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英文翻刻・注釈版 駐日英国公使パークス・英国外務次官ハモンド往復私信 幕末期編
Private Correspondence between Sir Harry Parkes and Edmund Hammond, 1865-1868
- 初版年月日
- 2018年10月23日
- 書店発売日
- 2018年10月25日
- 登録日
- 2018年10月22日
- 最終更新日
- 2018年10月22日
紹介
初代英国駐日公使オールコックの後任として1865年に来日したサー・ハリー・パークスは、駐日英国公使・大使として今日まで最長となる18年間その職を務め、幕末・維新期の日本と西洋の最前線で活躍した最重要人物の一人です。アーネスト・サトウ、アストン、ミトフォードといった優秀な書記官を部下にもったパークスは、幕府内外から広く情報を収集、中立を保ちながらも、薩長や討幕側と通じることにより新政府の樹立に影の指導力を発揮、英国からの強い影響のもとで明治日本が始動することになります。
本資料は、そのパークスが英国外務省高官らとで交わした非公式な書簡類を翻刻出版するシリーズの第1巻で、英国公文書館に所蔵されている、当時の外務事務次官エドムンド・ハモンドとで交わした幕末期の往復書簡全点を収録、さらに一部関連文書中の書簡も補足、編者による詳しい注釈を付しています。(英国公文書館の該当資料ファイルは「ハモンド文書」として知られますが、この文書については佐野真由子氏の推薦文をご参照ください。)
パークスは外務省宛の公式報告とは別に、信頼する高官ハモンドへ数多くの私信を送り、その時々の個人的な意見や気持ちを率直に伝えています。その内容は日本国内の政治状況や展望、政治家の人物評といった政治・外交問題から、日本での生活から受けるストレスといった私的なものも含まれ、ハモンドは誠実にそれらに返信しています。
公的な資料とは異なる外交史の側面に加え、後に日本アジア協会の会長も務めるパークスの日本や日本の近代化に対する様々な思いもここから読み解くことができる貴重な資料です。 明治150年を迎える今日、幕末・維新史、日英外交・交流史研究に新たな視座をあたえる本書簡集を是非今後の研究・教育に利用ください。
前書きなど
19世紀外交に関する宝庫中の宝庫 ―「ハモンド文書」について
佐野真由子(京都大学)
エドムンド・ハモンド(1802‐1890)は、19世紀イギリス外交、とりわけアジアへの展開を担った最重要の人物と言ってよい。高名な外交官を父に持つエリート官僚として外務省の中枢を歩み、1840年代からは、中国やロシア、中東・北アフリカなどを所管する部門を統括。1854年に外務事務次官の地位に就いたのちも、アジア方面の主要な政策課題について実質的な決定者であり続けた。それはほかでもない、「対日外交」という領域が新しく登場した時期でもある。
これらの地域に駐在する歴代のイギリス代表らは、公式文書とは別に何か伝えたい事情、率直に訴えたい問題を抱えたとき、ハモンドに私信を宛てた。ハモンドは直接返書を記すだけでなく、国内の高官と私信を交わして解決策を探ることもあった。そうしたハモンドの私文書・準公文書からなる “Hammond Papers”(FO391)は、イギリス国立公文書館(The National Archives)が所蔵する膨大な外務省 (FO) 文書のなかでも、19世紀外交に関する宝庫中の宝庫である。
にもかかわらず、「ハモンド文書」はこれまでの研究上、「日本」「中国」など国名で管理される外務省の公文書群と比べると、十分に活用されてきたとは言い難い。このたび、明治維新を挟む数年間にハモンドと駐日公使パークスとの間で往復した私信について、FO391外からも補完しつつ、翻刻出版が手がけられるという。直接その時期の日英関係研究に資することはもとより、「ハモンド文書」の重要性、さらには外交史研究においてこのような私文書を併せ読むことの意義がより広く共有されるうえで、大変貴重な一歩である。
追記
●シリーズ今後の刊行予定
Volume II: Private Correspondence between Sir Harry Parkes and Edmund Hammond, 1869-1873
『駐日英国イギリス公使パークス・英国外務次官ハモンド往復私信 明治初期編』
2019年刊行予定|ISBN:978-4-86166-207-2
Volume III: Private Correspondence between Sir Harry Parkes and Lord Tenterden, 1873-1878
『駐日英国イギリス公使パークス・英国外務次官テンタデン卿往復私信 明治初期編』
2020年刊行予定|ISBN:978-4-86166-208-9
Volume IV: Private Correspondence between Sir Harry Parkes and Lord Tenterden and Sir Julian Paunceforte, 1878-1883
『駐日英国イギリス公使パークス・英国外務次官テンタデン卿&ポンスフォート卿往復私信 明治初期編』
2021年刊行予定|ISBN:978-4-86166-209
上記内容は本書刊行時のものです。