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アジアの伝統染織と民族服飾 道明三保子(著) - あっぷる出版社
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アジアの伝統染織と民族服飾 (アジアノデントウセンショクトミンゾクフクショク) 豊穣なる生活造形の世界 (ホウジョウナルセイカツジョウケイノセカイ)

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A5判
縦210mm 横148mm 厚さ20mm
重さ 405g
312ページ
並製
価格 3,000円+税
ISBN
978-4-87177-356-0   COPY
ISBN 13
9784871773560   COPY
ISBN 10h
4-87177-356-6   COPY
ISBN 10
4871773566   COPY
出版者記号
87177   COPY
Cコード
C0077  
0:一般 0:単行本 77:家事
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年5月1日
書店発売日
登録日
2021年3月26日
最終更新日
2023年12月29日
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書評掲載情報

2021-10-16 図書新聞  3515号
評者: 松本由香
2021-09-25 毎日新聞  朝刊
2021-08-20 美しいキモノ  秋号
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紹介

あらゆる民族には豊かな生活造形の世界が存在する。
人々はどのように素材を利用し、
その地の風土と文化環境に合った染織・服飾を作り上げてきたのか。
東アジアからインド、ペルシャ、中央アジア。さらに中東からヨーロッパにかけて行き来してきた服飾・染織の世界を、現地でのフィールド調査、博物館における実物資料の分析と展示、文献の渉猟それぞれの方法によって進めた、アジアの染織・服飾文化研究の集大成。
各民族の生活世界を、多数の図版も使い紹介する。

目次

まえがき

Ⅰ 総説編

Ⅰ-1 服飾文化
Ⅰ-1-1 民族服飾序説
 1.民族服飾の用語
 2.民族服飾の調査・研究・展示
 3.民族服飾研究の着目点
 4.民族服の継承
Ⅰ-1-2 アジアの地域別伝統衣装
 1.東アジア
 2.東南アジア
 3.南アジア
 4.西アジア
Ⅰ-1-3 アジアの近代化と伝統服飾
 1.アジアの近代化と洋装
 2.民族服の自給自足体制の衰退
 3.科学の発展と民族服
 4.日本の洋装化
 5.各国の例
 6.伝統服飾の文化をいかに継承発展させるか
Ⅰ-1-4 アジアの被り物
 1.東アジアの被り物
 2.東南アジアの被り物
 3.南アジアの被り物
 4.西アジアの被り物
 5.中央アジア・北アジアの被り物
 6.中国の虎頭帽
Ⅰ-1-5 アジアの装身具
 1.装身具の役割と素材
 2.東アジアの装身具
 3.東南アジアの装身具
 4.南アジアの装身具
 5.西アジアの装身具
 6.中央アジア・トルクメンの装身具
Ⅰ-1-6 晴れの日の装い
 1.赤・白・黒
 2.最上の日常
Ⅰ-1-7 旅するビーズ 小さきものの壮大な旅路
 1.ビーズの語源は祈り
 2.交易品の花形に
 3.古代日本には曲玉や臼玉が
 4.アジアの多彩なビーズ
Ⅰ-1-8 カシミールショールとペイズリー文様
 1.カシミールショールの歴史
 2.ペイズリー文様の変化と西欧のファッション
コラム 文化学園服飾博物館
コラム 文化学園服飾博物館の国際交流
コラム ボタン博物館

Ⅰ-2 染織文化
Ⅰ-2-1 日本の藍・アジアの藍
 1.日本の藍
 2.アジアの藍
Ⅰ-2-2 刺繍の世界 華やぎ、そして祈る色と形
 1.刺繍の分類
 2.製作者と用途
 3.刺繍の技術
 4.刺繍の機能と表現の特色
 5.デザイン
 6.日本の刺繍
Ⅰ-2-3 全アジア・剌し子の系譜
 1.日本・東北地方の剌し子
 2.韓国のヌビ
 3.インドのカンタ
 4.中央アジアと西アジアの剌し子
Ⅰ-2-4 日本の絞り・世界の絞り
 1.日本の絞り
 2.世界の絞り
Ⅰ-2-5 東西の紫
 1.西方の紫
 2.貝紫
 3.東アジアの紫
 4.民族衣装の紫

