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奨学金なんかこわくない! 栗原 康(著/文) - 新評論
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奨学金なんかこわくない! (ショウガクキンナンカコワクナイ) 『学生に賃金を』完全版 (ガクセイニチンギンヲカンゼンバン)

社会一般
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発行:新評論
四六判
272ページ
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-7948-1149-3   COPY
ISBN 13
9784794811493   COPY
ISBN 10h
4-7948-1149-7   COPY
ISBN 10
4794811497   COPY
出版者記号
7948   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年4月
書店発売日
登録日
2020年2月7日
最終更新日
2020年3月20日
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書評掲載情報

2020-06-06 東京新聞/中日新聞  朝刊
評者: 岡田憲治(専修大学教授)
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紹介

 大学に将来はない。いま死んでもいい。いまこの一瞬だけを永遠に繰り返していたい。これを読んだら死んでもいい、そんな本にであってみたい。これをやったら死んでもいい、そんなセックスをしてみたい。人間にとって、それ以上にだいじなことはあるだろうか。TIME GOES AROUND 愛を握りしめ、TIME GOES AROUND おまえを放さない。
 ふだん、わたしたちは将来に飼いならされている。よりよくなれ。みんなからもっと使えるやつだとおもわれたい。でもそれがあたりまえになってしまうと、たとえ死ぬほどツライ目にあったとしても、いまはガマンだと耐え忍んでしまう。メンタルを病んでも、体を壊しても。
 だが、いちどでもいい。永遠のいまを感じたことがあるならば、身体が勝手にうごきだす。みんなにどうおもわれるかなんて関係ない。やるならいましかない、いつだっていましかない。スマホを地面に叩きつけ、未知の彼岸で踊りだす。
 大学無償化とは、この将来でがんじがらめの世のなかで、たった四年間でもいい、いまを生きる機会をつくりだそうというものだ。授業料は全員タダ。全員に生活費がくばられる。みんなそうだから負い目なんて感じない。
 日本の大学はこれに逆行することばかりやってきた。高い学費、奨学金で借金漬け。カネをだしてくれたひとに恩を感じさせ、それに報いることを意識させる。いま政府が「無償化」を謳っているのも同じことだ。一、二割の貧しい世帯だけにカネをだし、かれらに極度の負い目をうえつける。お世話になったみなさんのためにも、将来、立派な人間になりましょう? 封建かよ。
 偽りの「無償化」はもうたくさん。学費は高いぞ。奨学金は借金だぞ。借金のとりたてはきびしいぞ。そろそろ、将来のくびきを断ち切って、真の無償化をかちとろう。学費はゼロ。奨学金なんてこわくない、返さなくてもいいのなら。逃げろ。この腐った世界から転がっていこうぜ。いまが最高!(くりはら・やすし)

著者プロフィール

栗原 康  (クリハラヤスシ)  (著/文

1979年生まれ。作家、政治学者、大学非常勤講師(専門:アナキズム研究)。早稲田大学大学院政治学研究科博士後期課程満期退学。白石嘉治との共著『文明の恐怖に直面したら読む本』(Pヴァイン)、『執念深い貧乏性』(文藝春秋)、『アナキズム』(岩波新書)など著書多数。

上記内容は本書刊行時のものです。