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現代の道具のブツリ
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2026年1月29日
- 書店発売日
- 2026年1月29日
- 登録日
- 2025年11月26日
- 最終更新日
- 2026年6月22日
重版情報
| 2刷 | 出来予定日: 2026-06-04 |
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紹介
私たちの生活をとりまく便利な道具と目に見えない力。
そこには光、音、熱、波、粒の世界がある。
知れば知るほど暮らしがもっと「愉快」になる!
型破りで、親しみやすい、物理学の副読本。
待望の『道具のブツリ』第2弾!
テーマは、現代の暮らしを支える道具たち。
冷蔵庫、スマホ、時計、日傘、体温計、電子レンジ……。
本書では、電磁波から放射線、原子や電子の世界まで、
「目に見えない力」をあつかう25個の道具のブツリを紹介します。
見えない体の中を覗くX線、水分子を揺らして温める電子レンジ、
気化熱で冷やし続ける冷蔵庫、300億年に1秒しか狂わない時計……etc.
見たいものを見たい、より美味しく食べたい、外部の脅威から身を守りたい――。
そうした人間の欲望から生まれた生活道具を、
「みる」「つたえる」「たべる」「ふせぐ」「はかる」の5つの章に分け、
物理を専門とする教師ふたりが、道具とブツリの面白い関係について語ります。
難しい公式や計算はいっさい出てきません。
一見すると「複雑でしょ」と思われがちな道具も、
そのしくみを解きほぐせば、素朴な「物のことわり(自然法則)」が潜んでいるものです。
前作『道具のブツリ』の仕様はそのまま!
パタンと勢いよく開くコデックス装、開くと正方形になる縦長の判型、
色やテクスチャを版画のように重ねた大塚文香さんの挿絵も、
ページ数増量でお愉しみいただけます。
目次
もくじ
まえがき
みる道具
懐中電灯 電気の力で光を得る
鏡 見えない視界を映す
眼鏡 小さなものを拡大して見る
望遠鏡 はるか遠くのものを見る
X線 電磁波で体の中を覗く
つたえる道具
防犯ブザー 電気で大きな音を出す
聴診器 体の中の音を聴く
イヤホン 聴きたい音だけを聴く
電話 遠くの人に声を届ける
スマホ 無線で遠くまで情報を伝える
たべる道具
マッチ すばやく摩擦熱で火をつける
フライパン 食材を温める熱の伝え方
土鍋 熱の放射でじっくり温める
冷蔵庫 気化熱で冷やし続ける
電子レンジ マイクロ波をあてて温める
ふせぐ道具
日傘 紫外線から身を守る
雨傘 水分子の侵入を防ぐ
スキーのゴーグル 偏光から目を守る
温冷グッズ 体の温度変化を防ぐ
X線の防護エプロン 放射線を防ぐ素材
はかる道具
はかり 変わらない重さをはかる
ものさし 光の速度で長さを定める
時計 正確に時を刻むために
体温計 体の温度をはかる
パルスオキシメーター 体を傷つけずに測定する
Column
でんきちゃんの1日
光を集めるとより明るくなる
なぜスプーンを近づけると像は反転するの?
「見える」範囲は拡大している
ワニの鳴き声は「声」か「音」か?
遠くの音がよく聞こえるのはなぜ?
どうしてサウナでやけどしないの?
温度の下限と上限はどこまで?
熱圏では何が起きている?
