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なるほどベクトルポテンシャル
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年10月27日
- 書店発売日
- 2020年10月30日
- 登録日
- 2020年9月24日
- 最終更新日
- 2020年10月27日
紹介
■量子力学の世界に入り込むと、なぜかベクトルポテンシャルが主役として登場する。不思議な存在であるベクトルポテンシャル。ポテンシャルならばスカラーになるはずであるが、ベクトルなのである。
■ベクトルポテンシャルが実在するかもしれないと思うようになったのは、 日立基礎研究所で活躍された故外村彰博士との出会いである。氏の「量子力学の世界を目で見る」という信念と実践、そして、電子の干渉を示した2重スリット実験や、超伝導体内の量子化磁束の観察などの数多くのノーベル賞級の研究成果にも魅せられた。
■その実在性を証明された外村彰博士との熱き議論以来、懸案であったこの分野の「総まとめ」を、ここに披露する。
目次
はじめに
第1章 ベクトルポテンシャル
1. 1. 電場と電荷 11
1. 2. 磁荷と磁場 15
1. 3. 磁場下の荷電粒子の運動 16
1. 4. ベクトルポテンシャルの具体例 24
1. 5. ベクトルポテンシャルと運動量 34
1. 6. エネルギー 37
第2章 電流とベクトルポテンシャル
2. 1. 電荷に働く力 43
2. 2. 磁荷に働く力 46
2. 3. 電荷が作る電場 48
2. 4. 電荷と磁場の相互作用 50
2. 5. ビオ・サバールの法則 57
2. 6. ベクトルポテンシャル 59
2. 7. 超伝導 63
第3章 ベクトルポテンシャルの導出
3. 1. ポアソン方程式とベクトルポテンシャル 69
3. 2. ガウスの法則 71
3. 3. ポアソン方程式の解法 73
3. 3. 1. グリーン関数 74
3. 3. 2. フーリエ変換 76
3. 4. ベクトルポテンシャルの計算 83
3. 5. ビオ・サバールの法則 98
第4章 電磁ポテンシャルとゲージ
4. 1. マックスウェル方程式 102
4. 2. 電磁ポテンシャル 103
4. 3. ゲージ変換 109
4. 3. 1. クーロンゲージ 111
4. 3. 2. ローレンツゲージ 116
第5章 解析力学
5. 1. ラグランジアン 122
5. 2. ハミルトニアン 124
5. 3. 電磁場のラグランジアン 128
第6章 量子力学への応用
6. 1. 電磁場のハミルトニアン139
6. 2. ゲージ変換 147
6. 3. 量子力学における電流 160
6. 4. 超伝導電流 170
6. 5. 磁束の量子化 171
6. 6. ジョセフソン効果 174
補遺6-1 ゲージ変換と波動関数の位相 180
補遺6-2 ストークスの定理 182
第7章 電磁波とベクトルポテンシャル
7. 1. 波動方程式 186
7. 2. 電磁場のエネルギー 196
7. 3. 調和振動子との対応 207
7. 4. ポインティングベクトル 214
補遺7-1 電磁場のエネルギー 216
第8章 多重極展開
8. 1. 電位と電荷 220
8. 2. ルジャンドル多項式 226
8. 3. ベクトルポテンシャルの多重極展開 241
第9章 アハラノフボーム効果
9. 1. ベクトルポテンシャルは実在するか 255
9. 2. 磁場がゼロとなる条件 257
9. 3. 磁場がゼロの空間 259
9. 4. ベクトルポテンシャルと波動関数の位相 266
9. 5. 波動関数の位相 269
9. 6. 実験による証明 272
第10章 電磁波の放出
10. 1. ポアソン方程式 274
10. 2. 時間依存の方程式 276
10. 3. グリーン関数による解法 277
10. 4. 電磁波放出 292
おわりに
索引
前書きなど
外村博士はアハラノフボーム効果(AB効果)の実証実験に取り組まれていたが、超伝導の完全反磁性を利用することで、ベクトルポテンシャルが物理的実在であるということを実験的に証明することに成功したのである。 この成果については、本書でも簡単に触れているが、氏は、その経緯を熱く語ってくれた。
実は、私自身、超伝導現象を数学的に扱うとき、磁場よりもベクトルポテンシャルのほうが本質ではないかと思われる場面に出会っていた。 本書で紹介するロンドン方程式もそうである。
このため、ハワイの居酒屋で外村氏とふたりで、その店の日本酒を空にした一夜の熱き議論以来、ベクトルポテンシャルこそが本質という信念が、自身にも湧いてきたのである。そこで、いつか「ベクトルポテンシャル」に的を絞った本をまとめてみたいと思っていた。それが、本書が誕生した理由である。本書によって、ベクトルポテンシャルの持つ魅力と、有用性がある程度、読者にも伝わるものと期待している。
上記内容は本書刊行時のものです。