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奨学金なんかこわくない!
『学生に賃金を』完全版
- 初版年月日
- 2020年4月
- 書店発売日
- 2020年4月8日
- 登録日
- 2020年2月7日
- 最終更新日
- 2020年3月20日
書評掲載情報
2020-06-06 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 岡田憲治(専修大学教授) |
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紹介
大学に将来はない。いま死んでもいい。いまこの一瞬だけを永遠に繰り返していたい。これを読んだら死んでもいい、そんな本にであってみたい。これをやったら死んでもいい、そんなセックスをしてみたい。人間にとって、それ以上にだいじなことはあるだろうか。TIME GOES AROUND 愛を握りしめ、TIME GOES AROUND おまえを放さない。
ふだん、わたしたちは将来に飼いならされている。よりよくなれ。みんなからもっと使えるやつだとおもわれたい。でもそれがあたりまえになってしまうと、たとえ死ぬほどツライ目にあったとしても、いまはガマンだと耐え忍んでしまう。メンタルを病んでも、体を壊しても。
だが、いちどでもいい。永遠のいまを感じたことがあるならば、身体が勝手にうごきだす。みんなにどうおもわれるかなんて関係ない。やるならいましかない、いつだっていましかない。スマホを地面に叩きつけ、未知の彼岸で踊りだす。
大学無償化とは、この将来でがんじがらめの世のなかで、たった四年間でもいい、いまを生きる機会をつくりだそうというものだ。授業料は全員タダ。全員に生活費がくばられる。みんなそうだから負い目なんて感じない。
日本の大学はこれに逆行することばかりやってきた。高い学費、奨学金で借金漬け。カネをだしてくれたひとに恩を感じさせ、それに報いることを意識させる。いま政府が「無償化」を謳っているのも同じことだ。一、二割の貧しい世帯だけにカネをだし、かれらに極度の負い目をうえつける。お世話になったみなさんのためにも、将来、立派な人間になりましょう? 封建かよ。
偽りの「無償化」はもうたくさん。学費は高いぞ。奨学金は借金だぞ。借金のとりたてはきびしいぞ。そろそろ、将来のくびきを断ち切って、真の無償化をかちとろう。学費はゼロ。奨学金なんてこわくない、返さなくてもいいのなら。逃げろ。この腐った世界から転がっていこうぜ。いまが最高!(くりはら・やすし)
上記内容は本書刊行時のものです。