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傷つきやすいアメリカの大学生たち ジョナサン・ハイト(著/文) - 草思社
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傷つきやすいアメリカの大学生たち (キズツキヤスイアメリカノダイガクセイタチ) 大学と若者をダメにする「善意」と「誤った信念」の正体 (ダイガクトワカモノヲダメニスルゼンイトアヤマッタシンネンノショウタイ)

社会一般
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発行:草思社
四六判
464ページ
定価 2,800円+税
ISBN
978-4-7942-2615-0   COPY
ISBN 13
9784794226150   COPY
ISBN 10h
4-7942-2615-2   COPY
ISBN 10
4794226152   COPY
出版者記号
7942   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2022年12月5日
書店発売日
登録日
2022年11月8日
最終更新日
2023年12月21日
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書評掲載情報

2023-01-21 日本経済新聞  朝刊
評者: 渡辺靖(慶應義塾大学教授)
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紹介

暴力を伴う講演妨害、教授を糾弾し罵倒……
キャンセルカルチャーやポリコレ問題の背景を知るための必読書。
全米ベストセラー、待望の邦訳!

〈内容より〉
「不快」を理由とする講演妨害が横行
言葉尻を捉えて教員を糾弾、辞職へ追い込む
大学教員の政治的多様性が低下。左に偏向
未熟で脆弱、不安・うつが多い「Z世代」
親はすべてを危険と捉え過保護に育ててきた
大学が極端な市場重視に。学生はお客様扱い

立場の異なる論者の講演に対し、破壊と暴力をともなう激しい妨害を行う学生たち。
教員の発言の言葉尻を捉えて糾弾し、辞任を求める激しいデモを展開。
さらには教授や学部長、学長までを軟禁し、暴言を浴びせる――。
アメリカの大学で吹き荒れるこれら異常事態の嵐は、Z世代の入学とともに始まった。
彼らはなぜ、そのような暴挙を振るうのか?
言論の自由・学問の自由を揺るがす現象の実態と背景、
さらには対策までを示して高く評価された全米ベストセラーがついに邦訳。
キャンセルカルチャー、ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)問題を知るための必読書。

目次

はじめに
3つのエセ真理を広める神
なぜこの本を書こうと思い立ったか
原書が刊行された2018年までの3年間の激動
原書タイトルの「甘やかされた」に込めた意味
本書の概要

第1部 3つのエセ真理とその弊害

第1章 脆弱性のエセ真理:困難な経験は人を弱くする
ピーナッツアレルギーのパラドックス
困難に学び適応し成長する力=反脆弱性
「危険」や「トラウマ」という言葉の意味の拡大
討論会のために用意された「セーフスペース」
iGen(=Z世代)とともに安全イズムが広まった
まとめ

第2章 感情的決めつけのエセ真理:常に自分の感情を信じよ
自分の感情を過信すると不安は増幅する
うつの治療に効果を発揮する認知行動療法
悪意ない言葉を糾弾「マイクロアグレッション」
「不快」を理由とする講演キャンセルが横行
まとめ

第3章 味方か敵かのエセ真理:人生は善人と悪人の闘いである
言葉尻をとらえて教員を糾弾、辞職へ追い込む
人間は簡単に味方と敵に分かれてしまう
アイデンティティ政治のあり方は2種類ある
共通の人間性を訴えるアイデンティティ政治
共通の敵を持つアイデンティティ政治
現代的マルクーゼ理論――白人男性は「悪」
共通の敵を持つアイデンティティ政治が有害な理由
「共通の人間性」を強調することの現代的意味
まとめ

第2部 エセ真理が引き起こしたこと

第4章 脅迫と暴力が正当化された
名門UCバークレーで起きた流血の講演妨害デモ
言葉を「暴力」と認定し、本物の暴力を正当化
UCバークレーの暴力後も脅迫・暴力は続いた
死者が出たシャーロッツビルの暴動とその後
授業・講演の妨害が増加した2017年秋
「言葉は『暴力』」と教えることが有害な理由
まとめ

第5章 大学で「魔女狩り」が起きている
無実の者を標的とする運動は「魔女狩り」である
論文が集団処罰の標的となった事例
反論のための論文撤回要求という新しい動き
大学教員の政治的多様性が低下、左に偏っている
全米有数の進歩的大学で起きた魔女狩りと暴力
大学は3つのエセ真理の過ちを何度も犯した
まとめ

第3部 なぜこうなったかに関する6つの論題

第6章  二極化を促進するスパイラル
学生たちと大学に何が起きたのか。6つの論題
政治的二極化が進み沸点に達した
キャンパス外の右派による威嚇行為
キャンパス外からもたらされる脅威が現実に
まとめ

