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恭仁京と万葉歌 村田 右富実(著) - 関西大学出版部
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恭仁京と万葉歌 (クニキョウトマンヨウカ)

文芸
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A5判
320ページ
定価 3,100 円+税   3,410 円(税込)
ISBN
978-4-87354-789-3   COPY
ISBN 13
9784873547893   COPY
ISBN 10h
4-87354-789-X   COPY
ISBN 10
487354789X   COPY
出版者記号
87354   COPY
Cコード
C3095  
3:専門 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2025年1月24日
書店発売日
登録日
2024年12月18日
最終更新日
2024年12月26日
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紹介

本書は、恭仁京時代の万葉歌に正面から取り組んだ初めての学術書である。天平十七年(七四五)の平城還都後、万葉歌は大伴家持を中心とした私家集の色彩が強まってゆくため、恭仁京時代は家持にそれほどまでに偏らない表現研究を構想できる最後の期間でもある。
 「はじめに」では、今述べた点を含めて、本書の立場が明瞭になり、本書が目指す韻文史構想が記される。
 第一章「基礎的考察」は、歴史学から見た恭仁京の把握から始まり、恭仁京時代の家持の立ち位置が確認される。従来、恭仁京時代の家持を政治的な側面から捉えようとする論調が多かったが、歴史学の成果に依拠しつつ、家持を、九十人から成る聖武天皇の内舎人のひとりとして、また、大伴家の若き一員として考えるべきと述べる。その他、第二章以降の前提となるべき、本文校訂、改訓、「屋根」の意味などによって構成されている。
 第二章「恭仁京讃歌」では、境部老麻呂作歌、田辺福麻呂歌集所出歌、大伴家持作の三作品の作品論が展開する。表現の質の問題から詠作時の推定まで、恭仁京時代の雑歌論となっている。
 第三章「相聞往来」では、恭仁京と平城京とを行き来する相聞歌に焦点を当てる。恭仁京時代の相聞歌は家持関係歌がほとんどを占めるため、家持が、平城京に残っている女性とどのようなやりとりをしたかが活写される。結果的に、そこには実際の歌のやりとりを通じて、家持の大嬢への愛情が浮かび上がる。類型性に埋没する相聞歌に新しい光を当てる論である。また、弟である書持や、紀女郎との贈答は、第一章で述べられた本文校訂や改訓などを基に相聞の質を読みなおす。本章は恭仁京時代の相聞歌論である。
 第四章「廃都へ」では、恭仁京時代の後半から平城遷都後の歌が論じられる。若き家持の大作である「安積皇子挽歌」に多くの紙数を割き、人麻呂の殯宮挽歌の受容とばかりいわれてきた当該歌を、違う角度から解き明かす。また、「独り奈良の故宅に居りて作る歌」については家持の孤独が強調されていたが、そうした先入観を捨てて、恭仁京を捨てることになってしまい、今後の定住地さえはっきりしない不安の中で作られた作であると説く。そして、「甕原荒墟歌」については、人麻呂の「近江荒都歌」の影響下にある点が強調されて来たが、「荒都歌」と「荒墟歌」との違いを明確にし、宮ではなく都の衰亡を歌っていることを論じた。本章は恭仁京時代の挽歌論といってもよい。
 最後に「むすび」では、本書で述べてきた各論を通した文学史的な見取り図が示される。
 本書は、単独論文に換算すると十四本の各論から成り、うち、九本が書き下ろしという、比較的珍しい形態を取るが、その分、求心的な構成になっている。たび重なる遷都がもたらした万葉歌の諸相が明らかになった。

目次

凡例
はじめに

第一章 基礎的考察
 第一節 恭仁京と『万葉集』
  一 恭仁京遷都まで
  二 恭仁京と家持
  三 恭仁京
  四 平城還都と恭仁廃都
  五 むすびにかえて

