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コミュニティユニオン 沈黙する労働者とほくそ笑む企業 梶原公子(著/文) - あっぷる出版社
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コミュニティユニオン 沈黙する労働者とほくそ笑む企業 (コミュニティユニオン チンモクスルロウドウシャトホクソエムキギョウ)

社会一般
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四六判
縦188mm 横128mm 厚さ16mm
224ページ
並製
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-87177-358-4   COPY
ISBN 13
9784871773584   COPY
ISBN 10h
4-87177-358-2   COPY
ISBN 10
4871773582   COPY
出版者記号
87177   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年8月1日
書店発売日
登録日
2021年7月5日
最終更新日
2023年12月28日
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書評掲載情報

2021-11-02 ゆきわたり(子供問題研究会)  546号
評者: 戸恒香苗
2021-11-02 静岡新聞  夕刊
2021-08-25 地域と労働運動  252
評者: 原田牧雄
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紹介

企業内労組が力を失っていく中、一人でも外国人でも入れるコミュニティユニオンで活動する著者が、かつての労働運動の闘士と、組合の存在を知らず働く若者に取材し、働くことへの世代間ギャップを浮き彫りにしつつ、この国の労働環境の問題点を提示する。

目次

第1章 ユニオンの森で
コミュニティユニオンとは
まつりさん事件
ユニオンは不要なのか
「こんな会社をほうっておいていいのか」
「地元に帰って働きたい」
「解決金を取りたい」
ユニオンは最後の「お助け寺」

第2章 直美の美容サロン
長時間労働は仕事ができないから?
これが「当たり前」の働き方か?
パワハラ、長時間労働がもたらすもの
解決手段は「お金」か「謝罪」か?
お金でもなく、謝罪でもなく
いま、ユニオンに求められているもの

第3章 人生の階段
若者が持つユニオンのイメージ
空気を遮断して生きる
「ユニオンって趣味じゃないですか」
メンタルなところで躓く
僕がユニオンに入ったわけ
「ユニオンは趣味」なのか
腕章は僕のお守り

第4章 「ヒーロー」
憲法より早くできた法律
太田薫
説得
裁判
裁判のあとで

第5章 敗訴、だけど失望しない人
世代間ギャップの理由
「闘う労組」がなくなる時代
大学進学、そして栄転も蹴る
敗訴の理由
労働組合の展望

第6章 手をつなげない私たち
ある女性からの相談
フランスの労働者意識
やっぱり資格は必要?
保育料は要求しない
クビにはならない人
「ユニオン的メンタル」を持つということ
働く者同士、なぜ手を繋げないのか

第7章 やめる権利
老弁護士の講演会
三度目の面談
法律事務所
やめさせてくれない
会社の言い分
「闘う」ことの意味

第8章 ユニオンを活用するには
若者の意識について
就業規則のシバリ
会社の外にあるユニオン
ユニオンの作り方
困っている者同士助け合えるのがユニオン

前書きなど

 今日、多くの職場でうつが蔓延している。長年、労働環境を改善するため闘ってきた労働組合(以下、労組)、運動を担ってきた全共闘世代、団塊世代は高齢化している。だからこの運動はあと10~15年で終わるのではないか、と言われる。
 それが最近、この流れに逆行するような話を聞いた。「ここ10~15年、20、30代の若い社員が労組に入るようになった、そんな会社があるんだよ」
 この情報をもたらしてくれたのは大阪出身、徳島在住の北野静雄さんだ。私は彼を頼って四国、徳島に行った。2019年秋のことだ。
 ここ徳島には「オロナイン」「ゴキブリホイホイ」「ポカリスエット」など数々のヒット商品を世に送り出した大塚グループがある。労組加入者に若者が増えたというのは、このグループのなかの一つ、大鵬薬品工業だ。北野さんはこの会社に勤務し、労組を立ち上げた。今はOBとしてかかわっている。
(中略)
 若者に聞くと、「ユニオンなんて作って意味があるの?」「既得権益を守るだけじゃない?」「イメージがわかない」「ユニオンで闘うより、自分の生活を守るだけで精いっぱい」などなどの意見が多い。
 いまの若者は、生まれたときからこういう社会で会社とはこういうものだ、という思い込みがある。低賃金、長時間労働、そして根拠のない社員への評価など。その結果うつなどになり、心身を病んだりする。
 いま、非正規や正規にかかわらず、誰でも入れるコミュニティユニオンがあちこちで作られている。労働で困難を抱える人の多くは、弁護士を頼り、法テラスに行き、労働基準監督署に行き、最後の「駆け込み寺」としてコミュニティユニオンにやってくる。彼ら彼女らの抱える問題は深刻だ。
 だが、世代を超えて労組の理念を継承し、労使双方が発展することは他の企業でもできないことだろうか。会社の利益を超えて、会社も労組も発展するというビジョンを持つことは、不可能なことだろうか。
 しかし、私が本書で述べたいのは、そんなに大それた話ではない。「食べていけるだけの稼ぎができること」「人間らしく働けること」。これくらいのことがこの国で、ユートピアなどでなく、実現不可能なことでなくてどうするのだろう。これでほんとうに先進国と言えるのだろうか。

著者プロフィール

梶原公子  (カジワラキミコ)  (著/文

1950年生まれ。静岡県立静岡女子大学卒。高校家庭科教員として20年あまり勤務。退職後、立教大学大学院で社会学修士、聖徳大学大学院で栄養学博士。のち管理栄養士資格を取得。社会臨床学会運営委員などを経て、若者、女性をテーマに取材執筆活動をおこなっている。2010年からは静岡県の地域ユニオンに参加し、労働者の支援にあたっている。
著書に「25パーセントの女たち」(あっぷる出版社)、「若者はなぜ自立から降りるのか」(同時代社)、「自己実現シンドローム」「健康不安と過剰医療の時代(共著)」(長崎出版)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。