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古事記の成立 居駒 永幸(著) - 花鳥社
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古事記の成立 (コジキノセイリツ) [歌と散文]の表現史 (ウタトサンブンノヒョウゲンシ)

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発行:花鳥社
A5判
440ページ
上製
定価 12,000円+税
ISBN
978-4-86803-012-6   COPY
ISBN 13
9784868030126   COPY
ISBN 10h
4-86803-012-4   COPY
ISBN 10
4868030124   COPY
出版者記号
86803   COPY
Cコード
C3095  
3:専門 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年10月19日
書店発売日
登録日
2024年9月12日
最終更新日
2024年10月18日
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紹介

なぜ史書に歌が書かれるのか。

『古事記』と『日本書紀』は歴史叙述を目的としながらも、歌と散文による叙述法を選んだ。歌そのものが宮廷の出来事を伝える歴史叙述だったからである。歌が物語化され、そこに散文が生成してくる。
説話や物語に古代歌謡が結合したり、はめ込まれたとする独立歌謡転用論は、もはや通用しない。
『古事記』成立と深く結びつく、8世紀初めの日本史書に出現した特異な現象を解明する。

目次

はじめに
凡例

第一章 主題と研究方法
1 軽太子物語と歌の叙事――記紀歌謡研究の新しい枠組み――
はじめに
記紀歌謡の二つのとらえ方
軽太子物語と歌の叙事
[歌と散文]の表現空間
叙事歌としての記紀歌謡
結び

2 古代歌謡と『古事記』『日本書紀』の歌――新たな記紀歌謡研究の方法――
はじめに
記紀歌謡の研究史
古代民謡の認定
宮廷歌謡・歌曲と『古事記』『日本書紀』の歌
[歌と散文]による歴史叙述
結び

3 『日本書紀』の歌とその研究史――[歌と散文]の表現空間を中心に――
はじめに
歌と所伝の関係
民謡・創作歌と記紀歌謡の大歌説
「記紀歌謡」の実体と転用論
歌の叙事と宮廷歌謡
[歌と散文]による歴史叙述
結び

第二章『古事記』『日本書紀』の歌とその表現
1 『古事記』『日本書紀』の歌の発生――歌謡の生態とテキストのあいだ――
はじめに
宮廷歌謡・歌曲としての生態
久米(来目)歌の叙事
『記』『紀』の歌テキスト
結び

2 『古事記』『日本書紀』の歌のヴァリアント――異伝注記を通して――
はじめに
[歌と散文]にみる『紀』の異伝
或云の異伝
一云の異伝
一本の異伝
『記』『紀』の歌のヴァリアント
結び

3 日本古代の歌垣――「歌垣」「歌場」「嬥歌」とその歌――
はじめに
『記』『紀』の「歌垣」「歌場」
『風土記』『万葉集』の「嬥歌」「歌垣」
『続日本紀』の「歌垣」
結び

4 蟹の歌とその系譜――御贄としての蟹――

5 古代の巨樹説話と歌――天を覆う百枝槻――
巨樹が立つ聖地
『古事記』『日本書紀』の巨樹説話
『風土記』の巨樹説話
天・東・夷を覆う百枝槻
法興寺の槻

6 歌謡の人称の仕組み――神歌の叙事表現から――
はじめに
タービの表現様式
叙事表現と一人称
人称の混在の発生
『古事記』八千矛神の歌の人称
結び

第三章『古事記』『日本書紀』『風土記』の歌と散文叙述
1 『古事記』『日本書紀』の[歌と散文]――基礎的考察――
はじめに
『記』『紀』における[歌と散文]の関係
散文の音仮名表記と歌詞
散文の訓字表記と歌詞
歌の場面の漢語表記
結び

2 『古事記』の歌と宮廷史――歴史叙述としての歌――
はじめに
歌の情報をどうみるか
『古事記』の歌は宮廷歌曲か
なぜ反乱に関わる歌が多いのか
『古事記』は歌で何を表したか
結び

3 蜻蛉野遊猟歌と雄略神話――紀75に「口号」と記す意味――
はじめに
〈雄略天皇=神〉意識による雄略神話の表象
蜻蛉野遊猟歌と「蜻蛉島日本」
蜻蛉野遊猟歌の散文と「口号」
結び

4 『日本書紀』の歌と歴史叙述――顕宗即位前紀の「室寿」「歌」「誥」――
はじめに
顕宗即位前紀の構成
「室寿」「歌」「誥」の詞章と表記
『日本書紀』の韻文詞章
「室寿」「歌」と散文
二つの「誥」と散文
「室寿」「歌」「誥」と「嗣」の歴史叙述
結び

