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ボーダーとつきあう社会学
人々の営みから社会を読み解く
- 初版年月日
- 2024年10月10日
- 書店発売日
- 2024年11月20日
- 登録日
- 2024年10月9日
- 最終更新日
- 2024年10月24日
目次
はしがき《宮地弘子》
序章 「ボーダー」を考える《好井裕明》
1 「ボーダー」というテーマ
2 〝境界〟としての「ボーダー」
3 〝他者と自分を分ける営み〟としての「ボーダー」
4 〝「ちがい」を確認する営み〟としての「ボーダー」
5 「ボーダー」と向き合い、「ボーダー」とつきあうこと
●第1部 ボーダーを可視化する
第一章 イギリスのインクルーシブ教育──日本の学校のあたりまえを疑う《堀 智久》
一 イギリスでの研究活動
二 イギリスのインクルーシブ教育
三 「分けること」のもつ意味
四 日本の学校のあたりまえを疑う
第二章 入院時のリハビリ経験から対面的インタビュー調査について考える《宮内 洋》
一 突然の骨折から入院へ
二 自らの状況を無視しない「自分語り」
三 入院時のリハビリ経験
四 リハビリの経験から対面的インタビュー調査について考える
第三章 「見える問題/見えない問題」が見えなくするもの《矢吹康夫》
一 「見える問題/見えない問題」という対比
二 「見える/見えない」と「知っている/知らない」
三 「見える問題/見えない問題」の語られ方
四 普遍的な問題としての「知らない」
第四章 「洗う」と「きたない」から「きれい」を考える──多様化する「きれい」《梅川由紀》
一 「きれい」を確認する方法
二 洗濯から「きれい」を考える
三 風呂から「きれい」を考える
四 「きたない」から「きれい」を考える
五 「きれい」とは何か
第五章 「問わず語り」の意味──かつて銅山で栄えた町で暮らして《三浦一馬》
一 調査地で暮らすようになるまで
二 登場人物──田口家とヨリちゃん
三 介護の日常、その過酷さ
四 介護をする理由
五 介護生活の終わり
六 過疎の体験──問わず語りに出会い続ける
第六章 炭鉱労働者、トット屋さん、そしてマラソンランナー──ある家族が生きた戦後史《坂田勝彦》
一 過去が歴史へと変わりつつある中で
二 ある家族の経験から辿り直す
三 炭鉱という場所で育まれた縁と文化
四 炭鉱を離れるとき
五 移住先での生活をめぐる試行錯誤
六 それぞれのその後
【コラム】筑波大学大学院の好井ゼミを振り返って《坂田勝彦》
●第2部 ボーダーとともに生きる
第七章 止むに止まれぬ──自発性と非自発性のボーダーに立つボランティア《小野奈々》
一 研究の立場を問い直す
二 「役割の察知」と「コール」
三 ボランティアの公共的役割
四 自発性と非自発性のボーダーとしての「応答」
五 自発性の呪い
六 かすかな「違和感」に向き合う社会学
第八章 ボーダーと向き合い、他者に出会うこと──外国で暮らす日本出身女性の語りから《松井理恵》
一 二つの異なる文化のはざまに生きる?
