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デジタル生存競争
誰が生き残るのか
原書: SURVIVAL OF THE RICHEST
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年6月30日
- 書店発売日
- 2023年6月30日
- 登録日
- 2023年4月29日
- 最終更新日
- 2024年9月26日
書評掲載情報
2024-09-08 |
岡田斗司夫ゼミ秋の読書特集
評者: 岡田斗司夫 |
2024-09-08 |
岡田斗司夫ゼミ
542 評者: 岡田斗司夫 |
2024-01-12 | 労基旬報 |
2023-10-10 |
週刊エコノミスト
10月10日17日 合併号 評者: 毎日新聞出版株式会社 週刊エコノミスト編集部 記者 北條一浩 |
2023-09-21 |
DIAMOND online
評者: 橘玲 |
2023-08-18 |
MITテクノロジーレビュー
評者: 田中恵子 |
2023-08-10 |
日本経済新聞
夕刊 評者: 評論家 速水健朗評論家 速水健朗 |
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重版情報
5刷 | 出来予定日: 2024-09-30 |
4刷 | 出来予定日: 2024-09-25 |
3刷 | 出来予定日: 2024-09-20 |
2刷 | 出来予定日: 2023-09-01 |
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好評につき重版中 岡田斗司夫ゼミ秋の読書特集で紹介されました。 |
紹介
環境破壊、社会不安、まん延するウィルス、すべてを停止させるコンピューター侵入。世界の億万長者は、自分で起こした現実からひたすら逃れることを考えます。技術開発は、集団的な繁栄を目指すものでしたが、富の蓄積は個人的な生き残りを図るものになりました。批判的であるはずのメディアは、市場感覚に圧倒されて屈服しています。自分だけが生き残る十分な資金を稼ぐ......うまく稼げたら勝利か? それは自分の排ガスから逃れるために高速で走る自動車をつくっているようなものです。このような勝手な考え・思いこみを『マインドセット』といいます。
闘わなければなりません。どうすればいいのか? 何もわからないほどに、私たちはデジタルにまみれ、自分自身を失っています。
ダグラス・ラシュコフは語ります――利己的な世界を超えて、コミュニティ、人間の相互扶助を取り戻せ、と。
この本を読み、今の自分と照らし合わせてみてください。すべて消耗品とされた私たち自身の防御がそこから始まります。
目次
1.隔離の方程式 億万長者の防空壕戦略
2.合併と買収 常に出口戦略が必要
3.母の子宮に戻りたい テクノバブルに包まれた安全
4.ダムウェイター効果 見えないものは忘れられる
5.利己的な遺伝子 道徳よりも科学主義
6.全速力で前進 非人間化と支配と収奪
7.指数関数的成長 行き詰れば別次元のメタへ
8.説得的技術 ボタン一つで彼らを消せるなら
9.「バーニングマン」 からの展望 私たちは神のように
10. グレートリセット 世界を救うために資本主義を救う
11. 鏡に映った「マインドセット」 抵抗してもムダだ
12. コンピューター的因縁 自業自得
13. パターン認識 全ては元に戻る
前書きなど
はじめに
「マインドセット」との出会い
❖豪華なリゾートでの講演
超豪華なリゾートに招待されて、講演を依頼されました。私の想像では、100人ほどの投資銀行家が対象なのだろうと思いました。その謝礼は今までに頂いたことがある講演料よりもはるかに大きい金額で、公立大学教授としての私の年収の約3分の1に達するほどでした。「テクノロジーの未来」に関する見通しについて話すというものです。
私は、デジタル技術が人間の生活に与える影響について本を書いている人文科学者ですが、よく未来学者と間違われます。未来について、しかも富裕層に向かって話をするのは、私の好みではありません。質疑応答は、必ず言葉遊びゲームのようになってしまいます。AI、ⅤR、CRISPRなど、証券市場のティッカーシンボル(銘柄記号)みたいな最新技術のバズワード流行語について、私の見解を求められます。聴衆が関心を持っているのは、その技術のしくみや社会に対する影響ではなく、その技術に投資すべきかどうかの二者択一ですから、私には不適任です。しかし、お金がモノを言います。私はこの仕事を引き受けました。