5 養老の文芸――「丹後国風土記」逸文の浦島子説話と和歌――
はじめに
「丹後国風土記」逸文の浦島子説話
漢文体の浦島子説話と和歌
浦島子歌群の表現とその類句・類歌
浦島子説話の享受と贈答・追和歌
結び

第四章『古事記』[歌と散文]の表現空間
1 『古事記』の[歌と散文]――歌の叙事の視点から――
はじめに
こは誰よめりともなし
「呉床」から「猪」へ
歌の中のもう一つの物語
結び

2 蟹の歌――応神記・日継物語の方法――
はじめに
応神記と「天津日継」
この蟹や何処の蟹
神女としての矢河枝比売
蟹の歌と散文の表現空間
宇遅能和紀郎子と日継物語
結びにかえて――再び『記』の日継物語

3 仁徳記の「高光る 日の御子」――「日継」と「日の御子」――
はじめに
仁徳記説話群の構成
「ほむたの 日の御子」から「高光る 日の御子」へ
雁の卵説話の日女島と「高光る 日の御子」
雁の卵説話から枯野説話へ
結びにかえて――[歌と散文]の表現空間

4 読歌と「待懐」「共自死」――『古事記』下巻の日継物語と歌――
はじめに
允恭記と「日継」
衣通王以後の構成
読歌二首の表現と「待懐」「共自死」
日継物語と「共自死」
結びにかえて――死のちから

5 置目来らしも――『古事記』の最終歌二首と日継物語――
はじめに
安康記以後の説話構成
忍歯王の歯
置目老媼の[歌と散文]のあいだ
顕宗・仁賢天皇の日継物語
結び

第五章『古事記』[歌と散文]の文体と成立
1 『古事記』『日本書紀』の歌の生態と記載――宮廷歌謡・歌曲から史書の歌へ――
はじめに
歌の注記
歌謡としての生態
宮廷史としての宮廷歌謡・歌曲
宮廷歌謡・歌曲と楽府
[歌と散文]による構成
歌と会話文
結び

2 『古事記』の文体――[歌と散文]の叙述法――
はじめに
漢字で書く和文の多様性
歌の一字一音表記
[歌と散文]の文体の基本的構造
[歌と散文]の独立性
散文中の一字一音表記の歌詞
一字一音表記の歌詞と散文の訓読
結び

3 『古事記』の成立――[歌と散文]の表現史――
はじめに
序文に記述する成書過程
「帝紀」「旧辞」と「帝皇日継」
阿礼の「誦習」と「未行其事」
「勅語旧辞」と安万侶の「撰録」
「日継」と「天神御子」「日神の御子」
「高光る 日の御子」「やすみしし 我が大君」と天武朝の天皇像
「高光る 日の御子」の[歌と散文]
結びにかえて――[歌と散文]の表現史

所収論文 初出一覧
あとがき
事項索引/歌番号索引

前書きなど

本書では、『古事記』(『日本書紀』も)の歌とその前後の散文の、一体性をもつ叙述に対して、特に括弧付きで[歌と散文]の語を用いる。[歌と散文]の関係は以前から問題にされてきた。両者のあいだに矛盾や齟齬があると、独立歌謡を説話に結合させたためとし、歌謡の本体探しが行われた。本書ではこの方法をとらない。
……[歌と散文]のあいだにはその緊密な関係や一体性によって、宮廷史の一場面が現前してくる。それを本書では[歌と散文]による表現空間の創出ととらえる。[歌と散文]の表現空間は、『古事記』という作品が意図して定着させた仕組みなのである。
――「はじめに」

著者プロフィール

居駒 永幸  (イコマ ナガユキ)  (

1951(昭和26)年 山形県村山市生まれ。
國學院大學大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。
2021(令和3)年 明治大学教授を定年で退任、現在、明治大学名誉教授。
専門分野 古代日本文学・日本民俗学。
2003(平成15)年 國學院大學より博士(文学)の学位授与。

主な著書
『古代の歌と叙事文芸史』(笠間書院、2003年。志田延義賞受賞)、『東北文芸のフォークロア』(みちのく書房、2006年)、『歌の原初へ 宮古島狩俣の神歌と神話』(おうふう、2014年。連合駿台会学術賞受賞)、『イギリス祭り紀行』(冨山房インターナショナル、2021年)

共編著
大久間喜一郎・居駒永幸編『日本書紀[歌]全注釈』(笠間書院、2008年)、原道生・金山秋男・居駒永幸著『古典にみる日本人の生と死』(笠間書院、 2013年)、古橋信孝・居駒永幸編『古代歌謡とはなにか』(笠間書院、2015年)、金山秋男編『日本人の魂の古層』(明治大学出版会、2016年)

上記内容は本書刊行時のものです。