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インド古典音楽入門 プラバー・アトレ(著) - スタイルノート
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インド古典音楽入門 (インドコテンオンガクニュウモン) ヒンドゥスターニー古典声楽の世界 (ヒンドゥスターニーコテンセイガクノセカイ)
原書: Enlightening the Listner

芸術
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A5判
368ページ
並製
定価 5,000 円+税   5,500 円(税込)
ISBN
978-4-7998-0227-4   COPY
ISBN 13
9784799802274   COPY
ISBN 10h
4-7998-0227-5   COPY
ISBN 10
4799802275   COPY
出版者記号
7998   COPY
Cコード
C1073  
1:教養 0:単行本 73:音楽・舞踊
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2026年4月28日
書店発売日
登録日
2026年3月27日
最終更新日
2026年4月22日
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紹介

本書は、北インド古典音楽の第一人者である声楽家・音楽学者プラバー・アトレが、リスナーのためにその魅力と聴き方をわかりやすく語った一冊です。ラーグやタールといった基礎概念から、バンディッシュ、アーラープ、ターン、サルガムなど演奏を形づくる要素までを、専門用語に偏りすぎず実践的に解説。音楽家が舞台上でどのように即興を組み立て、音に生命を吹き込んでいくのかが具体的に伝わってきます。さらに、キヤール、トゥムリー、ガザル、映画音楽など多様なジャンルを比較しながら、伝統と革新の関係、教育や批評のあり方、現代社会におけるインド音楽の可能性にも踏み込んでいます。古典音楽を遠い存在としてではなく、今を生きるダイナミックな芸術として捉え直し、演奏者と聴き手が豊かな音楽体験を共有するための道筋を示す、実践的で刺激に満ちた入門書です。

目次

訳者まえがき
序文

■第1章:音楽をつくる
現代における演奏/インド音楽の基本要素/ラーグ(raag)とタール(taal)/ラーグ/タール/表現し連結する音/声楽における音楽の素材/器楽における音楽の素材/ガート(ghaat)/バンディッシュ(bandish)/バンディッシュのテーマ/バンディッシュに見るガート展開/インド音楽の分類/古典音楽の音楽形式/キヤールのガラーナー(gharaanaa)/キヤールのガート/ライトクラシカル・ミュージックのガート/ライト・ミュージックと視覚音楽のガート/声楽のための伴奏楽器/舞台設置―演奏者とリスナー/器楽/いろいろな楽器/旋律楽器の独奏/リズム楽器:独奏/コンサートでの演奏の順序
■第2章:ヒンドゥスターニー音楽とカルナータク音楽
■第3章:インド古典音楽における即興性
■第4章:バンディッシュ
■第5章:キヤールにおけるバンディッシュの役割
声楽における音楽の素材
■第6章:バンディッシュ―音楽の素材
■第7章:キヤールにおけるタールの役割
■第8章:ラーグ・ラス、ラーグ・サマイ
ラーグ・ラス(情感)/ラーグ・サマイ(時間)
■第9章:サルガム、音楽の素材として
階名の略語/サルガムとボル/サルガムと、アーラープ、ターン/サルガムとボル/リズム要素/音楽的な意味/インド古典声楽の美学
■第10章:キヤールと近代化
背景/伝統/リスナーの貢献/キヤール/ラーグとタール/ヴィランビット・キヤールのバンディッシュ―短縮されるスターイー/サルガム/科学技術の進歩/マイクロフォン―音声拡張による影響/映画音楽/器楽/カルナータク音楽/ガート/西洋音楽/まとめ
■第11章:抽象化へ向かうトゥムリー
音楽の素材/声楽のガート、ラーグと言葉/ガート・トゥムリー/トゥムリーの歌詞とそのあつかい/ライトクラシカルにおけるガート/タール/純粋な音楽の素材の使用―アーラープ、ターン、サルガム
■第12章:ガザル、音楽の旅
■第13章:映画音楽―インド製ハーモニー
■第14章:音楽製作
■第15章:インドにおける音楽教育機関
目標/現在の状況・いくつかの問題点/概要および方法/まとめ
■第16章:カリフォルニア大学での学びと指導
民族音楽学/海外訪問の目的/カリフォルニア大学ロサンゼルス校の音楽学部/コースの聴講/学生/教員/活動内容/ヒンドゥスターニー古典声楽/
■第17章:音楽評論
■第18章:インタビュー×100

訳者あとがき
索引

前書きなど

訳者まえがき
 
本書は、Dr. Prabha Atre(2nd Ed. B.R. Rhythms 2016)『Enlightening the Listener~Contemporary North Indian Classical Vocal Music Performance』の翻訳である。

