐる諸対立・対抗関係
1 東京医療利用組合の設立運動
2 東京府庁内での設立認可申請審査過程
3 東京医療利用組合設立をめぐる対抗関係
4 日本医師会による医療利用組合運動についての認識と対応策の確立

第11章 内務省衛生局による医療利用組合政策の形成過程―1933年医師法改正・診療所取締規則を中心に
1 1933年医師法改正・診療所取締規則制定の時代背景
2 1933年医師法改正・診療所取締規則の内容
3 内務省衛生局の医療利用組合に対する認識と政策
 
第12章 医療利用組合運動の連合会組織による系統的統制に至る政策形成過程―農林省「産業組合主任官協議会」における指示及び協議を中心に
1 農林省による医療利用組合政策の形成過程
2 医療利用組合をめぐる内務省衛生局と農林省との相剋
3 農林省による医療利用組合政策の確立―医療利用組合運動の連合会組織による系統的統制
小括と展望―農林・厚生両省「共管」への道

第13章 蓮池公咲の医療利用組合論の検討
1 産業組合の存在理由および医療利用組合という存在に関する認識
2 医療利用組合の性格規定及びその発展過程についての認識
3 医療利用組合の組織構成についての認識
4 「産業組合の大衆化」と「医療利用組合」との関係にかかわる認識
5 産業組合による農村保健運動と医療利用組合にかかわる認識

第14章 医療利用組合運動の連合会組織による統制と保健国策
1 医療利用組合連合会とはいかなる組織形態であったか―医療利用組合連合会南丹病院(京都府)を事例として
2 広区域単営医療利用組合の医療利用組合連合会組織への改組転換
3 医療利用組合運動の歴史的発展過程と組織形態

第15章 滋賀県江南医療購買利用組合連合会甲賀病院―時局匡救医療救護事業・医療利用組合・国民健康保険
はじめに―滋賀県甲賀郡水口という地
1 1930年代の時代情況と課題―農村保健問題と時局匡救医療救護事業
2 Post時局匡救医療救護事業―農村保健問題対策の構想、そして「保健国策」
3 生活協同化の要求・エネルギーとその統制・組織化としての医療利用組合の形成
  ―江南医療購買利用組合連合会
4 「保健国策」と産業組合―国民健康保険代行事業・保健所
おわりに―市街地・水口と純農村・甲賀郡

第16章 医療利用組合と国民健康保険―国民健康保険事業代行をめぐって
はじめに―本章の課題
1 国民健康保険法案立案過程―第70回帝国議会まで
2 国民健康保険法の審議・制定過程―国保事業代行規定をめぐって
3 制定された法令とその解釈
4 医療利用組合による国保事業代行の実態

補論3 医療利用組合による国民健康保険組合代行事業に関する覚書
1 問題の開示
2 国保代行事業を行った医療利用組合とは何か? 
3 国保代行事業を行いうる医療利用組合とは何か?
4 産業組合拡充運動期の四種兼営医療利用組合
5 国保代行事業を行う医療利用組合の外形的特徴

第17章 連合会組織による医療利用組合運動の系統的統制と組織改組の現実相―医療利用組合運動から産業組合による総合的保健運動へ
1 産業組合・医療利用組合運動における連合会組織統制及び広区域単営医療利用組合   の連合会改組方針の受容過程
2 県区域での連合会組織による医療利用組合運動の統制と広区域単営医療利用組合の   改組―岩手県医薬販売購買利用組合連合会の事例
3 広区域単営医療利用組合の旧来の事業区域での連合会組織への改組―静岡県における  医療利用組合運動の事例
4 広区域単営医療利用組合の解散・清算と連合会組織への統合―利用組合佐渡病院=佐  渡郡購買販売利用組合連合会佐渡病院の事例
5 産業組合による医療利用事業=医療利用組合から産業組合による総合的保健運動へ

第18章 戦時保健国策と医療利用組合運動―農林・厚生両省「共管」;国民医療法;日本 医療団との関連で
1 医薬制度調査会答申「医療制度改善方策」と医療利用組合
2 農林・厚生両省による医療利用組合の「共管」
3 国民医療法・日本医療団と医療利用組合
おわりに―戦時国民生活と国民の健康・疾病の状況

前書きなど

 本書は「わが国における協同組合による医療事業の歴史的発展過程に関する研究」である。その研究目的としてきたことは、次のようなことである。超高齢社会をむかえるなかで、「地域包括ケア・システム」の構築が求められ、その担い手を構成するものとして市民社会レベルにおける協同組合やNPO組織など「社会連帯経済」による医療や福祉事業が改めて注目されている。これらは資源制約のある状況下でより効率的な医療・福祉供給を行うネットワーク形成(ソフトな技術)として関心が持たれているだけでなく、それらが関係する人々の生活の協同化・自己学習=教育によって「個人・家族・地域社会の生活力・健康管理能力たる保健力」の発達を促し、超高齢社会における新たな福祉社会・福祉国家の建設の重要な基盤となると考えられているからである。この面では、わが国には現代に息づく、戦前以来の伝統がある。とりわけ、戦前の産業組合による医療利用事業=医療利用組合は、戦前段階においてすでに、保健・福祉活動ー医療利用事業ー保健共済の三位一体的活動の方向性を指し示し、組合員及び地域社会の健康づくり・保健力の発達に多大の寄与をなしたといえる。
 医療利用組合は1919(大正8)年に島根県青原村で産声を上げて以来、ー(中略)ー そこで、医療利用組合の個別具体を分析・検討することを踏まえて、その発展段階ごとの特徴を明らかにすることで、歴史的発展過程を「通史」として、その「埋もれた歴史、現代に息づく伝統」を描いてみたい。

版元から一言

 まさに埋もれた歴史を懇切丁寧に掘り起こされました。750頁になる大著ですが、書籍を作る喜びを感じます。大正から戦時にわたる医療利用組合の通史は、まさに今こそ知る価値があると思えます。数々の地方での組合活動は、その土地の人々の自助活動の歴史でもあり、また時代の流れに応じて国策として吸収されていった運動の歴史でもあります。
 どうぞ手にとってご高覧ください。

著者プロフィール

青木 郁夫  (アオキ イクオ)  (

阪南大学経済学部教授

上記内容は本書刊行時のものです。