移動はビジネスクラスの飛行機でした。機内では、ノイズキャンセリングヘッドホンを貸してくれたり、温めたミックスナッツを出してくれたりしました(そう、ナッツを温めているのです)。そして、私は、MacBookを使って講演の構成を考えました。成長重視の収奪的な資本主義ではなく、デジタルビジネスにもっと力を注ぐことによって、循環経済の原理を発展させることができまするはずです。しかしこのとき、私の言葉が持つ倫理的価値も、航空券と一緒に購入したカーボンオフセットも、今、私が行っている環境破壊の埋め合わせにはならないことを感じてつらい気分でした。この飛行機の下に見えている人々や土地を犠牲にして、私は住宅ローンや娘の奨学金を返済するための資金を得ようとしているのです。
空港にはリムジンが待っていて、すぐに砂漠のリゾートへ向かって走り出しました。私は、運転手との会話を試みて、この地方で活動しているUFOを信じる宗教について、あるいは、狂乱状態のニューヨークとは違ってまるで違う荒涼としたこの地形の美しさについて話しました。このようにリムジンの後部座席にいつも座っている人々とは違う種類の人間なのだと運転手にわかってもらおうとしていたのです。運転手も逆の立場で同じことを考えていたようで、自分はフルタイムの運転手ではなく、「タイミングの悪い取引」を何度か経験して運が傾いてきたデイトレーダーであると打ち明けました。
太陽が地平線に沈み始めたころ、すでに3時間もこの車に乗っていることに気が付きました。いったいどのような金持ちのヘッジファンドの人たちが、空港からこんなに遠い場所まで会議のためにやってくるのでしょうか。そのとき、見えました。高速道路の隣に並行して私たちと競争しているかのように、小型ジェット機がプライベート飛行場に着陸しようとしていました。もちろん、そうですよね。
次の絶壁を通り過ぎたところに、今まで見たことのないほど豪華な、しかし隔離された場所がありました。とにかく何もない土地の真ん中にあるリゾートアンドスパ温泉つきリゾートです。果てしない砂漠に面した大きな岩の構造物に囲まれて、現代的な石とガラスの彫刻が点々と置かれています。チェックインする間、接客係以外の人は誰も見かけませんでした。そして、私が宿泊する個人用「パビリオン」にたどり着くのに、地図を見なければなりませんでした。そこには私専用の露天風呂が付いていました。
翌朝、おそろいのパタゴニアのフリースを着た二人の男がゴルフカートで迎えに来て、岩や木々の間を通って会議場へ連れて行ってくれました。「ここでコーヒーを飲みながら準備してください」と言って、控室と思われる場所に私を残していきました。しかし、マイクを身に付けたり、舞台へ案内されたりするのではなく、この部屋に聴衆が入ってきました。彼らは、テーブルのまわりに座って、自己紹介をしました。5人の極めて裕福な人たち、全て男性で、IT投資とかヘッジファンドの世界で上層部にいる人々です。少なくとも、そのうちの二人は10億ドル以上の資産をもつ大金持ちです。ちょっと雑談をしているうちに、彼らは、私が用意してきたテクノロジーの未来には全く興味がないことがわかりました。彼らは質問をするために来ていたのです。
やはり予想どおりの質問を始めました。ビットコインか、イーサリアムか? 仮想現実か、拡張現実か? 量子コンピューターを最初に実現するのは、中国か、グーグルか? しかし、彼らは、あまり理解できていないようです。そこで、私がブロックチェーンにおけるプルーフ・オブ・ステークとプルーフ・オブ・ワークのそれぞれの利点について説明しようとした途端に、彼らは次の質問に進んでしまいました。彼らは、私をテストしているように思えてきました。私の知識ではなく、善悪に対する良心のとがめそうした最新の技術についての私の「良心」をテストしているようです。
版元から一言
2024年9月8日 岡田斗司夫ゼミ 秋の読書特集にて
「デジタル生存競争」が紹介されました。
https://www.youtube.com/watch?v=kpilGOYXuNM
関連リンク
https://store.voyager.co.jp/special/teamhuman
https://store.voyager.co.jp/special/pobp
上記内容は本書刊行時のものです。