Ⅱ 地域編

Ⅱ-1 東アジア
Ⅱ-1-1 日本のきものの特質
 1.きものの特徴
 2.きものに取り入れられた歴代の服飾
Ⅱ-1-2 縮緬の着物
 1.縮緬の来た道
 2.様々な縮緬 134
 3.時代による好みの移ろい
Ⅱ-1-3 夏の着物 涼の美
 1.単衣の着物
 2.薄物仕立て
Ⅱ-1-4 更紗と日本人と
 1.更紗とは
 2.更紗の歴史
 3.更紗の用途
Ⅱ-1-5  三井家の着物 和の感性が冴えわたる着物の世界の理想郷
 1.江戸後期
 2.明治・大正期
Ⅱ-1-6 清朝の宮廷衣装
 1.宮廷の服飾制度
 2.清朝の満漢併用
コラム 養蚕農家訪問記
コラム 製糸工場をたずねて
コラム久米島紬を織る人々

Ⅱ-2 東南アジア・南アジア
Ⅱ-2-1 タイ北部少数民族の衣装
 1.タイ北部ヘの旅
 2.民族衣装と民族意識
 3.少数民族の民族衣装
Ⅱ-2-2 ラオスの民族衣装
 1.多民族の国ラオス
 2.民族衣装シン
 3.ラオスの織物の文様と技法
Ⅱ-2-3 インドの染織
 1.インドの染織文化
 2.インドの染織品

Ⅱ-3 西アジア・中央アジア
Ⅱ-3-1 ペルシア絨毯
 1.民族の誇り
 2.都市の絨毯・遊牧民の絨毯
 3.絨毯の織機
 4.絨毯の素材
 5.ペルシア結び・トルコ結び
 6.絨毯の文様
Ⅱ-3-2  遊牧の民に魅せられて 松島コレクションから
 2.遊牧民の生活環境
 3.遊牧民の服飾
 4.遊牧民の敷物
 5.遊牧民の民族造形
Ⅱ-3-3 イスラムのヴェールファッション
 1.コーランの教え
 2.革命後のイランで
 3.各地のヴェール
 4.様々な風習
Ⅱ-3-4 イスラム文様への旅
 1.モスクのタイル文様
 2.イラクの工人たち
 3.カシミールショールの文様の変貌
 4.祇園祭の絨毯
Ⅱ-3-5 パレスチナの民族衣装
 1.カワール・コレクションから
 2.パレスチナの伝統的民族衣装
 3.地域ごとの特色
 4.民族衣装の今日
Ⅱ-3-6 ヨルダンの伝統衣装
 1.カワール・コレクションから
 2.イルビド地方の衣装
 3.サルト地方の衣装
 4.マアーンの衣装
Ⅱ-3-7 イエメン便り
 1.イエメンの建築
 2.女性のヴェール
 3.女性だけのパーティー
 4.男性の短剣と衣服
 5.スーク
 6.イエメンの銀細工
Ⅱ-3-8 アラブ男性の伝統的衣服
 1.ケフィエ(頭布)
 2.クンバズ(筒袖長衣)
 3.シャルワール(パンツ)とシェリハ(帯)
 4.アバ(コート)
Ⅱ-3-9 トルコの伝統衣装
 1.トルコの歴史
 2.宮廷の服飾
 3.女性の伝統衣装
 4.トルコの刺繍
 5.憂愁の都イスタンブール
Ⅱ-3-10 ウズベキスタンの経絣と刺繍布
 1.平山郁夫シルクロード美術館コレクション
 2.ウズベキスタンの染織の歴史
 3.刺繍布(スザニ)
 4.経絣(アブル)と絹綿交織織物(アドラス)
 5.経絣の民族衣装
Ⅱ-3-11  ササン朝ペルシアの宮廷衣装 ターク・イ・ブスターン浮彫りの調査
 1.古代ペルシア文明と衣装
 2.ターク・イ・ブスターン遺跡ヘの道
 3.正倉院の染織の源流
 4.帝王猪狩図の服飾文様
コラム 白瑠璃碗のふるさと
コラム 江上波夫先生とオリエント

Ⅱ-4 ヨーロッパ
Ⅱ-4-1 リヨンの絹織物
 1.アジアからヨーロッパへ
 2.リヨンの絹織物の歴史
 3.キャヌー(絹織物工)とリヨンの庶民像、ギニョール
 4.ジャカードの発明
Ⅱ-4-2 フランスの更紗
 1.インド更紗に触発されて
 2.洗練された文様
Ⅱ-4-3 ブルガリアの民族衣装
 1.ブルガリア国立民族学博物館との交流
 2.ブルガリアの民族衣装の伝統へ
コラム 色彩豊かなグアテマラの民族衣装
コラム 平山郁夫・美知子ご夫妻とシルクロード
特別寄稿「カシミールショールとの出会い」(平山美知子氏)
コラム 国際化時代に想い出すこと

