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横井小楠とその「子どもたち」
- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 初版年月日
- 2025年7月1日
- 書店発売日
- 2025年7月1日
- 登録日
- 2025年6月20日
- 最終更新日
- 2025年7月9日
紹介
いまこそ読み直されるべき、幕末思想の核心
幕末・明治を生きた先駆の思想家・横井小楠。
幕府公議政体論のリーダーとして、あるいは新政府の構想者として――
なぜ彼は暗殺されたのか。その「死」が意味するものとは何だったのか。
本書は、小楠をただの“開明的な儒学者”として捉えるのではなく、
誤読を含めて、彼の思想が時代を超えていかに受け継がれ、
政治・宗教・倫理という日本近代の核心領域にどう作用していったのかを、
小楠の子ども世代(実の子どもを含めた)の思想的歩みを通して読み解いていく。
目次
はじめに
第一部 横井小楠とキリスト教
第一章 小楠殺害と「天道覚明論」
第二章 攘夷論の熟成
第三章 開国論者 横井小楠
第四章 横井小楠とキリスト教
第二部 熊本バンドと国家主義との結合
第一章 熊本洋学校と熊本バンド誕生の背景
第二章 同志社入学後の活動
第三章 日露戦争とキリスト教
終章
結語
付論
あとがき
前書きなど
『キメラー満州国の肖像』(中公新書)で吉野作造賞を受賞した山室信一氏は、
二〇〇七年に『憲法9条の思想水脈』を著した。
その第三章(幕末・明治期における憲法九条の思想水脈)で先ず論じられたのが横井小楠であった。
勝海舟が「俺は今まで天下で恐ろしい者を二人見た。それは横井小楠と西郷南洲〔隆盛〕とだ」と述べた小楠は、暗殺されたために実働半年にも満たない明治新政府にあって
「戦争の惨憺、万民の疲弊、これを思い又思い、さらに見聞に求れば自然に良心を発すべし」(「中興の立志七条」)と説いたが、これは近代日本の劈頭において発せられた非戦論としての意義をもつものであったと山室氏は指摘する。
(中略)
「強国になるのではない。強あれば、必ず弱ある。この道を明らかにして世界の世話焼きにならなければならぬ」
(中略)
しかしながら、小楠のいう「世界の世話焼き」になり「大義を布く」という理想の実現は見失われたと言わざるを得ないのがその後の歴史の展開であった。
(中略)
なぜ小楠の理想は引き継がれなかったのか?
熊本洋学校に学びキリスト教徒になった小楠の子供およびその仲間たち、小楠の義妹でもある矢嶋楫子、同時代の柏木義円や植村正久や内村鑑三などのキリスト教徒たちの生き方を通して考えてみたい。(「はじめに」より)
上記内容は本書刊行時のものです。