カタカナ、英語表記について
 原著はヒンドゥスターニー古典音楽(北インド古典音楽)について英語で書かれたものであり、序文にある通り、音楽専門用語はインドで実際に用いられている発音に基づき、人名や固有名詞などは慣用表記によって示されている。本書でもこの原著者の方針に倣い、音楽用語およびラーグ名には、長母音をaaやeeで表す「実用式ローマ字」に基づいたカタカナ表記を採用した。すべての用語は初出時に、カタカナ表記の後に丸括弧でアルファベット文字を併記している。
 ただし、これらの専門用語の綴りや発音には地域差による揺れが存在する。とくに本書のアルファベット表記の方針に一貫性がない場合があるが、これはマハーラーシュトラ州出身の音楽学者・ヒンドゥスターニー古典声楽家である原著者プラバー・アトレによる発音と表記判断に基づくものである。本書ではその意図を尊重し、原著におけるアルファベット表記を可能なかぎり保持した。その揺れには一定の傾向が認められるため、下表に整理した。
 いっぽう、カタカナ表記については、デーヴァナーガリー表記と実際の発音を基準とし、原著者との協議のうえで、日本語として自然でありつつも発音に忠実な形を採用した。とくに語末処理では、母音記号を伴わない語(例:「रााग(raag)」「तााल(taal)」)は「ラーグ/タール」とし、「आराोह(aaroh)」「नाद भेद(naad bhed)」など原著のアルファベット表記で母音を省略しているものも、「アーロハ」「ナーダ・ベード」とした。これらの方針は、発音への忠実性と日本語としての自然さの両立を意図している。
 アルファベット表記に見られる揺れは、すべてヒンディー語の発音に則ったものである。ヒンディー語などで用いられるデーヴァナーガリー文字とローマ字では、文字数や音の対応関係が完全には一致しないため、ローマ字だけで正確に音を表すことはできない―これは原著者の方針によるものである。本書の翻訳においても、その方針を尊重し、学術的な統一よりも、原著者およびインドの音楽家たちの実際の発音や用法を重視した。インドでは、表記の揺れは個人の発音、地域差、あるいは流派の伝統に由来する自然なものであり、それを完全に排除することは音楽の多様性を損なうと考える。
 なお、日本で一般的に用いられている簡易ローマ字表記やカタカナ表記と異なる場合がある。そのような場合には、初出時に脚注を付して慣用表記を補足した。例:ラーグ(raag)[脚注:慣用表記 raga/ラーガ]、キヤール(khyaal)[脚注:慣用表記 khayal/カヤール、ハヤール]。
 また、本書に登場する一部のラーグ名は、通称とは異なる呼び名を用いており、それは原著者の解釈によるものである。それらの名称についても初出時には、原著でのアルファベット表記とともにカタカナによる通称名を括弧内に併記した。例:カリヤーン(kalyaan/ヤマン)、サーラング・カリヤーン(saarang kalyaan/シャーム・カリヤーン)。ヒンドゥスターニー古典声楽においては、言語のイントネーションや音韻感覚への繊細な意識が学習過程で極めて重要である。本書では、従来の慣用的な日本語表記に依拠するのではなく、原語の音声的特徴に近い形で表記を統一することを意図した。(後略)

版元から一言

本書は、北インド古典音楽を単なる異文化の知識としてではなく、いま生きている芸術として捉え、その魅力と本質に近づくための一冊です。ラーグやタールといった基本概念、即興がどのように組み立てられるのか、演奏家が舞台上で何を考え、どのように音楽を立ち上げていくのか。本書は、そうした問いに対して、第一線で活躍してきた音楽家ならではの具体性と説得力をもって解説します。
本書の大きな魅力は、難解な理論書にとどまらず、聴き手の体験を豊かにする実践的な視点に貫かれていることです。古典声楽の代表的な形式だけでなく、トゥムリー、ガザル、映画音楽、さらには南インド音楽との比較にも目を配り、伝統と革新、純粋性と大衆性といった問題にも正面から向き合っています。そこには、過去を守るだけではなく、変化する時代の中で芸術をどう生かしていくかという、普遍的な問いが息づいています。
また、教育や批評のあり方、演奏者と聴衆の関係にまで論が及ぶことで、本書は単なるインド音楽の入門書を超え、音楽文化そのものを考えるための示唆にも満ちています。インド音楽に初めて触れる方には確かな道案内として、すでに関心を持つ方には理解をさらに深める書物として、広くおすすめしたい一冊です。耳を澄ませ、音楽に接するよろこびを、本書を通してぜひ味わっていただければと思います。

著者プロフィール

プラバー・アトレ  (プラバー アトレ)  (

インド・マハーラーシュトラ州プネー生まれ。ヒンドゥスターニー古典音楽の主要流派であるキラーナー・ガラーナーを代表する声楽家。Pt. スレシュバーブ・マーネおよびヒーラーバーイ・バロデカルに師事し、キヤールを中心に、トゥムリーやダードラーなど幅広い形式を探究した。演奏家としての活動にとどまらず、多くの作曲を手がけ、音楽に関する著述も多く、教育にも力を注いだ。思想家・改革者としての側面も持ち、インド古典音楽を海外へ広く紹介する先駆者でもあった。その卓越した業績により、インド政府からパドマーシュリー、パドマーブーシャン、パドマーヴィブーシャンを授与されるなど高い評価を受けた。生涯を通じてヒンドゥスターニー古典音楽の継承と発展に大きく寄与し、次世代にも深い影響を与え続けた。

根岸 史絵  (ネギシ フミエ)  (

1997年インド旅行中、リシケーシュにおいて、インド音楽に出会う。2005年プラバー・アトレに声楽を師事、本格的にヒンドゥスターニー古典声楽を学び始める。2015年からICCR、インド文化関係評議会からの奨学金を取得、プラバー・アトレの主催するスワルマイー・グルクルに在籍、師の元で学ぶ。現在インド、マハーラーシュトラ州プネーに滞在。

上記内容は本書刊行時のものです。