あとがき
初出一覧
参考文献

前書きなど

 人間の造形活動の二つの大きな流れとして、一つは絵画、彫刻、工芸、建築と
いった分野で天才芸術家や高名な画家などが名を連ねた、選ばれた人々が生み出す
芸術の世界。もう一つは地域や民族が代々受け継いできた伝統に根ざし、日々の生
活のために無名の工人や家族が作る生活造形の世界があります。
 生活造形には風土・民族・時代・地域・生活・宗教などが色濃く反映されており、
それぞれの地域や民族の独自性や多様性、あるいは地域と地域、民族と民族の共通
性を明らかにすることもできます。
 本書は、生活造形の分野の中から、アジアを中心とする染織・服飾文化をテーマ
としました。服飾は衣食住の基本として生活の必需品であり、染めや織りの布には
豊かな文様や色彩があふれ、様々な美意識や価値観が表現されています。生活の中
で育まれたそれらの造形活動には、高度な芸術性をそなえた優品も少なくありませ
ん。
 アジアは多様な自然環境と文化環境に恵まれ、どんなに小さな国でも少数民族で
も、それぞれ独特の優れた染織・服飾文化を築いてきました。この分野においてア
ジアは、西欧以上に豊饒な伝統と多様な造形表現に恵まれているといえるでしょう。
さらに西欧の染織・服飾文化には、アジアから波及し発展したものが少なからず見
受けられます。私たちはこれまでもっぱら西欧文化への関心が高く、アジア諸国に
ついて知る意欲は比較的薄く、とりわけイスラム文化圏の西アジアは異質な世界と
してなじみにくいものでした。本書では、染織・服飾文化について総合的な視野の
もとにアジア全域を対象としました。
 また、日本は外からの文化を取り入れるばかりで、外に向かって発信することが
不得手といわれてきましたが、受け入れた文化は十分消化し、巧みに応用発展させ
ました。染織・服飾においても職人の冴えた技が加わり、独自の美意識と繊細さに
溢れた伝統が培われました。アジア諸国と比較することによって、こうした日本の
特質が浮かび上がってきます。
 このような染織・服飾文化の研究を、現地のフィールド調査と博物館における実
物資料の分析、そして文献の渉猟の三つの方法によって進めました。まず現地の生
活にふれ、自分の生活や経験から異質に感じたことについて、そのときの生き生き
した実感を大切にし、観察を十分にして理解に努めました。現地に行けばたいてい、小さいながらも生活文化の博物館があり、また熱心な郷土文化の保存会や研究者が
存在します。また都市の博物館には芸術性に富んだ作品や歴史的な資料も見られ、
過去から現在までの変化もわかります。さらに文献を調べることによって客観的で
体系だった知識が得られました。
 アジアの民族造形文化の一隅を照らした本書が、他の国々や民族への理解や共感
を深めるきっかけに少しでもなることを願っています。

版元から一言

 本書は、アジアの各民族が歴史の中で作り上げてきた染織・服飾文化の貴重な研究です。それぞれの地域が伝えてきた手仕事の美しさ、家族や住んでいる地域への愛着、自然や風土に調和した生活などを網羅的に紹介しています。この本の内容が、私たちの生活文化を考えるきっかけになればと思っています。

著者プロフィール

道明三保子  (ドウミョウ ミホコ)  (

1942年生まれ。東京大学文学部美術史学科卒。同大学院人文科学研究科修士課程修了。
文化学園大学名誉教授。フランス政府給費生としてリヨン織物美術館で学ぶ。東京大学
イラク・イラン学術調査に参加。世界各地で染織史、服飾史の調査研究を続け、文化学
園服飾博物館で国内外の染織品の収集と展示を手がける。文化女子大学(現文化学園大
学)教授、放送大学客員教授、文化学園服飾博物館学芸室長、国際染織学会(CIETA)
日本代表委員、アジア民族造形学会理事、平山郁夫シルクロード美術館理事、大日本蚕
糸会評議員などを歴任。蚕糸功績賞受賞。現在、道明組紐教処長。
編著書に、『世界の伝統服飾』(分担執筆、文化学園服飾博物館)、『アジアの風土と服飾文化』(共著、放送大学教育振興会)、『西アジア・中央アジアの民族服飾』(分担執筆、文化出版局)、『三井家のきもの』(分担執筆、文化出版局)、『すぐわかる産地別染め・織りの見わけ方』『すぐわかるきものの美』(監修、東京美術)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。