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失われし食と日本人の尊厳 弓田亨(著/文) - イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ企画
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失われし食と日本人の尊厳 (ウシナワレシショクトニホンジンノソンゲン) 荒廃した日本の食と闘う鬼才パティシエが追い求めた「真実のおいしさ」 (コウハイシタニホンノショクトタタカウキサイパティシエガオイモトメタシンジツノオイシサ)

趣味・実用
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A5判
440ページ
並製
定価 1,500円+税
ISBN
978-4-901490-24-5   COPY
ISBN 13
9784901490245   COPY
ISBN 10h
4-901490-24-9   COPY
ISBN 10
4901490249   COPY
出版者記号
901490   COPY
Cコード
C2077  
2:実用 0:単行本 77:家事
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2010年1月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2015年4月2日
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紹介

現在この国で蔓延する病の原因は食にある。生産されているほとんどの食材から何故栄養素が抜け落ちてしまったのか。マスコミなどが煽る「偽りのおいしさ」が蔓延し、心も身体も悲鳴をあげている子供たちの未来のために、菓子屋の目で感じてきた日本の素材の変容と、そこから気づいた全体的な食の乱れを問いただし、また栄養素が欠落する流れを人為的に作り出してきた「灰汁抜き・下茹で」などを旨とする料理法を糾弾。今、日本の食に必要なものは何か。本当のおいしさとは何か。「食」の本当の意味での大切さを説きながら、孤軍奮闘してきた著者による、日本の食を立て直す「ごはんとおかずのルネサンス<改革>」への取り組みを語る。

目次

プロローグ 9

第一章 私の心の中の健やかな日本とその食 25
1 私の記憶の中の子供の頃の農地と産物 26
2 母の作った料理の味わいの記憶 32
3 そして今広がりを見せる様々な病気はなかった 39

第二章 どのようにして日本にある食材から栄養素が欠落してきたか 41
1 戦後、急速に変質した日本の農業 42
2 戦後の日本農業につきまとう宿命的生産性の低さ 46
3 日本の農業の知られざる真実。栄養素を捨て去るために手をかける 54
4 日本の素材から本来のうまさは失われた 58
5 超集約畜産業がもたらした異常な食肉、卵 60
6 牛乳の劣化が生んだ酪農製品のまずさ 65
7 養殖という自然の摂理に反した漁業 70

第三章 日本の食から栄養素が欠落してきたその他の理由 75
1 日本の食から栄養素を欠落させたアメリカの産物の浸透 76
2 「新植民地主義」で巧妙に仕組まれた劣悪な食材 84
3 何でもある日本、でも何でも中途半端な日本 93
4 椎名韓国訪問記――韓国と日本の食の違い 102
5 イル・プルーからの研修生のフランス食材実感記  ――強烈な日本との違い 106

第四章 すでに栄養素の欠落した素材から、さらに栄養素を捨て去る冷凍、電子レンジ、流通、中・外食産業 111
1 食材や料理を冷凍し電子レンジで解凍すれば、タンパク質やビタミン類を致命的に破壊する 112
2 スーパーマーケットなどによる大量流通のもたらしたもの 120
3 中食、外食も頻繁に摂れば身体は蝕まれる 122
4 レトルト、インスタント、冷凍食品の浸透 123

第五章 日本に大きな不幸をもたらした、世界にも例を見ないあまりにも異常な料理法 127
1 きれいな料理のため栄養素をやみくもに投げ捨てる料理法が日本人の心と身体に不幸をもたらした 128
2 土井氏の家庭のための料理の異常さ 129
3 形式の工程を積み上げた柳原一成氏の料理法 136
4 辰巳芳子氏の「命をはぐくむ手塩にかけた私の料理」 137
5 なぜこのような料理法が生まれたのか 141
6 さらに極まる悪魔の料理法「マクロビオティック」 144
7 時代の雰囲気のすき間に滑り込んだ偽りの言葉 157

第六章 日本人の身体から栄養素を脱落させてきたその他の主たる要因 181
1 海塩による微量栄養素(ミネラル)の補給の停止 182
2 家庭の食事の崩壊 184
3 時代の雰囲気とマスコミが押しつける間違った美意識 188
4 母乳の意味のなくなった母乳。その質が問題である 198
5 愚かな時代の雰囲気によって作り上げられた異常な離乳食 200

第七章 生涯にわたる栄養素の欠落と日本の栄養素の循環 209
1 これまでに述べてきた栄養素が生涯にわたり脱落するシステムを図で見る 210
2 脱落が加速する栄養素の循環 216

第八章 私の健康来歴ともう1つの重大な経験 223
1 私の健康来歴 224
2 もう1つの重大な経験 231

第九章 現代における医食同源と医薬品への依存 247
1 この日本に医食同源の土壌はあるのか 248
2 本当に薬は効くのでしょうか 255

第十章 なぜ一介のフランス菓子のパティシエが日本の異常な食を認識するようになったのか 
263
1 おいしいと感じる味わいに国民の差はない 264
2 料理は人と人を結びつける 273
3 子供の頃のかつての味わいを思い出す 277
第十一章 『ご飯とおかずのルネサンス』ができるまで 285
1 甘くないおせち料理に取り組む 286
2 さらに徹底して先人の料理法を学ぶ 290

第十二章 『ごはんとおかずのルネサンス』その考え方 299
1 味噌、種子、乾物など、様々の素材の役割を追求し、より効果的な組み合わせを考える 301
2 フランス料理から取り入れた栄養素を逃さずにさらに豊かにする料理法 308
3 海塩を怖がらない 310

第十三章 真実のおいしさと偽りのおいしさ――孤高の味わいを極める 313
1 偽装に踊らされる消費者 314
2 ピレネーの風、大西洋の波のうねりを求めて 321