偏光板を使った3Dメガネ
ハクキンカイロの思い出
あとがき
前書きなど
本書でとりあげた道具は、昔ながらのものもありますが、多くは第二次世界大戦後めざましく発展した道具ばかりです。「もはや戦後ではない」といわれた高度経済成長の真っただ中に生まれ育った筆者ふたりは、その発展をつぶさに見てきました。
いちばん印象深いのは電話の変遷です。今では、ほとんどの人が自分専用のスマホを持っていて、いつでも誰とでも直接繋がることができますね。しかし、かつてはそうではありませんでした。
新しもの好きの父はいち早く家に電話を設置しました。1960年代、1回目の東京オリンピックのころです。私の記憶にあるいちばん古い電話機は、ダイヤルのない黒電話でした。ダイヤルがなくてどうやって電話をかけるの? と思われるかもしれませんが、横にハンドルがついていて、電話をかけたいときは、そのハンドルをぐるぐる回して交換手を呼び出し、相手の番号を告げて繋いでもらうのです。けれども、滅多に使うことはありませんでした。当時、ダイヤルのない黒電話は、一般家庭にはほとんど普及しておらず、熱を出してお医者さんに往診を頼みたいときや酒屋さんに配達を依頼したいときしか、かける相手がいなかったからです。
それでも、ダイヤル式の電話が世に出るころには、話す相手が増えました。その後はあれよあれよです。数字のボタンを押すプッシュホン式の電話が発売され、ひとつの電話回線を複数の電話機で使うことのできる親子電話が生まれ、ファックス機能がつき、そして携帯電話が普及して、ひとり1台スマホをもつ時代になりました 。固定電話は、今も仕事場では欠かせない存在ですが、家庭では影が薄くなりつつあります。
めざましく発展してきた現代の道具には、さぞかしむつかしい現代物理学が使われているのだろうと思われるかもしれません。けれども、そもそもブツリの世界には「古典物理学」と「量子力学」という2分野しかなく、現代物理学という表現は存在しないのです。「古典」というと、ガリレオやニュートンの時代のブツリをイメージされるかもしれませんが、古典物理学とは「古い」という意味ではありません。私たちが日常で見聞きする現象、たとえば、この本で取り上げた道具(望遠鏡や電子レンジなど)が扱う現象を研究対象とする、今も現役のブツリなのです。温故知新(故きを温ねて新しきを知る)という言葉がありますが、ブツリの世界では、この「故き」は違った意味になるのですね。したがって近代のマクスウェルの電磁波理論も、アインシュタインの相対性理論も、古典物理学に含まれます。
いっぽう量子力学は、原子のような小さすぎて目に見えない世界や、宇宙のような逆に遠すぎて見えない世界が対象です。こうした世界では「電子」と「光」が主役になります。古典物理学が適用できない場面があるため、古典物理学では‟波“として扱う光を‟粒子”として考えたり、同じく古典物理学では‟粒子”とする電子を‟波”としてとらえたりします。これが量子力学です。
ということで、日常で使う道具を支えているのは、古典物理学です。「古典」といっても昔懐かしのものではなく、今もなお、そしてこれからも、さまざまな分野のめざましい研究開発を促す、素晴らしい理論です。そんな古典物理学の魅力をみなさんに伝えたいと思うのです。そして、せっかくですから、量子力学のちょっとしたフレバーも味わっていただける内容になっています。
さいごに、今作と前作『道具のブツリ』で大きく違う点があります。前作では、ざるやハサミなど、名もなき人の名もなき努力によって研鑽されてきた道具がほとんどでした。今作では現代の道具だけに関わった人物が分かります。そこで発明者や関わった人物の名前をできるだけ挙げています。紙面の都合上、名前だけにとどまっていますが、それぞれの道具の発明、開発に壮大なドラマがあったに違いないので、ぜひ調べたり想像したりしてみてください。とくに電話の発明者のエピソードはあまりに素敵だったので、詳しく書かせていただきました。
タイトルの「ブツリ」は学問としての物理をもっと身近に、気軽に、おしゃれに楽しんでいただきたいという思いから名づけたものです。ですから、物理はむずかしいからと敬遠せず、どうか肩の力を抜いて、 温故知新の「現代の道具のブツリ」をお楽しみください。
田中幸
版元から一言
前作「道具のブツリ」は発売後3週間で重版が決定、現在3刷と売れ続けています。前作の「道具のブツリ」では、はさみやスプーンなど古代から変わらない道具のデザインに注目しました。今作「現代の道具のブツリ」では、現代の暮らしを支える、電化製品など身近だけどその仕組みがあまり知られていない道具をメインに紹介します。「電磁波」「放射線」というと難しそうと思われるかもしれませんが、とっつきにくい分野だからこそ、可愛くやさしくお洒落な本で楽しんでいただけたらと思います。
上記内容は本書刊行時のものです。