第7章 不安症とうつ病に悩む学生の増加
うつや不安を抱える学生が増えている
未熟で脆弱、不安・うつが多い世代「iGen」
SNSは子どもの心の健康を悪化させるか
なぜ女子の方が心の健康悪化の傾向が強いのか
iGenが大学入学、カウンセリング需要が急増
SNSなどと精神疾患の関係は研究途上だが……
まとめ

第8章 パラノイア的子育ての蔓延
子どもを一人歩きさせることへの非難
親の恐怖を増幅させてきたもの
犯罪が減少しても親の妄想的恐怖は増大
すべてを危険ととらえて過保護にすることこそ危険
「過保護」にしていないと逮捕――親への圧力
社会階級によって過保護の程度に違いがある
パラノイア的子育てに見られる認知の歪み
まとめ

第9章 自由遊びの時間が減少
子どもにとって遊びは欠かせないもの
自由遊び、野外遊びの時間は減少した
子ども時代が受験準備のために費やされる
熾烈な受験競争、履歴書アピール競争
自由遊び時間減少で民主主義運用能力が低下?
まとめ

第10章 大学の官僚主義が安全イズムを助長
学生を守るためとして大学が採る異常な対応
教員以外の職員が増大。大学が企業化
大学が極端な市場重視に。学生はお客様扱い
職員が認知の歪みの手本を学生に示している
過剰反応の事例
過剰規制の事例
「不審なものを見かけたら、通報してください」
「ハラスメント」のコンセプト・クリープ
対立の解決を第三者に頼る「道徳的依存」
まとめ

第11章 社会正義の探求の時代
「社会正義の時代」を経験した若者たち
心理学による正義の実用的直感的定義
分配的正義に関する心理学研究
手続的正義に関する心理学研究
平等な機会と権利――均衡的手続的社会正義
平等な結果を目指す社会正義の問題点
結果の格差は必ずしも不正義のせいではない
まとめ

第4部 賢い社会づくり

第12章 賢い子どもを育てる
過保護をやめ、たくましく育てる
1.かわいい子には旅をさせ、人生の厳しさを体験させよ
2.油断すると、自らの思考が最大の敵以上の害となる
3.善と悪を分け隔てる境界線は、すべての人間の中にある
4.〈大いなるエセ真理〉に立ち向かう学校に協力する
5.電子デバイスの使用時間を制限し、使い方を見直す
6.新しい全米基準:大学入学前の奉仕活動または就労

第13章 より賢い大学へ
大学が希求すべき最も重要なものは「真理」
1.自分のアイデンティティを探求の自由を結びつける
2.多様性ある学生を迎え入れ、使命を果たす
3.〈生産的な意見対立〉を志向し、啓蒙する
4.コミュニティを取り囲む大きな円を描く

 結び より賢い社会へ

 謝辞
 付録1 認知行動療法の実践方法
 付録2 表現の自由の原則に関するシカゴ大学の声明
 
 参考文献
 原注

著者プロフィール

ジョナサン・ハイト  (ジョナサン ハイト)  (著/文

ジョナサン・ハイト(Jonathan Haidt)
ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネス教授(倫理的リーダーシップ論)。1992年にペンシルバニア大学で社会心理学の博士号を取得後、バージニア大学で16年間教鞭をとる。著書に『社会はなぜ左と右にわかれるのか:対立を超えるための道徳心理学』(紀伊國屋書店)、『しあわせ仮説:古代の知恵と現代科学の知恵』(新曜社)がある。

グレッグ・ルキアノフ  (グレッグ ルキアノフ)  (著/文

グレッグ・ルキアノフ(Greg Lukianoff)
教育における個人の権利のための財団(FIRE)の会長兼CEO。アメリカン大学とスタンフォード大学ロースクールを卒業し、高等教育における言論の自由と憲法修正第1条の問題を専門としている。著書にUnlearning Liberty: Campus Censorship and the End of American Debate and Freedom from Speech(自由の学習棄却:キャンパスでの検閲とアメリカの議論と言論の自由の終焉)がある。

西川 由紀子  (ニシカワ ユキコ)  (翻訳

西川 由紀子(にしかわ・ゆきこ)
大阪府生まれ。神戸女学院大学文学部英文学科卒業。立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科修了。ITエンジニア、青年海外協力隊(ベリーズ)を経て翻訳家に。訳書に『理系アタマがぐんぐん育つ 科学の実験大図鑑』(新星出版社)、『人に聞けない!?ヘンテコ疑問に科学でこたえる!どうしてオナラはくさいのかな?』(評論社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。