二 韓国の在留外国人
三 下関から韓国へ
四 社会から自分を切り離す「ボーダー」から、自分で動かせる「ボーダー」へ
五 日本出身の母親として直面する「ボーダー」
六 「何を考えているのかがわかる外国人」になる
七 「ボーダー」の向こう側にいる他者と出会う
第九章 複数のボーダー──ある在日フィリピン人家族の経験から《石岡丈昇》
はじめに
一 ジェイソン・マルーの一家
二 移住者家族の内部の経験へ
三 家族をやっていく
四 ボーダーとつきあう社会学へ
第一〇章 古民家と生きる──茨城県つくば市の事例から《石本敏也》
一 古民家の活用
二 マルシェの開催──古民家の庭園の活用
三 「普段通り」の手入れ──発想の背景
四 「邑マルシェ」の運営法──「普段通り」の手入れの共有
五 古民家と生きるということ
第一一章 仲人を「商売」にしない──結婚相手を世話する仲人のボーダー《田中久美子》
一 仲人と結婚の壁
二 地域社会と結婚
三 結婚相手を世話する仲人
四 結婚相手の世話と「商売」のボーダー
第一二章 容姿にまつわる「生きづらさ」を紐解いて──ある若年女性のライフ・ストーリーから《香川七海》
一 はじめに ──シオさんとの出会い
二 当事者として卒業論文を書く
三 シオさんへのインタビュー
四 まとめ ──インタビューを終えて
第一三章 どうやって母親と対話できるようになったのか──彼女と過ごした最期の一四カ月を通して《吉村さやか》
一 「母親」をめぐる常識的カテゴリーを問い直すということ
二 なぜ私は母親と対話できなかったのか
三 「シンデレラ・ストーリー」ではない、彼女のライフストーリー
四 どうやって対話できるようになったのか
【コラム】夏の関学好井集中ゼミの風景《伊藤康貴》
●第3部 ボーダーを引き直す
第一四章 伝わることば──エイズ・アクティヴィズムの「手紙」《大島 岳》
一 好井先生との出会い
二 手紙とアクティヴィズム
三 手紙の広がり
四 ボーダーラインを伝わることば
五 あなたへの「手紙」
第一五章 よそよそしい連帯──「フラワーデモ京都」世話人としての日々から《山本 めゆ》
一 赤の他人と私たち
二 花を手に集まるようになるまで
三 フラワーデモ京都
四 フラワーデモを後押しした人びと
五 よそよそしさが拓く創造性
第一六章 地域の祭礼文化の研究者か、担い手か──「青森ねぶた祭」を巡るメディアとしての私《佐々木 てる》
一 研究対象と私の「ボーダー」
二 溶解する「ボーダー」──ねぶた師との出会い
三 メディアとしての私
第一七章 純粋な「話芸」を目指して──秋田実『漫才時代』(一九三六)を読む《後藤 美緒》
一 三八マイクを前にして──漫才がある日常を問う
二 総合雑誌と漫才──教養と娯楽に横たわる深い溝
三 解説書としての「漫才時代」
四 普段着の娯楽
第一八章 フィールドワークが日常生活になった話──ひきこもった当事者との結婚生活《伊藤 康貴》
一 ターニングポイントとしての発達障害診断
二 佐世保での共同生活をはじめる
三 生活がかみ合わない
四 アルコール依存と過食
五 変わるRのキャラクター
六 周期性のある爆発──PMS(月経前症候群)・PMDD(月経前不快気分障害)
七 語尾が聞こえにくい──APD(聴覚情報処理障害)
八 発達障害の診断と精神障害者保健福祉手帳の取得
九 そもそもの問題と感じられること──人とのコミュニケーション
一〇 就労移行支援──コミュニケーショントレーニングと施設外就労
一一 カプセルホテルへの就労
一二 服薬や発達特性との関連で生きづらさを語るという変化
一三 二〇二三年二月、関西に戻る
一四 境界を踏み越えることでみえることと、それを書くこと
第一九章 三つのボーダーとつきあい続けて──労働をめぐる新しい社会学の試み《宮地 弘子》
一 仕事と生活のボーダーへの関心──二四時間戦えますか
二 フィールドから研究室へ
三 フィールドと研究室のボーダーをさまよう
四 方法論的ボーダーに立つ
五 ある調査経験から
六 三つのボーダーとつきあい続ける意味
七 エピローグ
【コラム】日大好井ゼミ──〝アウェー〟から〝ホーム〟、そしてその先へ《吉村さやか》
【コラム】植田今日子さんのこと《松井 理恵》
あとがき《好井 裕明》
編者・執筆者プロフィール
上記内容は本書刊行時のものです。