第十四章 『ごはんとおかずのルネサンス』の刊行とその後の反響 329
1 嬉しい知らせが舞い込んできた 330
2 続いて甘くないおせち料理の本を刊行 339

第十五章 『ごはんとおかずのルネサンス』の効果を凝縮したいりこサプリメントを作る 353
1 栄養素を補うサプリメント作りに取り組む 354
2 サプリメントのモニター達の変化 357
3 「いりこサプリメント」がもたらした改善 366

第十六章 家庭の食事を立て直す 381
1 間違った食育 382
2 日本人の正しい味覚を教える 389
3 少しでも苦痛をなくし楽しく作れるように 393

第十七章 日本の食の末期的な2つの自給率 401
1 カロリーベースでみた自給率と栄養素ベースでみた自給率 402
2 どうすれば2つの自給率を上げることができるのか 407
3 人類が初めて経験する食による国家の衰退 413
4 病んだ食は国力と個性と学力の低下をもたらした 415
5 NHKが変わらなければ日本の食は良くならない 418
6 日本の食の危機的状況は人類に出現した病巣 421

エピローグ――食の尊厳を取り戻すためになすべきこと 427
1 今すぐに日本の家庭料理から悪魔の料理法を駆逐しなければならない 428
2 今も日本の産物からは絶えることなく栄養素が抜かれ続けている 428
3 栄養素の欠落した食を摂る家族と子に未来はないことを知る 429
4 この国では、人参、大根1本から自分で料理を作らなければ必ず不幸はやってくる 430
5 食のルネサンスは、国民全体が同じ意識をもち、社会を改革するという決意がなければ達成できない。しかしそれを成し遂げるには
下からのうねりが必要である 430
6 栄養素溢れる食は、自然の息吹や愛や哲学を教え、人と人とを結びつけ、アイデンティティーを培う 432
7 偽りと嘘の二重構造の食の領域 433
8 日本料理のプロフェッショナルに形式から脱却し、本来の味わいに戻る和食のルネサンス(人間性回復)を呼びかけます 435

あとがき 437

前書きなど

かつては存在しなかった様々の心と身体の病がこの国を重く覆い尽くしています。
家庭内暴力、親を殺す、学校などでのいじめ、学力低下、引きこもり、仕事に就く意欲とエネルギーを失った若者達、そして自分より弱い人達を助けようともせず、むしろ彼らをいじめることによって、この日本に生きることの不安とみじめさを忘れようとする卑屈さそのものの考え方、自分のことだけしか考えられないあまりにも稚拙な精神、お金だけを唯一の価値と考える地に落ちてしまった倫理観。糖尿病、高血圧、動脈硬化、心臓病などが高年齢層で一層の広がりをみせ、さらにかつては若年層とは無縁だったこれらの疾病が今、確実に若者の身体を蝕んでいます。私達が子供の頃は聞いたこともなかった「花粉症」そして「アトピー性皮膚炎」の患者は1000万人に迫ると言われています。このままでは日本の子供達には、今よりさらに不幸な未来しか待ち受けていないように私には思われてなりません。

私は今まで自分がたどってきた人生の全ての軌跡をかけて、また、2003年の『ごはんとおかずのルネサンス』の発刊からこれまでの間に、この本の料理法を実践された多くの方々との交流の中で明らかになった様々の事実に基づき断言します。これらの肉体的、精神的荒廃は、私達が日々摂取する食べ物や料理からの栄養素の致命的なまでの欠落に深く起因しているのです。私達は戦後の急激な経済拡張主義の下に、異常な食の世界へひとりひた走りに進んできました。これほど「食べることの意味」について、食べ物が私達の身体に及ぼす作用を軽んじ、その目的を見失ってしまった国民は、他にはないと思います。まさしく私達日本人は人類が今までに経験したことのない「食による人間性の崩壊」へ向かっています。

しかし私達が生物で、そして人間である以上、食の本来の意味を絶えず問い続けることは、人間としての尊厳を保ち続けるために決して忘れてはならないことなのです。

―本書 プロローグより

版元から一言

アトピー性皮膚炎、慢性の下痢、便秘、潰瘍性大腸炎etc…。「食」を変えれば、身体が変わる!

日本とフランスの素材の違いに気づき、独自の理論でフランスと同じ味わいの菓子を作ってきた孤高のパティシエが、日本が抱える食の危機と巷に溢れる偽りの美味しさに警鐘を鳴らし、ごはんとおかずのルネサンス《改革》を説く、渾身の一冊!

今すぐ子供たちのために、出来ることを始めて下さい。

著者プロフィール

弓田亨  (ユミタトオル)  (著/文

"弓田亨
1947年、福島県会津若松市に生まれる。1970年、大学卒業後、熊本のお菓子屋『反後屋』に入る。後、東京『ブールミッシュ』工場長を経て1978年に渡仏。パリの『パティスリー・ミエ』で研修し、その後大きな示唆を与え続ける生涯の友、ドゥニ・リュッフェル氏(『パティスリー・ミエ』のシェフパティシエ)と出会う。翌年帰国。青山『フランセ』、自由が丘『フレンチ・パウンド・ハウス』工場長を務め、1983年、再び渡仏。半年の研修の後帰国し、1986年『ラ・パティスリー イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ』を代々木上原に開店。1995年代官山に移転。現在もフランス菓子教室で教えるとともに、全国での技術講習会、海外での食材探しなど、真実のフランス菓子のおいしさを追究している。その一方で、砂糖・みりん不使用の家庭料理「ごはんとおかずのルネサンス」による、日本の家庭料理の立て直しにも、力を注いでいる。

上記内容は本書刊行時のものです。