 第二節 家持と書持の贈答歌―本文校訂―
  一 はじめに
  二 先行研究
  三 西本願寺本と廣瀬本
  四 (甲)17・三九〇九番歌題詞下の「大伴宿祢書持」
  五 (丙)17・三九一一番歌序文
  六 (乙)17・三九一〇番歌左注
  七 17・三九一一番歌の題詞(一)―鈴木論文Aを基に―
  八 17・三九一一番歌の題詞(二)―類聚古集から―
  九 17・三九一一番歌の題詞(三)―廣瀬本から―
  十 むすびにかえて

 第三節 家持と書持の贈答歌―17・三九一二番歌の改訓―
  一 はじめに
  二 何の心そ
  三 玉貫く月
  四 異訓の可能性―助詞「シ」の用法を中心に―
  五 写本の状況
  六 むすびにかえて―巻十七と類聚古集―

 第四節 黒木の屋根
  一 はじめに
  二 4・七七九番歌の訓
  三 板葺
  四 黒木
  五 板葺の黒木の屋根
  六 建築物を意味する「屋根」
  七 むすびにかえて

 第五節 8・一六〇三番歌の左注
  一 はじめに
  二 諸本状況
  三 年号と干支
  四 むすびにかえて

第二章 恭仁京讃歌
 第一節 境部老麻呂の恭仁京讃歌
  一 はじめに
  二 天平十三年(七四一)二月の恭仁京
  三 山背の 恭仁の都は~秋されば 黄葉にほふ
  四 帯ばせる 泉の川の~淀瀬には 浮橋渡し
  五 あり通ひ 仕へ奉らむ 万代までに
  六 反歌
  七 むすび

 第二節 福麻呂歌集所出の恭仁京讃歌
  一 はじめに
  二 先行研究
  三 地名と制作時期
  四 A群
  五 B群長歌
  六 B群反歌
  七 A群とB群との関係
  八 むすび

 第三節 家持の恭仁京讃歌
  一 はじめに
  二 天平十五年(七四三)の恭仁京
  三 家持の恭仁京讃歌
  四 むすび

第三章 相聞往来
 第一節 家持をめぐる相聞―大嬢に贈る歌―
  一 はじめに
  二 大嬢関係歌
  三 非大嬢関係歌
  四 大嬢に贈る歌
  五 むすび

 第二節 書持との贈答
  一 はじめに
  二 書持贈歌
  三 家持和歌(一)―背景と時代状況―
  四 家持和歌(二)―題詞と序文―
  五 家持和歌(三)―第一首―
  六 家持和歌(四)―第二首―
  七 家持和歌(五)―第三首―
  八 むすび

 第三節 紀女郎との贈答
  一 はじめに
  二 先行研究
  三 最初の贈答
  四 更に贈る歌五首
  五 むすび

第四章 廃都へ
 第一節 安積皇子挽歌
  一 はじめに―安積親王―
  二 先行研究と訓
  三 A群
  四 B群
  五 むすび

 第二節 独り奈良の故宅に居りて作る歌
  一 はじめに
  二 校異と先行研究
  三 題詞
  四 第一首~第三首
  五 第四首~第五首
  六 第六首
  七 むすび

 第三節 甕原荒墟歌
  一 はじめに
  二 訓について
  三 題詞
  四 長歌
  五 反歌
  六 むすび

むすび
各論についての覚書
索引
あとがき

著者プロフィール

村田 右富実  (ムラタ ミギフミ)  (

1962年 北海道小樽市に生まれる
1992年 北海道大学大学院文学研究科後期課程単位取得退学
1992年 大阪女子大学助手
1994年 大阪女子大学専任講師
2000年 大阪女子大学助教授
2002年 北海道大学より博士(文学)の学位を受ける
2005年 大阪府立大学助教授(大学統合による)
2007年 大阪府立大学教授
2017年 関西大学文学部教授

上記内容は本書刊行時のものです。